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何度訪れても新しい発見がある南房総市。災害を乗り越えたまちの現在とは<後編>
ふるさと納税を通じて地域をもっと元気にするために、地域で頑張るヒトの声を、ふるさとチョイススタッフとの対話を通してお伝えする、「みんなとチョイス」のnote。
このnoteは、「何度訪れても新しい発見がある南房総市。災害を乗り越えたまちの現在とは<前編>」の続きです。
南房総市は、令和元年台風15号で被災した際、「ふるさとチョイス災害支援」を立ち上げ、ふるさと納税の寄付や応援を受けながら、災害を乗り越えてきました。
ふるさとチョイス災害支援とは?
ふるさとチョイス災害支援は、災害発生時、自治体がふるさと納税を活用して迅速に災害復興のための寄付を募る緊急寄付受付サイト。
自治体が直接寄付を募ることで、速やかにかつ、ダイレクトに寄付金が被災地へ届きます。
そして南房総市は、まちの様子をもっと寄付者の方に知ってほしい!という想いから、継続的に開催する寄付者ツアーを計画中。今回のファンミーティングは、その寄付者ツアーの第一歩として実現しました。
後編では、南房総市の"イマ"を直接感じる、現地ツアーファンミーティングを振り返り。また、これから南房総市が目指していきたい “まちの未来” について話している様子も、お届けします。
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川名 恭介(かわな きょうすけ)さん
千葉県南房総市役所 総務部企画財政課
南房総市出身。2006年4月に南房総市役所に入庁し、2023年4月からふるさと納税担当者となる。現在は、ふるさと納税と移住定住業務を担う。
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阿部 瑛里花(あべ えりか)
ふるさとチョイス事業部/マーケティング統括部/ ブランドコミュニケーション部
宮城県仙台市出身。2021年にトラストバンクに入社。「みんなとチョイス」の企画運営を担当。現在は、ふるさとチョイスのSNS運用も担う。
南房総市の"イマ"を感じるファンミーティング
食べて、触って、聞いて南房総市を感じる、バスツアー
2023年9月24日(日)。
猛暑日が続く中、比較的涼しい気温で迎えた当日。
「道の駅 富楽里とみやま」で集合し、20人の参加者と一緒に、ツアーバスに乗って目的地まで出発!
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参加者の自己紹介や、バスガイドになった川名さんからの「南房総市の歴史」などの話を聞き、車内は盛り上がりました。
最初の目的地は、海産物卸・製造加工などを行う水産会社「与助丸商店」さん。ふるさと納税では、伊勢海老やサザエなどをお礼の品に出しています。
令和元年台風15号では、停電や高潮の影響で、育てていた伊勢海老やアワビが全部ダメになってしまうなど、大きな被害を経験。
「当時を思い出すと本当に辛い。でも、ふるさと納税の寄付者さんから、わざわざ電話が来て、心配と応援の声が届いて救われた」と話す、従業員や工場長。
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被災の経験を踏まえ、これまで生を主力に出荷していた伊勢海老を、独自の急速冷凍技術をつかって「冷凍」として多く出荷する方針に転換しました。すると、「急速冷凍」にすることで、エビの風味は損なわず、より甘みを凝縮することに成功!
今回は、その伊勢海老をキッチンバサミで捌き、お刺身にして食べました。
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「生だと怖いけど、冷凍だから簡単にできる!」「あま〜い」という声が聞こえ、事業者の皆さんもニッコリ。
その後、「道の駅ちくら 潮風王国」へ移動し、自由時間!顔の大きさぐらいのアジフライ定食を食べたり、南房総市の海を眺めたりしていました。
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ランチ休憩した後は、アクアメロンを育てる「安田メロン農園」へ。
南房総の温暖な気候を生かして、1年中ガラス温室で育てており、一般向けに「メロン狩り体験」なども行なっています。
この「安田メロン農園」さんも、台風15号当時、ガラス温室が割れ、破片がメロンに突き刺さるなどの被害がありました。
「散らばった破片を見て、もう諦めたくなった。でもふるさと納税で待ってくれてる人がいるなら、頑張るか…って。」と語ってくれた安田さん。
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そのガラス温室で育てられたアクアメロンは、1本の木から1個しか育てないため、糖度が高いのが特徴。そんな貴重なメロンを食べさせていただきました。
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次に向かったのは、台風15号でもっとも被害を受けた「富浦中学校」。
被災当時、体育館の外壁が飛ばされ、雨水が体育館の床に溜まるなど、大変な状況でした。
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そんな「富浦中学校」など、被災した施設の修繕費用の一部となったのが、ふるさとチョイス災害支援で集めた寄付金です。
「施設を大切にする気持ちが芽生えたと話してくれた生徒もいます」と、感謝を語ってくれたのは、富浦中学校の現校長・教頭先生。
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ふるさと納税の使い道をしっかり確認しながら、最初に集合した「道の駅 富楽里とみやま」に戻ってきました。
「道の駅 富楽里とみやま」には、ノンホモ牛乳やチーズなどをお礼の品に出している「近藤牧場」が運営しているカフェがあります。
そのカフェで、1日30個しかつくれない幻のスイーツ「エビのしっぽ」と「ノンホモ牛乳」をいただきました。
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「近藤牧場」は、コロナ禍で直営店舗の来客数が減少し、売り上げが大きく落ち込み、会社経営が厳しい状況に。そこで、ふるさとチョイスが実施していた「地域応援プロジェクト」に参加してくださいました。
コロナに立ち向かう地域応援プロジェクトとは?
