Aquarium "Radio Africa (definitive version)" (2023年、旧ソ連)
このアルバムはロシアの国民的バンド、アクワリウムのファンにとっては驚きであり、朗報だろう。旧ソ連サイケデリック・ロックの名盤"Radio Africa"の決定版である。
アクワリウムの公式サイトに、
"Previous official releases were all based on rough mix since the master tape was considered lost.(これまでの("Radio Africa"の)公式リリースはすべてラフ・ミックスを基盤としていた。マスターテープが紛失したと考えられていたからだ)"
とあるが、つまりはそのマスターテープが発見されたわけだ。それが収録されたのがこの決定版だ。
このアルバムは曲と曲との間にラジオのノイズが流れるのが特徴だが、決定版の方がノイジーであり、音に厚みがあり、多様性に富んでおり…何よりも存在感が強い。ラフ・ミックス版のラジオノイズの方がいい加減に録られたように今は聴こえるほどだ。
その他にも、冒頭と終盤の鐘の音が違っていたり、これまでのリリースでは聴かれなかったドラムスのフィル・インがはっきりと聴こえていたり、さらには心臓の音(?)まで収録されていたりとディテールに富んでおりもう以前の版には戻れない。
それにしても"Radio Africa"は「ロシア・ロック界のホワイト・アルバム」と高く評されてきたわけであるが、今思えばあんな「未完成」なアルバムを名盤だと吹聴されてきたわけである。某通訳に裏切られた某野球界のスーパースターのような気分か。何はともあれ、しばらくはこの決定版をヘビーローテーションしたいと思っている。
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