アイドルをしていた同級生の話

今でも思い出す話。

高校時代、クラスの一番のギャルがアイドルになった。

その子は確かに可愛かったけど、アイドル！？と当時の私はびっくりしたのを覚えている。

なぜならその子はクラスで誰よりも早く恋愛をしていたり、未成年でタバコもお酒もやっていた子かつ、クラスではいじめっ子みたいな印象もあったから、アイドルのイメージとは似ても似つかなかったのだ。

けど、ちゃんとアイドルになった。

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どうやらそのアイドルグループの中では、その子は清楚系として振る舞っているようだった。

当時のその子は髪を茶髪から黒髪に染め直していたし、確かに元々綺麗というよりは可愛らしい顔立ちだった。

その子がアイドルになってからというもの、時折高校でその子から彼女が所属しているアイドルグループの子達と一緒に写っている写真を見せられて、

この子めっちゃ顔でかいよね
この子はブスだよね

とチーム内の別の子の外見の悪口を私に話してくることがあった。

まぁ、正直私はなんて答えたら良いのか分からなかった。笑

けどそうやってチームの子の悪口を言っていても、
SNSでは「仲良しの⚪︎⚪︎ちゃんと♡」と先程私に見せていた写真を上げていた。

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その子は表舞台では、黒いストレートの髪に可憐なワンピースを着て、ひたむきに清楚で清純な女の子を演じていた。

その姿を見て、その子の推しのファンも徐々に増えていた。

私は高校で過ごしている時のその子の本当の姿を知っていたけど、
ファンの人たちから見れば表舞台に出ているその子の姿こそが本物なんだろうなと思った。

けど、その子にしてみれば「高校にいる時の自分」も「アイドルの自分」もどちらも本物だったのだろう。

アイドル＝偶像の存在だからこそ、表では自分と異なるキャラを真っ当に演じ切っていたのだ。

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ちなみにその後、その子はアイドル活動を早々に辞めて、今はすっかりママになって子育てをしている。

私は芸能の仕事をしたことはないけれど、当時その子をみて少しだけアイドルというものがどういう存在なのかが分かったような気もした。
（もちろんトップのアイドルはまた姿勢が全然違うのかもしれないけど）

あの時にその子を推していた人たちは、きっと記憶の片隅にでも「可憐で清楚な少女」だった彼女の記憶があるのだろう。

それはそれで、アイドルとしては正解だったのかもしれないなと思う。