未来を先取りする建築家、ビャルケ・インゲルスとは?国内外での実績を紹介
いま最も話題な建築家の1人である「ビャルケ・インゲルス」をご存知でしょうか。建築好き以外の方にも知っていただきたいすごい建築家なので、彼の実績や概要をまとめます。
ビャルケ・インゲルスとは?
ビャルケ・インゲルス(Bjarke Ingels)は1974年生まれ、デンマーク・コペンハーゲン出身の建築家です。
幼少期は漫画家を目指していましたが、18歳の時に建築の道を志すようになり、世界的な名門「デンマーク王立美術院」や「カタルーニャ工科大学」に進学。31歳(2005年)のときに『Bjarke Ingels Group (BIG)』を設立し、2021年までに500人規模の国際的組織までに成長させています。
VIA 57 Westをはじめとしたアメリカ全土のプロジェクトに携わり、37歳(2011年)でWall Street Journalのイノベーターオブザイヤーに選出。42歳(2016年)のときにはタイム誌で「最も影響力のある100人」の1人として選出されています。
ビャルケ・インゲルスの代表的なプロジェクト
『Bjarke Ingels Group』はまだ若い組織ですが、数々の有名プロジェクトに携わっています。中でも話題になったものをいくつかご紹介していきます。
Googleの新社屋『Google Bay View』
アメリカのカリフォルニア州、いわゆるシリコンバレーに建てられたサーカスのテントのよう外観がGoogleの新社屋です。『Bjarke Ingels Group』と『Heatherwick Studio(へザウィック・スタジオ)』という2つの先進的チームが協力して設計したことで大きな話題を呼びました。
アフターコロナの新しい働き方にも対応した設計で且つ、2030年までに24時間365日カーボンフリーエネルギーで稼働することをミッションとした、まさに新時代のオフィスに相応しい建築となっています。
トヨタの実証都市『Woven City(ウーブン・シティ)』
トヨタ自動車がCES2020で発表したコネクティッド・シティ・プロジェクト「Woven City(ウーブン・シティ)」。富士山のふもとにある静岡県裾野市に、2,000名規模の住民が暮らす実証都市を作るという、壮大なプロジェクトを『Bjarke Ingels Group』がゼロから設計します。
ちなみに、このウーブン・シティはその後どうなったのか。
当時、ウーブン・シティと連動して裾野市が推進していた次世代型近未来都市構想が市長の交代や「市民生活の現状にそぐわない」と判断されたことにより、裾野市側のプロジェクトは廃止になっています。しかしウーブン・シティとしては2024年に第1期の建物が完成予定。その後、2025年の一部実証開始に向け準備を進めているとのことです。
映画化もされた廃棄物発電所「コペンヒル」
後に「コペンハーゲンに山を」というタイトルで映画化もされたこの建築は、「平坦な地形のコペンハーゲンには山がない。でも、ゴミ焼却用発電所という“ゴミの山”があるじゃないか!」というビャルケの発言でスタートしたプロジェクトだそう。
この大きな山の内部には再生電力用の最新鋭の巨大タービンが回り、屋上ではスキーやジョギング、ハイキング、ボルタリング、ジャズコンサートなど、老若男女が楽しめる施設も併設されているという世界に類を見ない施設となっています。
大胆ながらも「サステナブル」や「遊び」、「未来都市」を融合した施設であることから多方面から評価され、SNSでも多くの投稿を見かけるようになりましたね。
ハリケーンや海面上昇に耐えられる水上都市『オセアニックス釜山』
韓国・釜山で設計が開始されている『OCEANIX Busan(オセアニックス釜山』は世界初となる水上都市(または海上都市)です。2030年釜山世界博覧会に合わせて完了する計画で既に着工しています。
台風による浸水被害も多い釜山での水上都市ということもあり、今回のプロジェクトは未来の水上都市のモデルケースにもなると言われています。海上に浮かぶプラットフォームは海面の高さに合わせて上昇。プラットフォームの下にはホタテや昆布を養殖することができるケージが設置され、食料やエネルギー、水を自給自足できる設計になるとのこで、なんとも未来感が満載です。
多彩な設計・建築実績
前述で挙げたプロジェクト以外に、ビャルケ・インゲルスが手がけた代表作の一部をご紹介していきます。
デンマーク・コペンハーゲン『VM HOUSES』
『VM HOUSE』はベルギーの建築家ジュリアン・デ・スメドとの共同プロジェクトで2005年に建てられました。V字型に展開した構造で住戸同士が対面することなく南側の講演を眺めることができます。
鋭利で特徴的なバルコニーは上下で位置はずれており、住民同士でコミュニケーションが促されるように意図されています。
アメリカ・ニューヨーク『VIA 57 West』
2016年、ニューヨークに完成した複合的な集合住宅。ピラミッド型の構造の中心部には中庭が作られており、ニューヨークの有名なセントラルパークと同じ比率で作られているんだとか。
台湾・花蓮市『Hualien Residences』
山そのものにも似た緑のランドスケープストライプで構成された『Hualien Residences(ファーリェン・レジデンス) 』は、台湾の東海岸に位置する花蓮市に建設されています。商業施設や住宅のほか、ウォーキングパス、地下ジョギングパス、展望エリアを組み込んだプロジェクト。
現在も建設中で、当初は2018年の完成を予定していたそう。その後はどうなったんでしょうか。
オランダ・アムステルダム『SLUISHUIS』
水の都としても有名なアムステルダムの河口に設計された「SLUISHUIS」は、立体的な外観がとても美しい水上集合住宅です。2022年に完成し、観光客にも人気のスポットになっています。
中庭には水が引き込まれ、住戸同士がつながる構造で、まさに水と共存する住宅として表現されています。
ちなみに「SLUISHUIS」は、オランダ語で構成されていて、「Sloshuis」は、「sloot(用水路)」と 「huis(家)」の組み合わせであり、建物がアムステルダムの用水路の上に建てられていることを表しています。日本語での表記・読み方としては「スルーズハウス」となります。
日本国内での設計予定・発表
国内でも注目が集まるビャルケ・インゲルスの設計予定や発表情報をまとめます。さきほどご紹介した『Woven City』以外では、新たに1件が発表されています。
瀬戸内『NOT A HOTEL』
富裕層向けの分譲型別荘やNFTによる利用券の展開など、なにかと話題の『NOT A HOTEL(ノットアホテル)』のプロダクトとして、広島県三原市の離島、佐木島に設計されることが発表されました。ビャルケ・インゲルスが手掛けるホテルとしては国内初ではないでしょうか。
NOT A HOTEL公式ページではビャルケ・インゲルスとのコラボ特設ページと動画も公開されています。こちらは続報があり次第アップデートしていまいります。
NOT A HOTELに宿泊するためにはハウスのオーナーになるか、メンバーシップNFT、または一般ゲストで予約をする方法があります。
2023年7月31日から、NOT A HOTEL NFTが個数限定・紹介限定で再販されています。紹介コードを受け取りたい方は、下記記事よりご確認ください。
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