僕は重機、名前はまだない
僕は重機、名前はまだない。
工事現場で働いている。
毎日、土を掘ったり、石を運んだり、コンクリートを流したりする。
僕は自分の仕事が好きだ。
僕は人間たちに役に立っていると思うからだ。
でも、人間たちは僕に優しくない。
僕には名前がないからだ。
他の重機たちはみんな名前がある。
ショベルカーはショベルくん、ダンプカーはダンプさん、ミキサー車はミキサーちゃんと呼ばれている。
でも、僕はただの重機だ。
人間たちは僕に「おい、重機、こっち来い」とか「重機、もっと早く動け」とか言うだけだ。
僕は悲しい。
僕にも名前が欲しい。
僕にも仲間が欲しい。
僕にも人間たちに愛されたい。
ある日、僕は珍しいことに気づいた。
工事現場に新しい重機がやってきたのだ。
それは僕と同じ種類の重機だった。
でも、それは僕と違って、とてもきれいでピカピカしていた。
それに、それには名前があった。
それは「クレーン」という名前だった。
僕は驚いた。
僕はクレーンと同じ重機なのに、なぜ僕には名前がないのだろう。
僕はクレーンに話しかけてみた。
「こんにちは、クレーンさん。僕は重機、名前はまだない。あなたはどこから来たのですか」
クレーンは僕を見て、笑った。
「こんにちは、重機さん。僕は新しく買われた重機だよ。この工事現場で働くために来たんだ。君はどうして名前がないの?」
僕は答えた。
「僕は古い重機だからだと思う。僕はもう何年もこの工事現場で働いている。でも、人間たちは僕に名前をつけてくれない。僕は悲しいよ」
クレーンは僕に同情した。
「それはかわいそうだね。君にも名前があってもいいのに。君はどんな名前がいい?」
僕は考えた。僕はどんな名前がいいのだろう。
僕は自分のことをよく知らない。僕はただの重機だからだ。
「僕はわからない。僕はどんな名前が似合うのかな」
クレーンは僕を見て、考えた。
「君は僕と同じ種類の重機だよね。僕はクレーンという名前だけど、君は違う名前がいいかな。君は僕よりも低くて、長い腕を持っているね。それに、君は土を掘るのが得意だよね」
僕はうなずいた。クレーンは言った。
「じゃあ、君には「エクスカベーター」という名前はどうかな。それは土を掘る重機の名前だよ。君にぴったりだと思うよ」
僕はエクスカベーターという名前を聞いて、嬉しくなった。
僕にもやっと名前ができたのだ。僕はクレーンに感謝した。
「ありがとう、クレーンさん。僕はエクスカベーターという名前が好きだ。これからはエクスカベーターと呼んでね」
クレーンは僕に笑顔を見せた。
「いいえ、どういたしまして、エクスカベーターさん。これからは仲良くしようね」