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ぼんやりと部屋の角を見ながらYouTube投稿を諦めた話
なんで生きるのってこんなにめんどくさいんだろう。ふと思った休みのある日、半分茶色くなったバナナを食べながら天井の角をぼーっと眺めていた。
東京に来てフリーランスになって3ヶ月、やっと自力で仕事は貰えるようになったけど、それだけじゃ到底生きてけなくて、ほぼ毎日バイト生活。
台風が来る度に揺れるボロアパートで住人のうるさい痰を吐く音をBGMにテキトーにする自炊とSNSを見るだけの休日。でも、たまに負けじとイヤホンで洋楽を聴いて料理をしながら変な踊りを踊ってみたりする。私もおじさんも近所迷惑甚だしいが、こうでもしなきゃやっていけない。だって隣の家の番犬がいちばんうるさい。
飼い主に1番吠えるのは躾直した方がいいと思う。
なんだかんだでこの生活は別に特別悪くもなければ、特別良くもなくて毎日が平行線だ。SNSを開けば学生時代の同期たちが給料が安いとか先輩がウザイとか文句を言いながら会社員として働いて、違うアカウントではキラキラしたディナーや旅行の写真を投稿している。
そうだ、YouTuberになろう。
こうふと考えることがあるのは私だけでは無いと思う。キラキラした生活、楽しそうにクリエイターとして生きている彼らを見て憧れる人もいるだろう。
でも、その裏ではきっと毎日遊びにも行けず編集をしている人や顔がバレて社会に戻れない人、どれだけ頑張って作った動画でも再生数が伸びなくてやるせない気持ちの人だっているんだろう。
そう思って皆やってみたいけどやらない、リスクが怖くてやらない、時間が無くてやらない、それでも全然いいと思う。私もそうだ。
でもなんとなくバナナを食べ終わって部屋の天井をぼーっと眺めていたらやってみようかなという気になってしまった。
顔を出すのは怖い、だから音声に字幕だけ入れようと思いついて、内容は最近彼氏に教えている日本語にしようか、とか日々の疑問をただグダグダ話す日常系にするか悩んだ。
そしてとりあえずグダグダと音声を撮り、音楽をつけ、字幕も日本語、英語、スペイン語で入れてみたりした。
とてつもない時間がかかった。ほぼ3日は費やしたと思う。イラストやから画像だって持ってきて貼ってみたりもした。なれないことはするもんじゃないな、なんて思いながらいよいよ投稿の時がやって来た。
結果、動画は投稿できなかった。
私の安いポケットWiFiとYouTubeとNetflixに侵食された私の今月のギガ数は瀕死状態だったらしい。見事に通信量を全て食われたのにデータが重くて投稿できなかった。
気付いたら私は冷凍してあった痛みかけのバナナを食べながらまた天井の角を見つめていた。
そうだnoteでもやってみようかな。
本当に懲りない性格だと自分でも思う。母からの電話が久しぶりに鳴って、元気にしてるか、ご飯は食べてるか、仕事はどうや、という声がする。
今日も今日とて私は対して好きでもない茶色くなったバナナを食べている。
本当に私は懲りないのである。