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月の輝く夜に

 今夜は満月。

 今年一年、十分すぎるくらいに楽しませていただいた、大河ドラマ「光る君へ」が最終回を迎えた夜がまさに満月とは、望月の歌を詠んだ藤原道長公の成せる奇跡かもしれません。

 太陽は明るすぎて見つめることができないけれど、月は眺めることのできる天体。離れていても、同じ時間に月を見上げていると、共に眺めているような気持ちになれる。時はまさに夜ですから、どこか共犯者めいている。「光る君へ」でも、月はそのような描かれ方をしていました。

 でも満月ってちょっと怖い。これまでは満ちてゆく勢いがあったけれど、これからは欠けてゆく寂しさがあるから。十六夜や二十六夜のような不完全な月も、古来から好まれてきたのは、完全であることへの恐ろしさもあるのかもしれません。

 月明りに誘われて外に出てみましたが、雲一つない空に煌々と輝き、それはそれは美しい満月です。そして身の引き締まるような寒さ。
 
 次の満月は、もう来年。

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