個展やってみる?
コーヒーで絵を描いている自分が
絵を描いていくなかで
いろいろ体験したことを書いています
絵を描く前
個展ってどんな風にやるのか
まったく想像もつきませんでした
いったいどうやったら
自分の個展なんて開けるようになるのか
その、わたしにとっての
初めての個展は
ふとしたきっかけで
開くことが出来ました
↑以前の記事でヘアメイクのアシスタントを
やっていたと書いたのですが
そこを結局
クビのようなかたちで
辞めてからブラブラしていた頃
コーヒーの絵は描き続けていたので
暇を見つけては
ポートレートの練習のようなことをしていました
その頃描いていた絵↓
・・まだいろいろと荒削りですね
そうやって
絵を描くために人と会っていると
意外と絵を描く場所を見つけるというのが
難しくて
自然とカフェとか、そんな感じになるんですが
突然店内で絵を描いているという
なんだか不思議な光景になるんですね
その日も湘南にあるカフェで
絵を描いていたので
お店の人から
「なにやってるの???」と
声をかけられることになりました
「ごめんなさい、絵を描いているんですけど・・」
汚さないように気をつけますね
というと
「それ、何で描いてるの???」
「コーヒーです」
「コーヒー?!」
そんなやりとりをしていると
当時のヒゲの店長さんが
「・・うちギャラリーもやってるんだけど
個展する?」
と言ってくれました
(この時の店長さんは、ご自分でも絵を描かれていて、海の絵を中心に作品を作られています)
「個展?やるやるー!!」
軽いノリで答えると
奥から本当に手帳が出てきて
「いつにする?」
日程まで決まってしまいました
・・本当に個展することになっちゃった。。
それが初めての「個展」をやることになった
湘南にあるデイジーズカフェです
由比ヶ浜に面した
オールドアメリカンスタイルの小さなカフェ
そこに数点の絵を置いて
小さな、小さな
はじめての個展をすることになりました
これが
ものすごく
幸せな時間で・・・
2週間という期間の中で
本当に沢山の人が見にきてくれて
ただ、ただ嬉しい時間でした
実はそのころ
アシスタントをやめて
何となく働いていたバーでも
やっぱり失敗ばかりで
ものすごく悩んでいて・・・
グラスは割る、オーダーは間違える
会計は間違える
声が小さくてオーダーが通らない
なんだか、どうしても
自分だけ、かみあってないし
どうしたらいいか分からない
アシスタントの頃のトラウマが強烈で
萎縮してしまうからなのか
それとも、やっぱり
自分が何もできないから
上手くいかないのか
その頃、母親から
そっとADHDの本を渡されたりもして
親身になってくれたバーのメンバーに
「たぶんそれ検査したら病名つくとおもうよ」と
言われたこともありました
思えば高校生のとき
初めてアルバイトをした
モスバーガーのころから
信じられないくらい
簡単なことができなくて
居場所をなくすことの
繰り返し・・
それが
2週間・・誰にも怒られない・・・!!!
怒られないばかりか
みんなが笑顔で来てくれて
美味しいってご飯も沢山たべてくれて
お店の人も、すごく喜んでくれて
みんなが口を揃えて
おめでとうって言ってくれて
なんて、なんて、、快適なんだ!!!!
最高だ!!!!!
はじめは
人に絵を見ていただくというのは
ものすごく恥ずかしくて
勇気がいることでしたが
こんなの生まれてはじめてで
そんな笑顔しかない2週間をすごしているうちに
この幸せな時間が
ずっと続いて欲しいと思うようになりました
そしてそれが
この先どうなるか分からないけど
私これで生きていこう!
そう決めた
きっかけにもなっていくのです
単純ですね
でも、涙が出るほど嬉しかった
そして最終日に
お世話になっていたDJの人が
「ねえ、この絵 いくら?」
と、聞いてくれました
「え??いくら????」
個展をやれるだけで幸せだと思っていたので
その時は、その絵を売るなんて
考えてもいませんでした
「いくら・・なんだろう」
まるで、自分の髪や爪に
値段をつけるような
不思議な気分でした
「考えといて」
そう言っていただいて
結局、その時に伝えた値段で
買っていただくことができました
いまでも、生まれて初めて
絵を買ってくれたのは
その人です
とても、特別な絵です
実はこの絵とは別の絵で
同じときに悲しい思いもしていて
初日に来てくれた知らない人が
「この絵!絶対買うからとっといて!」と
言ってくれたので
最終日に希望の値段を伝えると
「高!!いらない!!」といって
帰ってしまったのです
今から考えると
原画としては
決して高い金額ではなかったのですが
その時の、その人の
不快そうな顔がちらついて
その後、しばらく値段をつけるということが
怖くなってしまう、という事がありました
悲しすぎて
この絵はその後、全部消して
描き直してしまいました
その後、値段と絵の関係については
悩むこともあったけれど
逆に、すごく
その辺りのことが
カッコいい人に出会うこともあって
お金の使い方もまたアートなんだなというか
いろいろと学ぶ機会がある
味わい深い経験を沢山することになるのですが
それはまたあとの話
はじめての個展は
そんな感じで
無事に終わることができました
この個展を境に
わたしは
「絵を描く人になろう」と
思うことができたのです