昭和の父親 らしからぬ父
拙宅から少し車を走らせるとJAの直売所がある。そこでは農作物は勿論、卵やお花、また婦人部の皆様の手作りお弁当などの販売をしている
農産物などは天候など色々な要因によって変化するのであろう、種類も数量もその時その時だが、それがまた楽しみ
ここ最近、JAの直売所であっても野菜の値段は上がってはいるが、物が新鮮なので有難い。開店と同時に行かないとあっと言う間に売り切れてしまう。そして、いつも出遅れてしまう私笑
さて、今回のお目当ては野菜ではなくお花。父親の月命日の墓参りに持って行くための
生まれも育ちも昭和の父親ではあったが、頑固、無口ではなく優しい人だった。私が独身時代、たまに夕飯でも作ろうものなら、口に入れる前に「美味しい」と言ってくれる人だった。そんな父親に反抗する理由なんてカケラもなかったはずなのに、いつしか余り口をきかなくなった。今の親子は仲が良いので羨ましい。私の方がよっぽども昭和の娘だった
晩年は車椅子生活。母も介護が負担になりはじめたので、我が家に来てもらって一緒に住もうということになった。それを理解してくれた夫にも感謝している。が、家のリフォームを始めようと思った矢先に、体調を崩して呆気なく旅立ってしまった
「ありがとう。一緒に住もうと思ってくれた気持ちだけで充分。それじゃぁな」
まるで、そう言っていたように
JA直売所の花は野菜同様とても新鮮。そして、季節を感じることができる。春はチューリップ、梅雨時は紫陽花、夏は向日葵などなど
今の時期、寒椿が売られていた。墓参りの花としてはどうだろう?とも思ったが、どんな花を持っていっても父は
「おぉ、ありがとう。きれいだな」
と言ってくれるだろう。私の作った料理を、口に運ぶ前に「美味しい」と言ってくれたように