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鳥取県北栄町に聖地移住して感じる定住の難しさとオタクとしての心境の変化

鳥取県北栄町に移住して1年半ほど経ちました。北栄町はある漫画の聖地。漫画ファンとして聖地移住をした私が今の時点で率直に感じていることを書いていきます。

「漫画が好き」だけで移住は無謀

聖地移住は自分の好きなものに囲まれた充実した暮らしができるのが魅力の一つ。これはかなり実感しています。今までお金と時間をかなりかけないといけなかった場所に気軽に行けるとなれば、ファンにとってこれほどのメリットはないでしょう。

だからその点については文句のつけようがありません。でも他の人にもおすすめできるかと言われたらそれはまた別の話です。

私が移住した鳥取県北栄町は鳥取の中部に当たる場所です。主要な鳥取市や米子市からはそれぞれ車で1時間ほど。それだけ聞くとまぁまぁ便利な場所に思えますが、実際は交通の便がものすごく悪い。というかどこへ行くにもアクセスが悪いのです。

新幹線は通っていませんし、空港は鳥取市と米子市まで行く必要があります。そして運航便もさほど多くありませんし、鳥取空港の飛行機は羽田にしか行きません。

かと言って鳥取県内でレジャーなどを楽しめる場所があるかというと、それも微妙です。自然はかなり満喫できるかもしれませんが、遊べる場所があるのかと言われると本当に微妙です。

そして必要なものがなかなか揃わない。買い物はネットを駆使すればある程度不便しませんが、生活必需品と思われるようなものすら近所で揃わないのには正直びっくりでした。

仕事が少ない

全然ないわけではありませんが、仕事はとても少ないです。中部の中でも倉吉市は大きな市なので、そちらまで行けばいろいろな仕事がありますが、北栄町では選択肢がものすごく少ないです。

北栄町は農業が盛んな町なので、農業を営んだり、農機具や資材販売などの会社、建設関係の会社で働くのならアリだと思います。農業をやりたい人にはむしろおすすめです!

家賃が高い

仕事がなくても家が安く済めば暮らす意味があるだろうと思います。田舎暮らしの利点はなんといっても家賃の安さ!だと私も思っていました。

でも北栄町は立地の割に家賃が安くありません。なんなら鳥取市や倉吉市などに行った方が安いアパートがたくさんあります。空き家バンクの登録物件もありますが、数は少なく、しかも住める状態の物件を探すのは至難の業です。リフォーム代が高くついてしまうので、それよりだったら新築したり、賃貸アパートに住んだ方がきれいな家に住むことができます。

仕事は少ないし、家賃も高い。自分が好きな漫画の聖地だからといって、そこにわざわざ移住して暮らし、定住する必要が本当にあるのだろうか。住むよりだったらたまに観光で訪れるくらいがちょうどよいのではないだろうか。そう思うことができます。

雪は降るけど少ない

私にとって北栄町に移住して良かった!住み続けたい!と思える一番の理由は雪の少なさです。

実際のところ北栄町は毎年冬に雪は降ります。大雪が降ることもあります。私も昨年一晩で60mほど雪が積もって大変な思いをしました。それでも秋田出身の私に言わせれば全然過ごしやすいのです。

秋田にいるころ、本当に雪が嫌だった私。雪かきは根性で頑張りますが、雪道の運転がものすごく嫌でした。それが嫌で車を手放したほどです。しかも秋田の雪は降っては降ってはずんずん積もるんです。積もったらなかなか溶けないです。通勤に時間もかかるし、事故の心配もあります。冬のストレスは尋常じゃなかったと思います。

それが北栄町に来てみたら大雪は降っても2,3日で溶けてなくなるし、除雪も早く来てくれます。雪かきをする人が少ないのには驚きましたが、どうせすぐに溶けると思えばそうなるのもうなづけます。

雪が苦手な私にとっては本当に過ごしやすい場所だと感じています。これならずっと暮らしていける!私にとってはそう思えました。

オタクはそろそろ卒業

漫画のファンとして移住してきた私ですが、聖地に住んでみて心境の変化もありました。今までは「自分が楽しみたい」という思いが強かったのですが、聖地を満喫しそれが日常となった今、「ファンの人たちに喜んでもらいたい」「ファンの人たちが楽しんでいる姿が見たい」と思うようになってきたのです。

私は漫画のファンになって30年近く経ちます。ファンの中では古株な方ではないかと思います。気を抜くと古参マウントを無意識に取ってしまったり、今のファンの方々と話が合わないと感じることもしばしばあります。

単純に自分が年を取ったせいでもあるのですが、正直自分が楽しむオタクを自称するのはそろそろ卒業じゃないかと思っています。

私が無意識に古参マウントをとれば、最近新しくファンになった人たちは心の底からオタ活を楽しめなくなってしまいます。古参は古参らしく、新たなファンの方々に「ようこそ」と手を広げて受け入れ、オタ活を温かい目で見守るのが良いのではないだろうか。そう思うようになってきたのです。(あくまで私の考えです)

北栄町で民泊を経営したい

そんな今、観光客のオタ活の拠点として民泊を開業する準備を進めています。北栄町は観光地でありながら宿泊場所が数えるほどしかないのです。これはある意味ビジネスチャンスだと思います。むしろその可能性に気づいたから移住したというのもあります。

観光客のみなさんと同じ目線に立ち、ファン同士として、そしてそれを温かく見守るホストとして楽しめる場所を作りたいと思っています。

実はマンガのファンとして移住してきた人も過去にはいるのですが、定住には結びついていないという現実があります。これは前述の通り、漫画のファンというだけで暮らしていくのが容易ではないということを表していると思います。

だからこそ、とりあえず定住した一人目になれるよう現実をしっかり見極めて暮らしを続けて行けるように努力したいと思っています。

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