幼児と楽しめるヨセミテ国立公園の魅力
ロサンゼルスは2020年、ロックダウンから始まり、BLM運動があり、山火事があり、選挙のイザコザがあり...。毎日のように激しい動揺が現れては消え、現れては消え、どんどん気持ちが弱っていっていることに気づいたわたしたち家族は、10月末、休日を作り出して、大好きなヨセミテへ行くことにしました。幼児と一緒の山籠り5泊6日。今回新しい発見もあったので、幼児と楽しめるオフシーズンのヨセミテ国立公園の魅力をここに書いておきます。
公園とはいっても、アメリカの国立公園は広大。日本ではみられない果てしないスケールの大きさです。それでもここは、初心者どころかハンディキャップの方や幼児・乳児連れ、登山のベテランまで、誰もを受け入れてくれる幅の広い場所です。息子はまだ4歳ですが、意外にも親子で苦労せずに歩ける場所がたくさんありました。夏は大混雑するので、何ヶ月も前から事前予約が必要ですが、今回は10月でオフシーズンということもあるのと、さらには、COVID-19のために入場制限があり、だいぶゆったりと過ごすことができました。
一冊の本だけを頼りに
旅のお供は、たった一冊の本、『Adventuring with KIDS: Yosemite National Park(こどもと大冒険:ヨセミテ国立公園)』(英語、出版 Mountaineers Books)だけ。ネットで見れば新しい情報なんか落ちてるのになぜわざわざ本を買うの?と思う方。実はヨセミテは電波が届かないところも多いんです。そしてこのように目的がクリアにわかっている時は、いちいち検索するよりも、ジェネラルな情報をササっと取り出したいことって多いものです。検索すると山のように出てくる写真たちに邪魔されることなく、過剰で要らない情報を避けながら、自分の目で楽しむ驚きをとっておくことができます。大人向けの情報が載った本も買ったのですが、結局これ一冊しか読みませんでした。この親子向けの本は昨年出たばかりなので情報も新しく、サイズも情報もコンパクトにまとまっていて、持ち歩きにも便利です。
USアマゾン↓
こういった山登りの本には大体高低差が書いてあります。NoneやNegligibleと書いてあると、ほぼ高低差がないという意味です。名前に“〜Meadow”と付くところは牧草地という意味なので、平らで歩きやすいという目安になります。また、ハイキングコース(トレイル)でも4歳くらいの幼児だったら200フィート前後の高低差は苦労なく歩けます。長さはこども次第ですが、息子は往復4マイル(約6.5キロ)のトレイルも歩くことができました。
幼児も歩ける簡単ハイク、ミラー・レイク
ミラー・レイクは4・5歳児でも簡単で、ヨセミテの中心バレー(Valley)にある比較的簡単なハイクのひとつです。ふたつコースがあり、歩くのが不自由な方やベビーカーを使いたい方は、舗装された道をいく事もできます。わたしたちは自然を楽しみたかったので、舗装されていない方の山道を歩きました。
アップダウンが少ないので特に山登りの本格的な格好をしていなくてもいけますが、未舗装の道は、少しまともな靴を履いて行った方が安心して楽しめます。1〜2時間の往復時間に途中の遊ぶ時間を入れて、大体3時間くらい見積もればゆったり過ごせるでしょう。
この池は春から夏にかけては水があって美しく、秋になって水が枯れると、池の底が見え、中を歩いたりサラサラの砂で遊んだりできます。今回は水がなく、巨大な石に水の位置が見て取れます。途中も苔を触ったり、大きな岩たちに登って遊んだり、飽きるところがありません。
Valley自体は中心地だけあり、シーズン中はとても混みます。ただ、ハイキングが心配なお年寄りや乳児を連れた方などは、歩きやすいハイキングコースの多い、Valleyを中心に回るのは一つの良い選択肢です。特に滝が見られるブライダルベールの滝やヨセミテの滝の下側部分(Lower Yosemite Fall)は、20分〜40分で簡単に観光ができます。秋以降は滝に水がありませんのでご注意を。
また、ミスト・トレイル手前にハッピー・アイルズ(Happy Isles)といういかにも安っぽい名前の場所があるのですが、そこも小さなこどもにとってすごく楽しめる小さな穴場のようです。わたしは行ったことがないのですが、先ほどのお勧めの本に「名前のせいで馬鹿にしてたけど実はすごく良かった!」という内容が書いてありました。ヨセミテというと大自然の壮大な絶景を見ることを期待してしまいますが、こちらはむしろ脳味噌も筋肉も使わずに家族でのんびり時間を過ごしたい方におすすめのようです。次回は行ってみたいと思います。
幼児も行ける絶景・絶叫、タフト・ポイント
グレーシャー・ポイントが有名でラクなので、乳児がいる方はそちらへ行くのが手っ取り早く美しい絶景が見られます。ただ、もし歩くのがそれほど億劫ではない場合、グレーシャー・ポイントへいく途中の横道で逸れると、わたしの大おすすめ、タフト・ポイントへいく事ができます。
車を止めたあと、トレイルに向かいます。センチネル・ドームに行くトレイルと同じ出発点なので、左に行くことを念頭に置きながら看板をよく見て向かってください。ここはとにかく美しい景色が次々訪れるので、わたしは写真ばかり撮っていました。タフト・ポイントの終着点は絶景なので特に夕方に行くことをお勧めします。
