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『減衰特性を表す数値』の大小と優劣 | どっちがどっち

減衰特性をあらわす数値。建築士の問題でたまに出題されるが、これは大きいほうが優れているのか、小さいほうが優れているのか。

建築物の安全限界時の各部材の減衰特性を表す数値は、一般に、プレストレストコンクリート造の部材のほうが、鉄筋コンクリート造の部材と比べて小さい。(正)

令和4年度 一級建築士試験 構造No22の選択肢2

減衰特性を表す数値:PC部材の数値<RC部材の数値
というのは問題から分かるが、この関係が『減衰のしやすさ』と一致するのかは、関連する計算式や意味を知らないと分からない。過去問解説やネットで検索しても明記したものがなかなかなかった。。。

ということで調べてみた。


hとFh

減衰特性を表す数値 h』は限界耐力計算において建築物の地震応答を知るために必要になる要素で『減衰定数』とも呼ばれており、『振動の減衰による加速度の低減率 Fh』の算定式に含まれている。

この低減率という言葉もまた分かりづらい。例えるなら値段の3割引なのか値段の3割なのかみたいなこと。Fhの場合は後者のようだ。間違えると大小と優劣の関係が逆転してしまうので注意したい。

この低減率Fhは建築基準法施工令82条の5第五号ハに規定されており、『安全限界時における各階に水平方向に生じる力Psi』を求める計算式においてPsiと比例関係にある。

Ts<0.16の場合
 Psi=(3.2+30Ts)mi×Bsi×Fh×Z×Gs
0.16≦Ts<0.64の場合
 Psi=8×mi×Bsi×Fh×Z×Gs
0.64≦Tsの場合
 Psi=(5.12×mi×Bsi×Fh×Z×Gs)/Ts

つまり外力は小さい方がよいので、Fhは小さい方が好ましい。そしてFhを小さくするためには、hは大きい方が好ましいということ。つまり先述の過去問から分かることは、

減衰特性を表す数値:PC部材<RC部材
→振動の減衰による加速度の低減率:PC部材>RC部材
→安全限界時の地震力:PC部材>RC部材
→減衰のしやすさ:PC部材<RC部材

よって、RC部材の方がPC部材より減衰性能が優れているということ。

👦 < (なるほど。きっとPCはガチガチにストレスがかかって固いから減衰しにくいんだなぁ。)


そして、『減衰特性を表す数値』が高いということは、減衰して地震力を低減しやすいということも覚えておこう。

👦 < (なるほど。減衰定数は大きい方がいいんだなぁ。)



ちなみに①
Fhは、実験・調査結果と合致するようより精度の高い別の計算式がいくつか提案されており将来的に変わる可能性はあるが、どのFhの計算式にも減衰定数hは分母側にあるため上記の関係は変わらない。

ちなみに②
hは算定式は、告示(平12)第1457号第9第2項プレストレストコンクリート造技術基準解説および設計・計算例、プレストレストコンクリート造建築物の性能評価型設計施工指針(案)を見れば分かるみたい。

参考文献1:論文『地震動の減衰補正に関する研究』
https://www.cst.nihon-u.ac.jp/research/gakujutu/61/pdf/B-35.pdf

参考文献2:木造の場合だけど端的にまとめられてある。https://jutaku.homeskun.com/assets/media/contents/yokuwakaru/genkai.pdf

参考文献3:詳しく知りたい方向け。
https://okano-lab.tu.chiba-u.ac.jp/lecture/ShindouKougaku/lec 13 2019配布用ー講義後.pdf



🙇  間違いや補足があれば、ご指摘やご教授のほどよろしくお願いします。🙇

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