わたしのような天気

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音楽になる前の音の話

 「もしよかったらこれ(びびちゃんのCD「あるある超えないと!」に収録されている楽曲「大人になりたかったらしい」。天気の声が入ってる)についてのコメントを天気ちゃんもちょっとかいてほしくて、つくったときどうだったとかでもいいし、曲聴いた感想でもいいし!超長くても1行でも」とびびちゃんから連絡が来たのが4月3日。この文章の締め切りは4月8日。17日前だった。締め切りといっても、私が締め切りがないと書けないから適当で良いのでと無理矢理決めてもらったものだからそんなに厳密なものでは

    • 失敗した!!!!!!!!

      してない!!!!!!!! してない、してないのである。してない。 (このテキストは専門用語がきっとたくさん出てきます。でもそれが理解できなくても話の本筋は掴めると思うのでそこまで説明せず進みます。それでも読みにくかったら苦情をDMまで。)  私は確かにカメラという装置を使って、フィルムに像を焼き付ける行為をしているけれど、私がやっていることは写真、といえるものなのだろうか。私はどうしても美しいものを美しいままに捉える写真行為に死ぬほど興味が持てないでいる。  私の愛機は1

      • おとなになること

         あの童話作家は、おとなにならないために自殺したらしい。  おとなになることとはなんだろうか。親と仲良くできるようになることだろうか。にきびが吹き出物に変わることだろうか。できなさが、個性から欠点に変わることだろうか。社会のルールや常識に、なんの疑問も持っていないように振る舞い従うことだろうか。それは諦めだろうか。  彼の中には、「こども」と対比された「おとな」像が恐怖の対象として存在したのかもしれない。そしてそれが、描けなくなることへの恐怖なのだろうということは容易に想像が

        • 撮られることは演じること/撮ることは演じさせないこと

          池袋の繁華街を歩いていると、雑居ビルの一階の廊下が入れるようになっていたので、そこを歩いてもらうことにした。薄汚れた蛍光灯の光が理想的だった。 私を背にして歩いて、という。 少し歩く。 うん、やっぱりこの光は合っている。 カメラを構える。 その状態のまま、「りんちゃーん」と、名前をよぶ。 少し高い、突飛な声。陰キャっぽい、きもい声。 するとりんちゃんは「え?」という顔で振り返る。 りんちゃんは、私がカメラを構えていることに気がついた。 その瞬間、シャッターを切る。 その次の瞬

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        • 作品のこと
          7本

        記事

          必要に駆られる

           ずっと前から身体表現には興味があったが、最近は個人的な身体の癖について考えている。例えば私は笑う時、右の口角が先にあがる。そして口角というより頬の筋肉が上に上がっている気がする。他にも歩く時、右足が地面についている時間の方が左足がついている時間よりも長い。靴の裏を見るとよくわかる。明らかに右足の底の方が削れている。特につま先の方。そしてそういう癖は、肉体的・精神的な様々な要因が重なって生まれていると思う。そしてそれらが全て連携している。  最近は日々の生活の中で、こういうこ

          (脚本)月色のアイス砂の味〜表現者にしか売りたくない 編〜2022.10.24

          10月24日トークイベント「ことりかたり」で上演した20分の一人芝居作品です。 🌦…わたしのような天気 💖…17歳の私

          ¥1,000

          (脚本)月色のアイス砂の味〜表現者にしか売りたくない 編〜2022.10.24

          ¥1,000

          表現者にしか売りたくない

           私は、最近、自分が表現を通じてやりたいことと最も近いことをやっている表現者に出会った。  その人は写真家だった。  日常的に作品を作っていない人の表現者性を、その人を写真に撮ることを通じて開花させるような写真行為をする人だった。  一連の写真行為において、その写真家は、彼本人の人間性で被写体と関係性を築き、撮影をすることによってその関係性を歪ませ、破壊し続けていた。暴力や乱暴な言葉などはなく、ただ写真を撮られ続けるために、被写体は自然と表現者として立たざるを得なかったのであ

          表現者にしか売りたくない

          「3人しかいない!」文章アーカイブ

           私は2022年9月10日、東京都大島の貸民家プライベイトにて、歌って踊れる似顔絵師このよのはるとのコラボ展示兼イベント「3人しかいない!」を行いました。詳しくは展示の前日に書いたこのnoteをぜひ読んでください。  簡単に要約すると、これは家族をテーマにした展示兼イベントです。(ちなみに「3人しかいない!」というタイトルはテレビ朝日のドラマ「11人もいる!」のオマージュ。)私たちは理想の家族の形を「依存し合わずただそこに居ることができる人間関係」と定義し、そしてそのような

