「ホメられたい」病がもたらす悪影響
日本では、「日本すごい」っていう類いのテレビ番組や特集記事が増えているそうですね。
個人レベルでも国レベルでも、自己の能力や成果を正しく評価することは大切ですが、いきすぎると問題です。
とくに、大してスゴくもないのに、すごいすごいと自画自賛するにいたっては、もはやメンタルヘルスを疑ったほうがいいかもしれません。
こうした日本の最近の傾向は、すでに多くの人が指摘されているように、日本人の自信喪失が原因のひとつでしょう。
今の日本は、もはや経済大国でも技術大国でもなくなりつつありますから。まぁ、それを言い出すと、ほかの先進国も似たり寄ったりですが。
こうした「ホメられたい病」は、何も日本だけに見られる傾向ではありません。欧米諸国においても、「とにかく人からホメてもらわないと気が済まない」という人は増えています。"Praise addiction"や "praise junkie" (ほめ中毒)と呼ばれる心理的傾向です。
とはいえ、日本のように、国やメディアがこぞって「日本すごい」とやっている例は珍しいように思います。
ホメられたい病がなぜ悪いか
ほめてほしい願望が極端に強まるのは、自信の無さ以外にも、いろいろ理由はあります。
ひと頃から盛んに言われだした、「セルフ・エスティームを高めよう」という潮流が、裏目に出たという意見もあります。
いずれにせよ、根底にあるのは劣等感です。
原因はいろいろあるにせよ、この、いわゆる「ホメられたい病」は、はたで見ていてウザい、ということにとどまらず、様々な形で悪影響を及ぼします。主なものを列挙すると;
ホメられること(または、褒められるであろうと当人が思い込んでいること)しかやらなくなる。
何かを成し遂げた時、承認・称賛をうけることにのみ喜びを感じ、達成したこと自体に喜びを持てない(達成感を得られない)。
ホメられるか褒められないかという、他者の評価基準に依存して、ものごとの良し悪しを自分で判断できなくなる。
批判や助言を受け入れない。
称賛にあたいすることが達成できなかった場合、あたかもできたように虚偽の結果を捏造する。
ホメてくれない相手を恨んだり嫌ったりする。
ホメてくれない相手を攻撃する。
こういう症状が個人レベルで強くあらわれてくると、カウンセリングが必要な場合もあります。
個人なら、カウンセリングや家族・友人の理解や支えで軽減できることもありますし、社会生活に支障をきたすほど症状がひどい例はまれでしょう。
ただ、こういう傾向が、政府や国全体で強まった場合はどうなるんでしょう。心配です。