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会いたくて仕方がない大切な命

私には12年間共に過ごしてきたセキセイインコのミントちゃんが居た。
男の子なんだけどミントちゃんって呼んでたから、ミントも自分のことをよく「ミントちゃんッ!」「ミントちゃん可愛い!」って
よ~くお喋りしてた。

ミントと初めて会ったのは私が小学5年生の終わり頃。
子供なりに色々と辛かった時期に
ミントちゃんと家族になった。
家に帰るのが楽しみで、凄く癒されて、凄く
幸せで。そしてセキセイインコ特有の良い匂いが大好きで。
私の悲しみや辛いことを全部受け入れて
いつも私の話を聞いてくれた。

中学、高校と部活に追われていて
家にいる時間が少なかったから
ミントと遊んだ記憶はスッポリ抜けてる。

そのあと進学しても辞めちゃって、
バイトと夢追い人をして、ヘラヘラと暮らしていた。
その頃は心が荒んでいて、凄く病んでいて
いつ死んでもおかしくない頃だった。
もちろんそんな姿もミントは見ていた。

いつの日か、4年続けたバイトを辞めて
新しくバイトを始めても上手くいかなくて
1日や続いても3日で辞めてしまっていた。
相変わらず夢追い人だった。
自由なはずだけど、死に際で生きていて毎日泣いて死んだ魚の目をして、何者かに取り憑かれているんじゃないかと思うほどの顔や立ち振る舞いで生きてた。
それもミントは見ていた。

そう、ミントは見ていたんだと思う。

私は必然的に家にいる時間が増えて
ミントと遊んであげる時間が増えて、
そして笑っちゃうけどミントと昼寝をする時間が増えていた。
世の中が目まぐるしく動き回り、働き人で溢れている時間帯、
私はミントと心地の良い柔らかい夢を見ていた。

ついにニートを経験することになった。
ミントと一緒にいた。
心の病に至り、療養するためのニートだ。
言い訳にすぎないけど。

世間や家族はニートの私をどう見るだろう。
馬鹿にするだろうか。
心の病気になると
どんなに優しくしてくれる人も、
温かい言葉をかけてくれる人に対しても
嘘のように思える。

だが、ミントはそうじゃない。
動物ってそうじゃないんだよね。
どんな自分も受け入れてくれる。
何も言わない。
ただそばに居てくれる。
ずっと寄り添って、私の話を聞いてくれる。
そして私に優しい顔をしてくれる。

人は助けてくれないけど
ミントは助けてくれた。
いつも私の味方でいてくれて
私のところへ寄ってきては
静かに見つめてくれた。
静かに話を聞いてくれた。
私は私のままでいいんだということを教えてくれた。

2023年の夏、
ミントにとって12年目の夏。
いつもと違う。
体調がすごく悪いみたいで
辛そうだった。
膨らんでしまって、ご飯も食べなくなり、
水も飲まない。
便の調子も良くなくて、
戻してしまっていた。
すぐに病院に駆け付けて、
薬をもらって。
先生は、もういつ亡くなってもおかしくない
とそう言った。
私はその言葉が許せなかった。

寿命って決まってるかもしれないけど
いくらなんでも他人に決めつけないでほしい。

ただ、それも事実で。
歳をとると病気も治りづらくなる。
それは人と同じなんだ。
人間で言うとおよそ94歳。
よく考えたら人間でも94歳まで生きるのは
簡単じゃないこと。

けれど、私は諦めなかった。
薬を飲ませてあげて
少しずつ回復してきた。

また、可愛いおしゃべりをするようになって
「ミントちゃん」とたくさん喋ってくれた。
私は涙が出てきた。
ミント元気になってよかったね…!!

それから暑い夏を超え、少しずつ秋風に移り変わっていた。

そして数週間すると、ミントくんは
また体調が悪くなっていった。
喋らなくなって、ご飯も食べなくなってしまった。
そして上手く歩けなくなった。
私は病院に連れていき、
また薬をもらった。
もしかしたら、病院に行くのはこれで最後かもしれないって
心のどこかでふと思った。

木の上り棒から落ちるようになり
やがて、ケージは今までとはちがう部屋になった。
バリアフリーのお部屋にしてあげた。
棒から落ちて骨折しないように、
かなり下の位置につけて
ご飯と水も飲みやすい位置に変えて、
ごめんね、大好きだったブランコのおもちゃは
外したんだ。
鳥は高いところが好き。
ミントも高いところが好きで
ブランコのおもちゃが小さな頃から大好きで、
大のお気に入りだった。

自分の部屋からブランコがなくなって
悲しかったと思う。
もう高いところに登れなくて
悔しかったと思う。
いつもできていたことが、できなくなるって
私でも本当に辛いことだけど
動物たちは辛いことを口にしない。
顔にも出さない。

これから、朝起きるのが怖かった。
もしも、朝目覚めて
ミントが息を引き取っていたらどうしよう.と
不安な日々が続いて
朝起きて恐る恐るケージを覗く日々が始まった。

