英プロデューサーDavid Stewartが語るBTSの楽曲"Dynamite"の制作秘話
こんにちは。Minimal Orderです。
はじめに
プロデューサー/アーティストの制作術にクローズアップしたマガジンの企画で、英プロデューサーDavid Stewartをピックアップ。
Davidは、2020年BTSの楽曲"Dynamite"の共同プロデュースで一躍有名になりました。*同楽曲はJessica Agombarとの共同プロデュース
今回は、米メディアGeniusの名物企画Deconstructedから、Dynamiteのトラック制作秘話に迫った回、"The Making Of BTS’ (방탄소년단) “Dynamite” With David Stewart"を抄訳していきます。
元ネタ動画
Davidご本人が語るこちらの動画が今回の情報源です。
対象楽曲: Dynamite / BTS
"Dynamite"制作秘話 David Stewart
1) 最初のキーワードは楽しさとテンポ良さ。
制作陣は、どこをとっかかりにすべきか決めかねていたけれども、
本人たちが「楽しさとテンポの良さ」を望んでいると知っていたので、そのあたりをとっかかりにしたようです。
少々強引に一般化しますが、何かしら曲のキーワードを決めて制作を始めることは、単独作業においても、コラボレーションにおいても有益そうです。
また、ロンドン西部に住むDavidは、ロンドン東部Jessica Agombarと制作を開始。文字通りロンドンの東西を結ぶコラボレーションでした。
しかし、コロナ下ということもあり、コラボレーションは基本Zoomだったそうです。
2) テンポに合わせて身体を揺らしていたら、必要なサウンドが思い浮かび始めた
いや、そこそんなにスムーズに思い浮かぶんかい!
と、思いましたが、よくよく話を聞いてみると:
テンポに併せて思い浮かぶフレーズをひたすら記録する
ある程度量が得られたら、気に入っているフレーズであそぶ
最終的に納得のしたフレーズを完成させる
というフローだったようで、まさに入り口は(多くの人が語るように)質より量を優先させるモードが先行していたようです。
3) キックやスネアのレイヤーづくり
多くのプロデューサーとも共通しますが、同じ楽器を複数重ねています。違う役割を担わせ自然なゆらぎを生んだり、音に厚みをもたせようとしているのだと思います。
例えば・・・
キックは
ボトムキック:重い方のキック
トップキック:「クリック」と呼んでいます
スネアは
パンチースネア:文字通りパンチ力のあるスネア
ファッタースネア:他方、太く伸びる音でしょうか
どのような音作りにするか、正解はありませんが、
「なぜ音を重ねたか」「それぞれにどのような役割を担わせているのか」を言葉で説明できると自信をもって制作が進められそうだなと思いました。
4) 言語化・言語化・言語化
4分前後のキーボードについて言及するパートで顕著ですが、音を「〇〇のような」と例えられる言語力は、動画視聴者の理解にも役立ちますし、おそらく制作・コラボレーションの際も大事なのでしょう。
例:Rockピアノ。エルトン・ジョンのようにハードで、光り輝いていて(Groccy)、80年代的な
5) Uptown Funkでもホルンを吹いているJohnny Thirkellが参加
ホルンには、Johnny Thirkellの生演奏を録音。
これにより、DynamiteはJohnnyにとって25番目の全英ナンバーワンソングとなったそうです。
おわりに
今回は、BTSの楽曲"Dynamite”のトラック制作背景をピックアップしました。伝説的なホルン奏者が参加するなど、規格外のプロジェクトであることは確かですが、
・自分のため、チームのため「言語化」を大切にすること
・質より量を優先させ有望アイデアの原石を探すこと
は私達の制作現場にも応用できそうな視点でした。