ふるさとチョイスが2021年に立ち上げた、新型コロナによる影響で、支援を必要としている生産者や、新たなアイデアでコロナ禍を力強く、乗り切ろうとチャレンジをしている事業者を支援するプロジェクト。
▼プロジェクトに参加した「近藤牧場」
https://www.furusato-tax.jp/feature/a/corona-virus_support_index/pd_10
「エビのしっぽ」は、近藤牧場が新たなチャレンジとして作った看板商品。エビのしっぽのように長細く焼き上げたシュー生地に、リコッタチーズをたっぷり使った生クリームが入っています。
「道の駅に人が戻ってきて、すごく嬉しい」と、近藤さんは語ってくれました。
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また、花どころ南房総を象徴するエディブルフラワーを活用し、アイシングクリームの上に手作業で一枚一枚ドライフラワーを飾り付けている「花菓子PETAL」の "南房総まるごとクッキー" も、おみやげに。
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おやつタイムを終え、一息ついたところで、ファンミーティングは後半へ。みんなと「この先計画している、南房総市の寄付者ツアー」に対しての意見交換ワークショップをおこないました。
この先は、前編に引き続き、南房総市のふるさと納税担当職員と、ふるさとチョイススタッフが、ファンミーティングを振り返りながら、地域の未来についてお話ししている様子をお届けします。
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南房総市が考えるこれからの”まちの未来”
ふるさと納税の「その先」を伝えたい
阿部:川名さんは、今年度からふるさと納税担当。これまで、南房総市民以外の方とお話しすることはありましたか?
川名:今日が初めてだったので、すごく新鮮でした!
阿部:そうですよね。川名さんが担当になってから初めて、ふるさと納税の寄付者を招いたツアーだったと思います。ご協力いただいた事業者さんも、「ありがとう」という気持ちを熱心に話していたのがとても印象的でした。
川名:事業者の方々は、自前で店舗を構えない限り、消費者と直接取引することが少ない。なので、こうして直接コミュニケーションできる機会は、価値があると感じてくれています。
阿部:嬉しいですね!伊勢海老を捌く体験をさせていただいた与助丸商店さんは、今日が初めてとは思えないぐらい、イベントのオペレーションがしっかり組まれていて。たくさん準備してくださったことを思うと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
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川名:今日は、南房総市にいる事業者さんや、災害から復興した施設などを見学いただきました。つまり、ふるさと納税という制度に携わる"ヒト"の存在や、寄付金の使い道などを知っていただくことに繋がった。この、ふるさと納税の「その先」を、さらに感じていただけると面白いのかなと、今回のツアーを通して気づきました。
阿部:ふるさと納税って、どうしてもお礼の品がメインに思われがち。でも、その制度を通して、まちの「ヒト・モノ・コト」を伝える役割もあると思います。その中で、川名さんは、継続的に寄付者を南房総市にお連れするツアーを考えていると、このファンミーティングを実施する前からお話しされていましたよね。
川名:ふるさと納税担当として、寄付を集めることも大切な業務です。でも、寄付金を集めた先に「何をするのか?」まで考えることも必要だと思っていて。その中で僕は、東京から近いエリアという立地を生かして、このまちのことを好きになり、遊びに来てくれるひとを増やしたいと、強く考えています。
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寄付者ツアーの内容を考えるワークショップ
阿部:ファンミーティングの後半では、4つのグループに分かれて、「南房総市が計画する寄付者ツアー。どんな内容だったら参加したい?」というテーマで意見交換をしましたね。
川名:さまざまな視点の意見が聞けました。例えば、僕のグループは、旅行好きの方々が集まってたんですね。話を聞くと、房総半島を車で周遊して、海鮮丼を食べて帰るような旅をしたことがあると。でもそういう旅はもう、「マンネリ化している」と言うんです。
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阿部:旅行慣れしている方としては、もう少し刺激が欲しい気持ち、わかります。
川名:だから、今日、キッチンバサミで伊勢海老を解体して食べるという体験が、ものすごく楽しかったみたいで!そういうメインストリームではないけど、少し尖った企画をツアーに入れ込むのは面白そうだなと。
阿部:いいですね!あ、私もバスに乗っていたときに、まちのあちこちで「花摘み」という看板を目にして。
川名:南房総は、霜の降りない地帯があり、この気候を活かした花卉栽培が盛んです。春になると、菜の花など様々な種類の花を摘みに観光客の方がいらっしゃるんですよ。…と説明したら、阿部さん驚いてましたよね!(笑)
阿部:はい。恥ずかしながら、初めて知りまして…。でも、この「花摘み」という文化は、南房総市らしいですよね。これも一つの企画になりそう!
