修士課程における遺書(のようなもの)

私の修士課程での日々は,非常に両極端なものでした.精神的に安定しない時期も多く,大学では人目を避けるように講義に出席する日もありました.

一方で,RoboMasterでは「日本代表」と呼ばれ,毎日ロボットを作り,世界中のプレイヤーと闘うような経験もしました.

まさに,陰と陽――ロボット工学者の森政弘先生が語っておられた「即非の論理」,車のブレーキとアクセル,あるいは包丁の柄と刃の関係性と言いましょうか,そう捉えることでなんとかここまで人生を歩み進めることができました.

同時に,森先生から教わった「遊」の精神は私の基盤となるものでした.学びたいから学び,作りたいから作り,そこに何者からの強制もなく,目の前のものにいつの間にか没頭し,主体的に楽しむ,それが「遊」の精神です.この精神がベースとなって,日本でロボコンが生まれた背景を考えると,私の生き方はきっと,そんなに悪いものでもないと思っています.

人というものは,案外にあっさりと死にます.いつか必ず死ぬのです.だとすると,死に急ぐことはなくても生き急ぎはしたいなぁと思っています.だからこそ野望を持って,それを達成しようと貪欲に目指し続けています.

日々の研究も,活動も,「前例のない」ことに挑戦し続けてきました.他者と同じ道を選ばないことは,不安と孤独の連続です.それでも,私は命を燃やして,野望のために生き急ぎたいのです.たとえその先に,皆と変わらぬ死ひとつが待っていたとしても.

これは,私が先日提出した修士論文に記した謝辞の一部です.
非常に良く書けていますね(?)

さて,単刀直入に言うと,私は今,大学院を辞めたいです.
理由は色々ありますが,端的に言えば「疲れた」の一言です.

もちろん指導教員には(専門外であるにもかかわらず)辛抱強く修論を見守っていただきましたし,非常に身勝手で自由な大学院生活を半ば容認してもらいました.

財団の方々も,(ただ一つの事案を除けば)とても良くしていただいていますし,ええ,良くしていただいていますよ,ええ,ええ.
何より,世界観をぶっ壊されるほどの異才たちが当たり前のようにそこにたくさん存在していることに興奮させられます.
生活費はおりませんでしたが.

大学院の方は,このままうまくいけば,残りいくつかの授業を履修して9月,または3月に卒業できる予定です.うまくいけばな.

修士論文は一応提出しました.
自分の不手際があり,最終提出時にひと悶着起こっていますが受理されたかどうかはよくわかりません.
少なくとも,現時点で事務からはメールが来ていないので,1日1回大学のメールを薄目で確認する日々が続いています.

相変わらず,ロボットは好きで,毎日ロボマスのことしか考えていません.
ただ,ここ数か月で変化があったとすれば,チームのリクルーティングや資金調達など,主に広報と会計といった非エンジニア職にすべてを捧げる流れになったことですね.
これにより,機械班としての私は死にました.

ただ,メンバーの能力や最大公約数的な幸福を考えるとこれは「正解」だと思っていて,大した設計能力も経験もない私が無理に機械班に居座るより,対学生や対企業とのコネクションを活かした役職に就く方が極めて自然で合理的なのです.
班の長が,ここまで「正解」を求められるチームは珍しいんじゃないかと思います.
それに,作りたいものがあるなら自分で作ればいい話なので,最近はそれなりにポジティブに活動できています.

今は世界一になることしか考えていないので,最高のロボットを作るエンジニア達が最高の環境で活動できるよう,人と資金を引っ張ってくる活動を頑張っています.あと操縦者のポジションも狙っています.

まぁ大学院辞めたら選手としての出場資格失うんだけどね.


さて,少し話が逸れましたが,私は大学院を辞めたいです(2回目)
(ここに細かい事情を書くとマジで様々な怒られが発生して本当に怒られるので詳しくは直接会って聞くなりしてくだしあ)

あと半年なり1年なり頑張ったら修士号を頂戴できるのですが,残念ながらその半年なり1年なりを頑張れる気力がありません.

(アカデミアに対して)精神的に,および経済的に余裕のない状態なので,ここでブチ辞めて働きに出るのも手だと思いました.
というかそうしねぇと学費云々の前に生活ができんぅ!!!(千鳥ノブ風)

幸いにして,S●NYを辞退した後も何社かお声かけしてくださっていて,働くこと自体はどこかしらでできるじゃないかという淡い期待はあります.単なる期待にすぎませんが.

一方で,博士課程について快く見学や相談を受け入れてくれた大学院もいくつかあったので,本当にありがたいことです.

ここまで書くと,まだ選択肢はそれなりにたくさんあって,ぜいたくな悩みだと思えてきます.

ただ,わたしがつらいことは事実です.
それだけが,はっきりとした事実です.

春休みが終わることが怖い.
貯金の残高が4桁になるのが怖い.
自分の視野と可能性がどんどん狭まっていくのが怖い.


来月の私は,どんな決断を下しているのでしょうか.


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みのんさん
特に面白い記事でもなければ、 ためになる記事でもないのですが、 みのんさんに寿司を食わせるつもりでおひねりをください。