          「3人しかいない!」文章アーカイブ

          父が浮気をした。それが少し、嬉しかった。

           父が浮気をした。  いや、本当に浮気かどうかは正直わからない。  でも、駅に父が車で迎えに来てくれた時、私が乗った瞬間信じられないくらい焦って車のカーナビと同期されていたスマホを操作していた。焦りすぎて、LINE通話を切る、ぴろん、という音が時差ではっきり聞こえた。そして何事もなかったかのように「おかえり」って。  浮気かどうかはわからない。でも私に、家族に何か隠していることがあるのは確かだった。夫婦仲がめちゃくちゃ良くて、結婚してから一度も喧嘩した事のないような気の弱いあ

          父が浮気をした。それが少し、嬉しかった。

          百鬼夜行と夏の妖怪

           中学生のときは、私も私ではない多くの人と同じように、当たり前に死にたかった。  生きていることが異常で、その対局に位置する死に、救いを求めていた。そしてその感情を正当化するために、やはり多くの人と同じように自傷行為をしたりどうでもいい人と恋愛をしたり、痛くなることで、どうにかなろうとしていた。  だけど高校生になって、私はとうとう自己表現に手を出してしまった。  初めてやったのは映画だった。この映画のことに関しては、またいつか文章を書こうと思っている。ともかく、映画作るよ

          百鬼夜行と夏の妖怪

          たからもの拾い

          わたしのような天気ちゃんと9月にドキドキな貸民家プライベイトでパフォーマンス展示するよ!家族✌️ 先がけて 7/2(土)渋谷で宝物探しします 街を歩いて自分のとっておきを拾ってあそぼ〜! 集合場所 渋谷美竹公園 時間   15:00〜17:30 予約不要、無料 (このよのはるのツイートより) ↑やります。  適宜ちゃんに「2日なにやるの?もの拾うだけ?」って言われたけどガチもの拾うだけ!でもこれまで誰にも言ったことなかったけど天気もの拾い名人なんだ〜このよのはるもね。

          裏修学旅行

           2020年11月、コロナ渦真っ只中。天気17歳。高校2年生。  高校2年生の修学旅行は、学校のカリキュラム的にベトナムに行く予定だった。とても楽しみだった!!私は世界史が好きで、東南アジア史とかかなり面白かったし、その国の文化にも興味があった。  でも案の定、私たちの学年のベトナム行きは中止になった。コロナのせいで。そして何故か、その代替行事として私たちの学年は富士急ハイランドに行くことになってしまった。その時私はまた当然、そんなとこあんな奴らと絶対行くもんかと思って、母

          化け物だって愛がある

           17歳の夏。スカイツリーの袂に建てられた竹の舞台で、ストリッパーの牧瀬茜さんの芝居と踊りを見てから私の将来の夢は、ストリッパーになることだった。名前は以前から知っていた牧瀬茜さんは、生で見ると本当に、女神様だった。本当に美しかった…。  私はもちろんストリップの「脱ぐ」ところに憧れを抱いているわけではない。全てを曝け出し、あの舞台に立つことは、生まれ持った自分の身体を魂の入れ物として惰性で持っているのではなく、自分で選択して得ていることの何よりもの証拠だと思うのだ。  だけ

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          私の母には子宮がない

          先週の日曜日、家に妹の中学時代の友達が家に遊びに来た。 …とんでもないことである。 だって私の家には、今年高校1年生になる妹はおろか、今年19歳の私ですら生まれてから一度も、家に友達を呼んだことがなかった。 母親に、禁止されていたのである。 厳密に言うと妹は一度小学生のとき、仲の良い友達を親に内緒で家に呼んだことがある。それがバレた時妹は、「〇〇ちゃんが実は泥棒で、家のものを盗んで行ったらどうするんだ!!そしたらお前は〇〇ちゃんを犯罪者にしたことになるんだぞ!!」と、すごい剣

          私の母には子宮がない

          映画GO HOME, GIRL

          (これは2021年に出演した渡邉龍平監督の映画GO HOME, GIRLの感想文です。仮面ライダー2号の佐々木剛さんと共演させていただきました。渡邉龍平監督に送った文章をそのまま載せています。映画のこと、物語のこと、演技のことなど。映画公開の時はまた告知するよう)  まず演技のこと。撮影時から思っていたことですが、佐々木さんがいる時の画面の包容力がすごかったです。今まで舞台や映画など数少ないですが、やってきた中で、同じ空間にいると取り込まれる人、とか、共演者・観客ともども空

          火星はもうすぐ死ぬ

           「この中学校に合格しないと将来水商売で働かなきゃいけなくなるよ!」「部活に入らないと将来水商売で働かなきゃいけなくなるよ!」「保健室に行かずに毎日学校に通わなきゃ将来水商売で働かなきゃいけなくなるよ!」・・・等々。「〇〇できないと将来水商売で稼がなきゃいけなくなるよ」が母親の口癖だった。母親がまるで「悪ことをすると妖怪に食べられちゃうよ」のような言い方をするもんだから、私は無意味にそれが怖く恐ろしいことなのだと思っていた。実際、母親はそう思わせる目的でそう言ったのだろう。し

          火星はもうすぐ死ぬ