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川名:まちの人間としては当たり前でも、外の視点でみると新鮮なことってありますよね。阿部さん、「うつぼ」って食べたことありますか?
阿部:え、ないです!「うつぼ」って全く身近な存在じゃないので、食べられるかどうか以前に、どんな生態かも分からない…(笑)
川名:ですよね。南房総市の、白浜エリアや近隣の館山市相浜エリアなど一部の場所では「ヒラキ」や「うつぼ丼」などで食べられているんですよ。カゴに仕掛けたワナで獲って、開きにして、漁港で干されている様子が、地元では "冬の風物詩" になっていたりします。
阿部:そうなんですね!こうした情報って、旅行サイトを見ても出会えないじゃないですか。先ほどの話でもありましたけど、海側に旅行に行くなら「とりあえず海鮮丼!」ってなる。でもそれって確かにマンネリ化しますよね。もっと言えば、南房総市じゃなくても体験できてしまう。
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川名:そうなんですよ。だから、地元の人、もっと言えば、ふるさと納税担当だからこそ知り得る情報を共有するツアーが面白そうって、思いました!
阿部:そうした新しい発見が、何度も南房総に行きたい!という気持ちを育ててくれるように思います。
川名:僕もそうなんですが、南房総市役所の職員は、よくサーフィンをするんです。こうしたマリンアクティビティなど、南房総を感じられる体験チケットなどのお礼の品を、もっと増やしたいとも思いました。
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阿部:きっかけは寄付者ツアーでも、自分で南房総に遊びにきたときに、体験できるコンテンツが、ふるさと納税で見つけられるのはいいですね!
川名:はい。今日のファンミーティングをきっかけに、やりたいことが色々イメージできました。できれば今年度…年明けぐらいにもう一度やりたいです。
阿部:そのスピード感、さすがです!南房総って、春夏秋冬でちがう魅力があるし、エリアごとそれぞれの面白い特色がある。誤解を恐れずに言えば、すごく豊かで贅沢な場所だと思います。
川名:ありがたいお言葉です。ぜひ阿部さんも、また冬に来てください。その時は、和田エリアでクジラを一緒に食べましょう!
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南房総市の職員と、ふるさとチョイススタッフがお話しした様子を、前編・後編と分けてお届けしました。
まちの風景や生産製造業、そして、それぞれの心に大きな傷を残した台風。
でも、ふるさとチョイス災害支援を通して集まった、ふるさと納税による寄付金や応援のメッセージが、南房総市が前を向くための一歩になっていたと、改めて制度の意義を感じる1日でした。
自分のふるさとや、旅行で行ったことのある場所などで、災害が起きてしまったら…。「ふるさと納税」という手段で、直接的な支援ができるということを、頭の片隅に留めておいていただけると嬉しいです。
千葉県南房総市をふるさと納税で応援
▼最新情報
「みんなとチョイス」とは?
私たちは、ふるさと納税ポータルサイトを運営している「ふるさとチョイス」です。私たちは、寄付者の想いを地域に届け、地域の変化を寄付者に発信しています。
その活動の一つである「みんなとチョイス」では、地域で活動するヒトの想いに触れ、地域の魅力や課題についてみんなと一緒に考えるファンミーティングなどを行いながら、持続可能な地域の未来をいっしょに考える場をつくっています。
そして、ふるさと納税を通じて地域をもっと元気にするために頑張るヒトの声を、もっとたくさんの方と共有したいと思い、このnoteで、ふるさとチョイススタッフとの対話を通してお伝えしています。
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