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《神経心理学の挑戦》の思い出

こんばんは。おつかれさまです。
昨日、山鳥先生著「神経心理学入門」との出会いを思い出して、久しぶりに学生時代の頃を振り返っていました。

当時の自分は神経心理学入門をはじめ、失語症学、高次脳機能障害学などの理論書・専門書を読むことに慣れていなくて、論述やその文脈を読み取ることに苦労していました(今でも通読することにエネルギーが必要ではありますが…)。理解が追いつかない!難しすぎる!

そんな自分が見つけた本、それが「神経心理学の挑戦」でした(山鳥先生と河村先生の共著)。
『神経心理学コレクション』シリーズの1冊目とのことで、山鳥先生と河村先生の対談(半ば山鳥先生へのインタビューな感じもある)を記録したもの。
内容は記憶、言語、認知、行為、と神経心理学の個別的な部門のトピックに触れながら、神経心理学について、そのリハビリについて、意見が交わされています。また、ハイパーグラフィアについてや、最終章(「知情意」の神経心理学)は、狭義の神経心理学を超えた、芸術や創作との繋がりを示す、読み物としてもとても興味深い内容でした。

この本は講義が休講になったとき、学校の図書室に行って、ふと手に取ったことがきっかけでした。

対談本ということもあって読みやすく、でも色々なキーワードが散りばめられていて、興味津々で読み進めました。
とくに印象に残っているのは、ブローカ野とウェルニッケ野についてや知能の構造とか、神経心理学入門の制作秘話のような内容、あと「草枕」です。
神経心理学の本なのに、どうして夏目漱石の草枕なのか!?と思ったけれど、そこからコミュニケーションと知情意に結びつけていく内容が、あんまり文学に馴染みも関心もなかった自分にとって、すごく面白いと、そういう結びつけ方があるんだと、思いました。

神経心理学の挑戦に引用されている草枕の一節
「山路を登りながら、かう考えた。
智に働けば角がたつ。
情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。」

音読しやすく、意味を詳しくは分からない自分にとっても、この文章から、なにか情景というか、ふと考え思い至った様子が感じ取れた気がしました。

神経心理学の挑戦は、自分に神経心理学の可能性と他の分野との繋がりを示唆してくれました。この本との出会いから、いっけん異なる領域の話題や本でも、神経心理学や脳機能と結びつけてみたりすることができているように思います。

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