【#恋の思い出企画】あの頃、ボクたちは、みんな不器用だった
こんにちは。ゼロです。
今回は、みおいちさんの企画
#恋の思い出企画
に乗っかって恋ばなを書いてみようと思う。
仲間が続々と書いてます。
初恋って覚えてない。
高校3年ではじめて告白したときの話です。
ちなみにはじめて告白されたのは、高校2年のとき、その翌日に別の人からも告白され、いまはドッキリ?と疑っているのはまた別の話。
今年、はじめて甲子園に出て、派手に散っていったあの高校です。
それでは、いってみましょう。
※すべて仮名です。Aさんだと雰囲気でないので適当に名前ふってます。覚えてないのでゼロの都合の良い解釈と妄想が含まれます。ご注意ください。
1994.6.24 22:00
京橋のサブウェイで軽くたべて、京橋駅から電車に乗る。普段、電車には乗らないからどこかギコちない。「これデートだよね」二人で電車に揺られながら話した。いまとなっては何を話したかは思いだせない。
電車だからギコちないわけではない。たぶん、二人だからギコちなかったんだろう。
電車が駅に着かなかったらいいのに。
移動手段なのに到着することにムカついた。
「私らどんな関係なん?」
「友だちやろ」
「つきあってるように見えへん?」
「ひっついてへんから見えへんのんちゃう」
高校3年の夏のあの日、IMPホールの鈴木彩子のコンサートに一緒にいった。
「親が迎えにきてるから一緒におるん見られたら怒られるやん。ここでええで。また誘ってね」
夜23時、帰りが遅くなって、土山駅の改札で別れた。ちなみにそっから私どうやって帰ったの?家まで20キロぐらいあるで。チャリなの?
また、誘ってねは実現することなく、やよいちゃんとのデートはそれが最初で最後。もっと仲良くなるはずが、なんだか気まずくて疎遠になってしまった。
1994.6.23 放課後
自転車置き場。まちぶせでもしてたのかな?
「やよいちゃん。急やねんけど、明日、鈴木彩子のライブいかへん?いけるん?」
「あした?急やな。なんでなん。麻友ちゃんにフラれたん?」
「......」
「おいっ。アホやん?しゃーないな。チケット代おごりな」
「そらそうや、電車賃もだすわ」
「うん。じゃあ、4時に土山駅な」
当時からいろいろ顔に書いてあったらしい。
やよいちゃんと麻友ちゃんとは、高校2年同じクラスになって出会った。私は、3年で違うクラスになったけど、その2人は3年も同じクラスだった。
1994.6.22 20:24
よし、電話しよ。意を決してボタンを押した。
お父さんが出たらどうしよ。そのまま切ればいいのかな。
当時は携帯やスマホはない。メールもなかった。ありがたいことにナンバーディスプレイ(着信履歴)もなかった。ガチャンと切れば誰かはバレない。
メールじゃなくてFAXを送りあったのは、もう少しあとの別の話で違う人の話。
プルルルプルルルという呼び出し音が永遠に思え呼び出し音より心臓の音の方が大きく聞こえた。
出ないでくれ!そんな思いもあった。
繋がらなかったら、告白しなくてもいい。
もう、受験勉強の時期になる。
愛だ恋だ言っている場合じゃない勉強だから
って言い訳して逃げ切れる
「あっ、麻友ちゃん」
「はいはーい。どしたん?」
麻友ちゃんは、底抜けに明るいクラスの人気者だった。突然、電話をかかってきたことに疑問を抱く感じでもなくいつもどおりの口調だった。
正確には、覚えていない。
でも、告白したことだけ覚えている。
「好きです。付き合ってくれへん」
「あっ。ごめん。高校ではつきあわへんって決めてるねん」
「えっ、あっさり...」
真っ白とはこのことで記憶がない。
「ゼロくんが無理とかじゃないで。誰ともやねん」
