MING 27.01からマイクロブランドウォッチを考える
Mingという有名な腕時計のマイクロブランドがあります。既存の腕時計ブランドにはない感性のデザインで、新興ながら一躍有名になりました。Ming 17.06なんて今でもほしくなるデザインです。
MING 27.01発売
で、この最新作「27.01」が発売されたので早速サイトに行ってみました。デザインはこれまでの作品をさらにシンプル・薄型にしたもので、なかなか好ましく感じられます。
新たに裏側がガラスになり(シースルーバック)、ムーブメントを見ることができるようになりました。時計のメカニズムが好きな私にとって、これはうれしいポイント。既存の一般用ムーブメントを、有名ムーブメントメーカーが美しくカスタマイズしたもので、伝統的な仕上げとは異なりますが、別路線での高級感・精密感は感じられます。
やめた理由
ただ以下の違和感があって今回は購入を見送りました。
・高価過ぎる!50万円近い値段はこれまでからジャンプアップ!
・デザインがややシンプルに行き過ぎ。
・ムーブメントが小径で、ケースバック中央にちょこんとある感じ。
・美しい仕上げとはいえ、ベースのムーブメントはごく庶民的なもの。
カートには入れたものの、見るほどに購入意欲が削がれてしまい、そのままにしていたら、ほどなく2020年分の125本はSOLD OUTに。やはり買う人は買うんですね。過去の評価と希少価値は分かりますが、本当にファンが買っているのだろうかと、ちょっと疑問になりました。
マイクロブランドの価値
ここ数年、中国の時計工場の製造技術アップに伴い、モノとしての時計は、誰でもそこそこ高品質なものが作れるようになってしまいました。
マイクロブランドは低価格領域にいる限り、次々に現れる他のマイクロブランドやクラウドファンディングに埋もれてしまうため、一回成功すると、
・生産量を極端に絞ったLIMITED EDITIONなどで希少価値維持。
・自社製(?)ムーブメントや外装仕上げによる高価格帯化。
に向かうところがほとんどです。
価格含めた「真の価値」ではなく、ブランド戦略による「作られた価値」に惑わされないようにしないと、実は価値のないものに大枚をはたくことになりかねないので、メディアに踊らされないように注意しないといけません。
日本市場の特殊性
ここ数年では、ゴリラウォッチというスイスのマイクロブランドが、ポップなデザインとハイテク素材使い、その割に低価格で非常に好感が持てたのですが、日本代理店の戦略で無理やり高価格帯に位置付けられたのか、異様に高額な価格設定と富裕層のアクセサリーを狙ったかのようなメディア展開で、とても残念だった記憶があります。下手に代理店を入れて日本市場を狙わずに、シンプルにネット販売だけにしておけばよかったのに...、と思わずにはいられません。
どうも日本市場は、時計に興味を示す人の英語のハンディをいいことに、マイクロブランドに対して不要な代理店の介入が目に余る感じです。この時代、高校生程度の英語とクレジットカードがあれば、腕時計など世界のどこからでも個人で買えてしまいます。修理についても、初期不良以外はよほどのことがなければ海外メーカーに戻すことなく、日本の優秀な修理業者が完璧に対応できます(マイクロブランドは独自ではなく量産品のムーブメントを使うので)。万一送る時でも、何のことはない普通に郵便局から送れてしまいます。その辺がどうも一般に認識されていないことも一因のような気がします。
マイクロブランドの時計を自分の感性で選ぶ
さまざまな流通経路が確立している一般のブランドの時計を選ぶのも、それはそれで面白いですが、マイクロブランドやクラウドファンディングの時計をしっかり自分の価値観で選べるようになると、腕時計選びはもっと世界が広がるでしょう。機械式以外にもこんな面白いスマートウォッチがあったりしますしね。
なるべく視野を広げておかないと、一つに集中するとどうしても欲しくなってしまうので要注意です。時々冷静になることも忘れずに!たとえば、以前私はクラウドファンディングでこの時計に注目していましたが、いざ公開されてみると価格が高すぎたので、あっさり見送りました。どうなるかな?と思っていたら案の定ファンディングに失敗していました。高すぎるものをつかまないよう注意することも大切です。
おまけ
いろいろと注意することはありますが、クラウドファンディングのトゥールビヨン(一部のパーツが時間と共に回転して誤差を少なくする仕組みの時計。普通のブランドでも最低100万円コースから上は数千万円まで。)はやめておきましょう。憧れのトゥールビヨンがこの価格で、という触れ込みで時々現れますが、同じトゥールビヨンでも、中国製の安いものは数万円で売っていますから、ぜんぜん「憧れ」でもなんでもありません。
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