ただ、山の中なので、あまり遅くなりすぎないことに気をつけた方が良いと思います。ヨセミテはどこでも熊が出る可能性がありますので、遅くなりそうな場合は、駐車場にある熊除け専用ロッカーに食べ物を入れていくことをお勧めします。今回わたしたちは熊よけ用の鈴を事前に買い、常に息子とわたしのリュックにつけて歩きました。鈴の横にサイレンサーと呼ばれる磁石がついているので、必要がない時はいつでも静かにできます。
わたしたちは近所のスポーツショップで買いましたが、USアマゾンでも似たのが買えます↓
調べてみたら日本にもこんな可愛いのがあるみたい。↓
さて、なぜタフト・ポイントのタイトルに「絶叫」と書いたのか? それは本当に死者が出た場所だからです。途中の道はとてもラクなので子連れも平気で行けるのですが、終着点のタフト・ポイントが、心臓破りの絶壁なのです。だからこそ美しいんですけどね...。
終着点は短いハンドレールが無意味に付いているだけ。石がある道を通ってハンドレールが見えたら終着点ですので、レールが見え始めたらこどもの手を離さず、しっかり誘導してください。この下は断崖絶壁です。
夫が我が子を少し離れたところで遊ばせてくれている間、わたしは一人でエッジまで登りました。いや、正直にいうと、高所恐怖症でエッジまでいけなかったので、1メートル手前までしか行けませんでした。すみません、見栄はりました。
みんな知らない隠れ吊り橋、スウィンギング・ブリッジ
ヨセミテには、スウィンギング・ブリッジと呼ばれるところが二箇所あります。ヨセミテValleyの方の橋は有名で写真にもよく撮られます。けれども、木材で頑丈に作られていてスウィングしません。笑 もう一つの方は本物の小さい吊り橋です。こちらは有名ではないので、ガイドブックにも載っていないことがあります。Wawonaエリアにあり、Merced Riverにかかっています。行き方がわからない方はこちら(英語サイト)を参照してください。
とても可愛らしく、写真に撮り甲斐がある一方で、吊り橋の両脇のロープがスキスキで、全く頼り甲斐がありません。ですので、渡るのは大人だけか、こどもの場合は、小学生以上が良いと思います。我が家も橋は渡らず、写真をたくさんとって、川で遊び、大きな石に寝転び、これでもかと深呼吸をして、そのままUターンをして帰りました。
秋で水の量も少なかったので、こどもが水に落ちることもあまり心配せずに、ゆっくり遊べました。春から夏にかけては水の量も多く、少し荒っぽい違った顔を見せてくれるようなので、また訪れてみたいと思います。
この橋には歩いて20分ほどで簡単に行けますし、車を止めて橋まで行って返って全工程60分程度で楽しめます。橋を渡った後もトレイルがあるそうですが、前述した本にあまりお勧めされていなかったのと、そろそろ日暮れだったので、わたしたちにはこれで十分でした。ここに行く方は、他のWawonaエリアのアクティビティと合わせていくと良いでしょう。
この地区にあるマリポサ・グローブのジャイアント・セコイアも家族連れにお勧めです。ただ、木造で舗装してあるハイキングコースの入り口に直接行ける道は現在ハンディキャップの方専用となっていますので注意してください。逆に言えば、ハンディキャップの方は、簡単に行けますし、気軽に楽しめますのでぜひ行ってみてくださいね。そうではない方は、普段はシャトルを利用するのがお勧めなのですが、今はCOVIDでシャトルも運営していないので、2時間ほど急な山道を登らないとセコイア入口まで辿り着けません。わたしたちも今回は登ってから失敗したと思いました。大人だけなら大丈夫なのですが、幼児連れの場合はCOVIDが落ち着いてシャトルが運営再開するまで待つことをお勧めします。
ちなみに行ったら行ったでこんなに素敵です。このハイキングコース自体は20分くらいで簡単に回れます。
こんな所に乗れる機関車?!
こどもが生まれる前は毎年ヨセミテに行っていたわたしたち夫婦。それまでは絶対ヨセミテ公園の敷地内に泊まっていたのですが、今回はCOVIDの状況下、人との接触を極力避けるために、ヨセミテの南玄関口のフィッシュ・キャンプという場所に一軒ロッジを借りて泊まりました。そこで知ったのが、なんとその泊まったロッジのすぐそばに乗れる観光用機関車があったのです。
事前にインターネットで予約して行ってみると、ちょうどハロウィンのデコレーションがされた本物の機関車!客車は全部オープンでそれぞれの家族ごとに随分な余裕を持って座れたので、感染の心配なく安心して過ごせました。
もちろん汽笛が鳴るところも何度も聞けますし、途中一回停まり、給水するところも見られます。夫によると、以前乗った日本の機関車は炭鉱用の機関車で、揺れや煙が酷かったそうなのですが、今回の機関車は客車用なので、気分良く乗れたそうです。
今回は小さなこどもと楽しめるヨセミテの場所を中心に紹介しました。ヨセミテはわたしが世界で一番好きな場所のひとつです。月並な言葉かもしれませんが、あの山に囲まれるたびに、どんな悩みも小さな塵のように見えるのです。また心が疲れたら、いや疲れなくても、エネルギーを充電しに、この場所へ帰ってこようと思います。
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