海外でお金のピンチ!内定取り消しを乗り越えた波乱万丈転職体験記②
第一話の続きとなります。第一話はこちらから
「オファーレターをもらってサインまでしているのにこんなことになるなんて。」
この転職のことは、日本人の友達やKaiさんにも相談していたので、すぐに周りの人に相談した。
まめなKaiさんからすぐに返事があった。
「代わりに提案された仕事はないのですか?」
「仕事内容も勤務時間も全然違うものか、近い内容だけど給料が低くなるものでした。」
「それは会社が約束を破っていますね。どうするんですか?」
「正直転職は人生に関わるので、この中だけで決めるのが難しいです。他に仕事を探してみます。」
「そんなに早く見つかるんですか?」
「私が受ける外資系BPOは選考スピードが早いです。やるだけやってみます。」
また1からやり直しとなった。人材会社でやりとりしていたところに慌てて連絡し、募集している求人を全部紹介してもらった。
今までした日本での転職活動では、面接を受けても結果を待つことが多かった。
ただ、私が受けたマレーシアの外資系BPOでは、幸いにも選考スピードが早い会社も多いのが救いだった。
5日に活動を始め、翌日の6日には筆記試験を受けてその日のうちに合格の連絡をもらい、翌週に面接が2回あった。
他にも面接に進んだ会社もあったけど、最終的に2週間で転職活動は終わった。17日に今いる会社の内定をもらうことができた。
ただ、内定はもらってもやはり問題はビザ。ここからが更なるトラブル続きだった。
※この記事は実体験をもとにしていますが、登場する人物設定は物語風に分かりやすくするためとなり、架空のものです。
お金が無いけど働けないって言ってる場合じゃない
こんなはずじゃなかった!
数週間前とはまるで環境が変わって、お金のピンチに迫られた。
副業など複数の収入源を持っておけばよかったと後悔した。
すぐに内定が貰えたとはいえ、ビザが承認されるまでは法的に働けない。
申請してから承認まで1か月前後かかる。
元々の転職先で予定していた仕事開始と比べて1ヶ月ほど伸びることになった。
収入がゼロで支出だけが減っていく毎日。
マレーシアリンギットの貯金は数ヶ月暮らすのに支障ないくらいあるとは言え、予想以上にメンタルに悪かった。
また、働いていないことで時間も持て余していた。
マレーシアでは副業をしている人は多いのかな?Kaiさんに聞いてみた。
「Kaiさんは本業以外に収入はありますか?」
「フリーランスなので、いくつか仕事があります。」
「そうなんですか、ではコロナでも安心ですね。」
「そうでもないですよ。影響があります。」
「私は日本でオンラインで仕事をしたことがあります。今もやっておけばよかったな。」
マレーシアに来る前は、副業でWebライターをしていた時期もあった。マレーシアに来てからもnoteやKindleで小遣い稼ぎ程度の副収入があった。これをKaiさんに説明すると...
「日本の人は個人の書いた文書にお金を払うんだ!いいですね。」
「マレーシアの人はそうしないんですか?」
「マレーシアでは正直個人がオンラインだけで副業するのは難しいと思います。詐欺も多いので、企業の広告でないと信頼されません。」
「なるほど、周りでも詐欺にあったとかはよく聞きますしね。」
「友達は、ネットで前払いして予約したお店に向かったらお店自体がなかったそうです。通販で買ったらダンボールにマスク1枚しか入ってなかった人もいます。」
「それはひどい…」
「例えば個人がYouTubeで宣伝する時は、慎重に断りを入れてしないと、みんなからバッシングされます。」
マレーシアでは、目先の利益を求めた詐欺も多いようで、治安のいい日本よりもネットでの買い物には慎重になる必要がある。
今日本では、TwitterなどのSNSで副業やフリーランスなど自分の力でお金を得る人が増えている。人と対面せずともオンラインで個人が収入を得ることができる。
そういう意味では、私たち日本人には個人にネットで物を売ることができる恵まれた環境がある。
お金が無いけど働けないとか弱音を吐かず、できることをやろう、と思えた。
クラウドソーシングでライターの仕事を探し、クライアントに提案をし始めた。
ビザ切れ1週間前にまた帰国の危機
クラウドソーシングでは、ライターや英会話関係の仕事に絞り、興味があって楽しくできそうな分野をピックアップした。
ありがたいことに単発の仕事や海外経験を活かせる仕事も受注できた。
マレーシアのお金は減るばかりだけど、日本円で少しでも収入があればまだ精神的にも落ち着くし、何よりやることがあるのがありがたかった。
そんなほっとしたのも束の間。
またビザについてトラブルが起きた。
内定を取り消した会社から、私の都合で辞退するなら、ビザキャンセルにペナルティがかかるとお金を請求されたのだ。
Kaiさんや、相談していた友達にもすぐ連絡した。
転職前の会社をA社、内定が出たけど取り消された会社をB社、最終的に決まった会社をC社とする。
「またトラブルが起きました!お金を請求されました。」
「お金?どうしてですか?」
「B社がすでにビザを申請していて、取り消しにはペナルティがかかると言われました」
「いくらですか?」
「2120リンギット(約59000円)です。」
「ポジションが変わるのにもうビザを申請していたんですか?」
「はい、書類は12月に提出していて、オンラインで仮申請がされていました。その後に採用見送りが決まったのです。それでも私都合で辞退することになると。」