よくわからない理由にああなるほどと今ならなるはずもないけれど、当時はそうなんだろうと思った。
「じゃあ、鈴木彩子のコンサートいかへん?金曜日」
「ヤダ」
「でしょうねぇ。まあ、いいや。気にせんといてな」
ガチャン!と電話を切った。
黒電話ではなくプッシュ式だった。正確には、ガチャン!という音は鳴らないはずだけど、それはいま関係ない。
その晩は眠れなかったのか?よく寝たのか?あした、学校で顔を合わせるのはイヤだな。と思ったことは覚えている。
とりあえず、亮介に電話をかけた。「あっさりフラれた」
「やっぱり!!サイコでフラれるw最高やなwwwwwwwダッサwww」
思いきり笑っていた。次、あいつがフラれた時は、もっと馬鹿にしてやろう。
1994.6.21 夕方
「亮介、夏休みはいったら受験勉強で愛だ恋だ言われへんやんな」
「しらんわ。オレ、就職やし。繭ちゃん?とっとと告れや」
「せやな。サイコでも誘ってみよかな。ちなみに麻友ちゃんな。」
「サイコ誘わんでいいから告白しなさい」
亮介は、中学からの友人で別の高校だった。
違う高校だったけどいろいろ話していたのでこのころのことは全部しってる。ただ、本人すら覚えていないので覚えているかどうかはわからない。忘れていることを願いたい。
放課後 自転車置き場。
「やよいちゃん。一緒にかえる?家、逆方向やけど」
「塾あるから急ぐねん。校門までな。受験勉強せなあかんやん。もうそろそろあそんでられへんようなるで。ゼロは塾いってんの?」
「いってない。あんまり勉強もしてない。そろそろせなあかんよな。」
「夏休みが勝負やん。」
恋愛に億手だった僕らは受験だからということにして、どこか自分たちの気持ちを隠していた。
もっと以前
僕は、話しかけるのが苦手だった。話しかけられても「おうっ」「あっそ」「へぇー」「そうなん」ぐらいしか言わない。
無愛想。とにかく無愛想だった。クールを気取っていたつもりだったけど。実際は、嫌われるのが怖くて自分からうまく話せなかったんだよね。
黒夢は「亡骸を。。。」が最高だったのに、for dearでメジャーと言う名の地獄に堕ちて本当に亡骸になってしまったと一時間語るやつには、そら誰も話しかけないでしょうよ。イマならわかる。
麻友ちゃんは、そんな僕でもみんなと同じように接しくれて、みんなと同じように笑ってくれていつのまにか好きになっていた。
告白した方がいいのかな?したことないしやめとこかな。受験だし。いろいろ、いいわけしてたけどとにかくフラれるのが怖かった。
友達関係すら終わってしまいそうで。フラれるぐらいなら友達のままでよくね?そう思いこもうとしていた。
六月半ばに誕生日で18歳になった僕は自転車置き場での何気ない会話でスイッチがはいった。今しかない。
その後
それから、卒業まで二人と会話した記憶がほとんどない。
いまみたいにスマホはない。
学校で話さなければつながる手段はない。
麻友ちゃんにはフラれて友達ではなくなった。やよいちゃんとは、なんだか代わりに使ったみたいで話せなくなった。
もうあまりおぼえていないけれど、とにかくみんな不器用で傷つけたくなくて傷つけて、傷つきたくなくて傷ついていたことだけは覚えている。
たまには、思い出してくれたりするのだろうか?
#どっちが??
おまけ
黒夢といえば、やよいちゃんの友達のあゆみちゃんが黒夢みに行こうと誘ってくれてアルカイックホールに観にいったのはまた別のはなし。
2019年に鈴木彩子さんの花屋さんアナスタシアにいった。研修の前だったのでサボテンしか買えなかったけど。実際にお会いした彩子さんは美しすぎて気絶するかと思ったのもまた別のはなし。
もっとうまくやれたら、そんな経験値はなかった。
不器用だった。94年の夏。