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要望書の内容。参考までに

リニューアブルジャパンによる松阪市飯高町での風力発電所計画を認めることのないよう、住民協議会連合で市長宛と市議会議長宛に提出した要望書の文字おこしがありましたので、参考までに載せておきます。

固い形式のようにも見える文書ですが、内容は住民の不安の声を冷静に代弁したもので、とてもわかりやすいです。中央構造線上であることや、伊勢湾台風のことなど、飯高地域ならではの懸念もありますが、地形や防災を配慮しないまま進められている風力発電所の計画ということには、全国に通じるものがあるかもと思います。必要な方に情報が届くととても嬉しいです。


飯高地域の風力発電所建設計画に関する要望書
 事業者(合同会社三重松阪蓮ウインドファーム 代表社員 リニューアブル・ジャパン株式会社 職務執行者 眞邉勝仁(リニューアブル・ジャパン株式会社 代表取締役))による風力発電所建設計画にかかる関係法令の一切の許認可等を認めることのないよう対処をお願いするとともに、風力発電所建設計画にかかる官地使用を一切認めることがないようよろしくお願い申し上げます。
 また、今後の新たな開発計画による問題発生を予防する制度や仕組みをご検討いただきますよう併せてお願い申し上げます。

【要望の趣旨】
 令和3年7月30日に当該風力発電所建設計画の計画段階環境配慮書が事業者より示され、縦覧期間は8月30日に終了しました。令和3年8月17日に事業者あてに発電所建設により地域に発生が懸念される事項等を通知するとともに地元説明会を開催するよう要望したところ、期間をおいて11月5日~7日にかけて4回、地元住民への事業者説明会がありました。
 その事業概要は、陸上風力発電で国内最大規模であり、飯高地域に1基4200キロワットから5500キロワット級の高さ144~183mの風力発電機を最大60基設置する計画で、事業区域内には香肌峡県立自然公園、奥伊勢宮川峡県立自然公園、室生赤目青山国定公園、大台ケ原・大峯山・大杉谷ユネスコエコパークを配し、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により政令指定種等の希少な野生動植物等が生息する生態系の存続する地域とされています。
 櫛田川源流部に位置する当地域としては、この常軌を逸した事業計画を、地元住民として到底受け入れることはできず、地域が一丸となり当該事業計画の絶対反対の立場を取らせていただくこととなりました。当該事業計画の一切の許認可等を認めることがないよう、取り計らいを願うものであります。
【要望の理由】
 当該計画により次の事項が懸念されます。
 ➀自然環境の破壊・景観の破壊
 ②健康被害・暮らしへの影響の危惧
 ➂災害発生・残土処理問題
 当該地域は種々の天然記念物や希少野生動植物の生息地であり、生物多様性の保全の鍵となる地域であります。当該計画により、この重要な自然環境の破壊が懸念され、特に鳥獣保護の観点からは伊良湖岬から高見山ルートを目指す渡り鳥の「バードストライク」の発生が避けられないと考えます。
 また、高さ200メートル近い風力発電機が広大な地域の山々に林立する様は、自然公園の特色である山並みの景観を破壊します。
 加えて、不規則に変化するブレードの回転騒音、それに伴う低周波音の影響や回転するブレードの影の影響(シャドーフリッカー)が、この山々の麓に住居する市民の健康被害につながります。
 風力発電所建設は、山々に生息する野生鳥獣にも影響し、自然環境の変化によりその生息地を追われ、今まで以上に山麓に獣害を発生させ住民の生活を脅かすこととなります。
 そして、地域住民が最も不安とする点は、この地域の山々は中央構造線の破砕帯に位置し、非常に崩れやすい地質であることです。その崩れやすい山の尾根を開発することにより、水脈循環の激変により、至る所で土砂崩れが発生する恐れがあり、防災の観点からも当該事業計画は極めて危険なものであります。土砂崩れが起きれば、生命や財産が危険にさらされるほか、生活に必要な水道水源が失われて長期にわたる断水が発生する恐れもあり、下流域への影響もはかり知れません。
 事業者説明会では、当該事業計画には「防災対策」が一切考慮されていないことが判明し、地域の住民にとって大きな不安材料となりました。
 発電所建設工事に伴う広範囲の森林伐採では「二酸化炭素の吸収源の大幅減少」という皮肉な自体を生み、それと共に発生すると予想される多量の残土処理による災害発生の懸念も明確な方策が示されておらず、伊勢湾台風のときの災害を経験した地域住民の不安は払拭されていません。
 建てる場所があるなら風力発電機を1基でも多くといった発想の企業利益を最優先する事業であり、一企業の利益のために先代から受け継いできた自然環境やすばらしいひとや自然に囲まれた生活環境を犠牲にする風力発電事業の社会的必要性や社会的価値は見当たりません。
 「四方の山々に建つ巨大な風力発電機60基に囲まれるこの地域は、正に監獄のごときであり、人間が人間らしく生活する土地でなくなる」という地域住民の発言が事業者説明会でありましたが、正に地域住民の心の叫びを代弁したものでした。
 よって、この事業が地域にとって永久に受け入れられるものでないとの結論に至り、関係地元自治会からの要請を受けて、住民協議会として当該事業に断固反対します。
 加えて、今回の計画に限らず今後こうした大規模な環境に影響する開発計画を地元にいきなり投げかけられることのないよう行政として条例等予防策を検討していただくよう重ねてお願い申し上げます。


提出した要望書はここまで↑

地元新聞では「永久に受け入れられない」という強い見出しで掲載されましたし、再三厳しい意見の報道が続いているので、地元ではこれはもう終わった話と思われている方も少なくありません。それが予言であればとても心強いですけどね。

この要望書を受けてすぐ、議会が始まっています。要望書最後の一文にあったように、こんな大規模な計画をいきなり投げかけることを予防する策に向けて進むといいのですが。じわじわでいいです。日本の風土がこれ以上荒らされることにならずに、自然と調和した未来を描いていきたいです。

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