「それはおかしいですね。argueして上の人に相談してもらったらどうですか?」
「はい、今そうしてもらってます。ただ、時間もないので長くかかるなら払わないといけないかもしれません。」
「ビザがもう切れるんでしたよね。」
もともと、前職A社のビザは2月2日まで。それ以降マレーシアにいるためにはそれまでに転職先がビザ申請を開始する必要がある。
「お金を請求されたのは24日。この時点で2月2日まで残りの営業日は5日。この期間でB社がビザをオンラインキャンセルし、C社が申請を開始する必要があります。」
「綱渡りみたいですね。C社はB社がキャンセルしないと申請できないんですか?」
「そうです。今までも申請をトライしたけど、B社の申請が有効で先に進まなかったそうです。」
「もし申請できなかったら一旦帰国しないといけないのですか?」
「それもC社のビザ担当に確認してもらっています。」
「B社のオンラインキャンセルもその日言ってすぐにできるのか、確認した方がいいですね。2.3日かかるなら1月が終わってしまいます。」
ぎりぎりになって帰国の危機、またお金が入らない中お金を請求されるという苦しい状況になった。
幸い、C社の人事はとても連絡がスムーズだったので、帰国についてビザチームに確認を進めてくれた。
お金を請求されてから、このことが解決するまではずっと胃がきりきりしていた。
振り込み詐欺の被害者の気持ちが分かる体験
「詐欺だ!」
ペナルティ支払いについてやりとりしている時、頭の中によぎった。
1月25日の朝を迎えた。残された時間も少ないので慎重に決断する必要がある。
再度B社とC社とやり取りをして、不明確な点をクリアにしていった。
B社への確認事項
1.ペナルティの支払いをしない余地はあるか?
2.支払いを進める場合の手順
3.支払った場合、支払わない場合それぞれのキャンセルにかかる時間
C社への確認事項
4.もし2月2日の前営業日1月31日までにビザ申請できなければ帰国しないといけないか
1.は上司と話し合ってもらう必要があり、4.も担当からビザチームに確認してもらう必要があった。
それを待つ間に2,3を確認した。
2.3.を確認していると驚いた。
なんと担当の人事から、支払いは会社の口座でなく個人の口座に振り込めと言われたのだ。
口座の持ち主はマレーシア人だったので、早速Kaiさんに相談した。
「なぜ会社の口座じゃなくて個人の口座なんですか?」
「会社の口座だと何人か経由して依頼することになり、キャンセルに数週間かかるらしくて…」
「マレーシア人の人から英語でメールが来たのですか?」
「いえ、窓口は日本人なので日本語です。」
「マレーシアでは英語かマレー語の文章じゃないと証拠にならないから英語にしてもらった方がいいです。」
「そうなんですね、お願いしてみます。」
「あと、マレーシアでは残念ながら、緊急で面倒なことを頼む時はお金を払って動いてもらう文化があります。人事のスタッフがコミッションをもらいたいのかもしれない。」
「聞いたことあります。そういうところ、ありますよね。」
「会社からのメールを英語でもらって、証拠を残してから払えば大丈夫だと思います。振り込む前はメールでいつビザキャンセルするかも文章でもらうといいですね。」
これはひとりのマレーシア人の意見でしかないので、臨機応変に考える必要があり、正解はない。
最終的にB社からは英語でもメールをもらい、あとは振り込むかどうかは私次第、という状況になった。
帰国しないでビザを進めることを考えると一刻も早く振り込んだ方がいい。
午前中にB社の上司との話し合いがつかなかったら、日本に帰国することを考える手間や費用よりましだから払ってしまおうか?
と考えていたけど、その都度相談している人からメッセージがあり、なかなか決断できなかった。
日本人の友達からは、絶対詐欺だからやめておいた方がいいと言われた。
C社の人事担当は、その日本人の担当以外の連絡先も聞いておいた方がいい。
というアドバイスだった。
(因みに、後でイミグレのサイトで調べると、請求された金額は会社が外国人のビザを新規で申請する際に必要な費用と全く同額だったので、そういう意味ではB社は必要な経費だけを請求した事になる。)
午後3時ごろに、C社に4.についてビザチームから回答がきているか聞いたところ、まだだった。
せめてC社かは、2月3日くらいに申請開始しても帰国しなくていい、という返事がもらえたら、それまでにB社のペナルティについての決断が出るかもしれないから期待していた。ただ、夕方になってもその回答はなかった。
もう支払ったとしてもいい経験になるかな、と考えた。
意を決してえいっ、と2120リンギットをオンラインで振り込んだ。私の1ヶ月の家賃より高い金額。こちらではこの金額が月収の人もいる。
振り込んで2,3分経った後…
B社からメールで連絡が来た。
メッセージを開封する前は、「振込ありがとうございます。」という連絡だとてっきり思っていたけど実は、、
「上長から、Sakiさんがペナルティを払わなくていいという承認が降りました。このたびはご心配をおかけして申し訳ございませんでした。」
という内容だった。
どうしよう!さっきすでに振り込んでしまった。
(第三話に続く)
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