ある日の朝、ケージからガサガサ音が聞こえて飛び起きた。
すると、ミントがケージを登っている。
上にはもう木の棒がないのに、、
ケージを登っていた。
私は涙が出てきた。
僕はまだ元気だよ、大丈夫だよって
少しでも不安にさせない行動をとったのではないかと私は思った。
もしかしたら、上に登りたかったのかもしれないけど、
これはミントにしかわからない。

私は本当に少し安心した。
登れる力がまだあったことに。
ありがとう。

そしてミントが虹の橋を渡る前日の朝、
私はなぜケージを開けて
家事をしていたんだろう。
洗濯を干し終わって部屋に戻ると
ミントがケージから出ていた。
こんなの初めてだった。
とても小さくなった身体と
弱くなった足で頑張って私に会いにきてくれて、私を待っていたんだ。
たくさん抱っこした。
ミント…ありがとうねって。

その翌日。
朝から私はバイトの面接に行った。
行く前に、ミントを抱きしめて
豆苗をあげて
一緒に写真を撮った。
たくさん撮ったし
たくさん寄り添ってチュウもした。

それから私はバイトの面接に行った。
すっかり秋。
曇り空が秋を物語っている。

面接が終わり、電車の中で母から電話がかかってきた。
すごく嫌な予感がした。
ものすごく嫌な予感がした。

駅のホームに降りてすぐ折り返すと
、ミントがもうダメかもしれないと
電話越しで母の声が曇っている。
私は無我夢中で走って帰った。
何故、今日に限ってカッコつけてヒールを履いているんだろうと憎んだが、
私は足が速い。思いっきり駆け抜けた。

すぐにすぐに帰って
ミントに会いに行った。
ミントはもう本当に辛そうで
私の手で昨日よりも小さなミントが
それよりも小さな心臓の音を鳴らしている。

私の両手にはミントがいる。
たくさんミントにかけた言葉がある。
生まれ変わってもまた会おうねって、
また会いにきてね。って
たくさん言った。
そしてたくさんのありがとうを言った。
泣いても泣いても涙が出てくる。
呼吸のテンポが不規則になって
とうとう人間で言う下顎呼吸が始まった。

私にはわかった。
ミントが息を引き取る瞬間、
そして引き取ったあとのことが。
息を引き取った時.
ミントから何かが抜けて
少し軽くなった。
このなんとも言えない気持ち。
気持ちだけは、いつも分からない。
ただ、生きてるもの全てには
魂があるんだと言うことは
しっかり分かった。

ミントから抜けた何かとは、
魂だったと思う。
つまり、ミントの肉体はもうなくなってしまったけど、
ミントの中にあったミントの魂は死んでいない。
魂というのは残り続けるんだということがわかった。

私はたくさん泣いた。
これまで以上に泣いた。
私達が泣いている時に
斜め上から熱い視線を感じた。
こんな事言うとスピリチュアルがどうのって言われるかもしれないけど
私には感じた。
その時分かった。

あぁ、ミントの魂は
今あの斜めの上の方にいるんだって。
とても悲しい裏側で、少しだけホッとしていた自分がいた。
ミントは苦しみから解放されて
今はとても軽い状態になったんだ。
だけどもう二度と会えない。
これは何故こんなにも悲しい事なんだろう。

ミントの魂は残っていても
あの、水色と黄色の可愛くて美しい色で
優しくて、可愛い声のお喋りミントとはもう
会えない。
とても切ないけど
私がこの命を全うしたら
ミントと必ず会えると信じている。
それまで私は生きていこうと決めた。

あれからあと1ヶ月ほどで
一年が経つ。
この1年間、ずっと私の心にはミントがいた。
大丈夫、これからもずっと
私が死ぬまで
私の心にはミントとの大切な思い出が存在する。
ミントの写真を見ると涙がこぼれる。

あの時、私の手でミントは虹の橋を渡った。
看取れたこと、間に合ったこと。
そして、私の帰りを待っていてくれた事。
本当にありがとう。
辛い中、私を待っていてくれてありがとう。

私は24歳。
不思議だよね、12年間ってことは
私のちょうど人生の半分をミントと過ごしたのに
ミントと濃厚に遊んであげたのはほんの数年しかない。
それでもミントとは私が生まれてからずっと一緒にいる気もする。

はじめは、私よりも年下だから
私の弟のように思えた。
いつの間にか私の歳を超えて、お父さんにもなり、やがてお爺ちゃんにもなった。
時には親友であり、恋人でもあったと思う。

私よりも後に生まれて
私よりも先に旅立ってしまって
私はまた大切な誰かを亡くしてしまった。
これからあと何回、これを体験するんだろう。

ミント、また会いたいな。
ミントも私に会いたいね。

でも大丈夫なのは、
私の心でいつまでもミントが生きていること。
そしてまた、ミントの魂は他の者に形を変えて私と会えること。
そして私の最期には、セキセイインコのミントの姿で再会できること。

大丈夫。
私はこの命を大切に生きていくね。

ありがとうミントちゃん🐣


ここまで読んでくださった方々、
ありがとうございます☺️

魂のこと、お話ししてみました。
今回の、ミントのお話も。

今日もありがとうございました🍂


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