ひねくれている人間(凍りのくじら感想)
凍りのくじら 感想
自分がひねくれているかどうか、は自分には分からない。凍りのクジラは、大人びた高校生の理帆子が成長していく物語である。大人びている、周りと馴染めない、周りに合わせる。私は、自分の考えを表現することがとても苦手だった。表現する方法を知らなかったのかもしれないし、表現する方法が分からないまま、表現することが怖かったのかもしれない。自分の中で、納得できないまま言葉にするのが嫌で、答え、道筋を見つけたかった。道徳の授業の感想文。何も頭に浮かんでこなくて、当たり障りのない文章を書いた、つもりだった。その文章の内容について、間違ったことだ、と先生が全員の前で言った。そういう苦い思い出がある。その先生が正しかったのかもしれない。でも、自分の人格を否定された気がして、悲しくなった。この本を読んで、ひねくれている理帆子を見て、こんな人間がいるんだとリアルに捉えた。私は理帆子が大好きだし、一人一人の個性が好きだった。周りに合わせるけど、心の内は冷静だ。そんな理帆子も、感情を出して、本心で話して、大切なものを見つけている。自分を見つめて、受け入れる。人との関わりの中で、揺れ動いて、出せる感情がある。ひねくれているのかもしれない。でも、自分なりに、人と関わることを恐れずに、心の内から自然と出てくる思いを伝えてみよう、と思った。
人間の暗さもある、良い意味で重苦しい作品です。
そのような作品が好きな人は、是非読んでみてほしいです。