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エディンバラ留学#1到着、エディンバラ!


9月6日10時 日本出発

両親やパートナーが見送ってくれた成田空港。

両親は僕の荷物の預けが済むと、そそくさと帰った。これから二人で温泉に行くらしい。20年以上ぶりの、「二人暮らし」は二人にとっても楽しみなものなんだろうな。見ていてなんだか嬉しい気持ちになった。

「楽しみ」と「ワクワク」と「怖さ」と「不安」と「寂しさ」が0.5秒間隔で心の中をローテーションしてくる。何とも忙しい心と共に、とりあえず最後の一緒の時間をできるだけ「いつも通り」に過ごす。

出発前のカフェでの落書き

「もう会わない」「もう会えない」と心から感じたその後でも結局会えたのだから、どうせまた会えるのでしょう。そんな不思議な落ち着きに包まれながら出国する。その日は空にすべきポケットが多かった。

離陸の瞬間には、前もって指定を受けていた曲を聴く。 

明日は君と同じで
別れと共に過ぎていく
涙の影に消えていく
あなたの面影を光のあとに
君と僕はその日まで
同じ日々を歩んでた。

光のあと by Bialystocks

ガタガタ揺れながら、飛行機は離陸するために猛スピードの助走をつけていく。その助走と同じスピードで、僕はコンフォートゾーンから強制的に切り離されていく。

自分で選んだことだとしても、心のどこかに沁みる痛さがある。そんな寂しさに寄り添いながら、今後への覚悟に必要な力強さをこの曲は僕にくれた。オススメありがとう。

イスタンブール空港に到着➞ホテルで一泊

日本を出発してから約13時間かかった

トランジットが12時間以上ある場合は、航空会社が無料で送迎付きのホテルを取ってくれるので、カウンターに向かう。そのカウンターで二学期間お世話になった大学の体育の先生に偶然会った。せま、世界。

バスに一時間位揺られて、ホテルに着くと同じサービスを利用した人でフロントは満員になった。

人でいっぱい。皆疲れてる。

順番に名前を呼ぶから待っとれ、と言われたけど待てない人はすぐにカウンターまで行き、「自分の番はまだか」とフロントに愚痴る。

(も~。待っとけって言われたんだから待っとけよ、辛抱ないな~)

心の声

と冷ややかに見ていたけれど、どうだろう。フロントを急かした人は漏れなく次にチェックインしていくではないか。

忘れてた、ここ海外だ。

持っていたノートに

ホテルのcheck inは「待ちきれずにカウンターに迫った人」順

と書き込む。とはいえ、フロントの人の忙しそうにしていたし、別に待てたので僕はカウンター迫ることはせず待った。そして結局、僕は一番最後に案内された。自分の中では「フロントの人も大変そうだし」という行動原理だったが、実際に一番遅くに案内されたという事実は損得の二分法において「損」に分けられる。

「優しさ」「思いやり」としてポジティブにこの一連を理解することもできるけれど、言われたことに丁寧に従うという、権威主義への迎合的姿勢が僕に染みついている、とも理解できる。

なんだか、自分の行動における「正しさ」「理想」「目的」などの基準が少し揺らいだ音がした。

さっき会った体育の先生も同じホテルだったので、時間を合わせて一緒に夜ごはんを食べた。

何か分かんないけど美味しいものばかり

部屋はとても広くて、一人でのびのび過ごせた。飛行機の時間の関係で4時間くらいしか寝れなかったけれど、食事も空港↔ホテルのバスも付いて無料だし、自分だけのスペースでのんびり寝れるのはとてもありがたい。

エディンバラに到着

イスタンブールから約5時間でスコットランドのエディンバラに到着した。

スマホを見ると天気の所に、「~」が上に3つ重なったような、何やら見た事のないマークがあった。不思議に思いながら飛行機を降りたが、その瞬間の景色でその意味を理解した。

霧だ

スコットランドに来た、という自覚がここで一気に芽生えた。

その後、「これ、一生自分の荷物来ないんちゃうんか、まさかロスバゲ?」とひやひやしながら、水揚げされた魚を検品するみたいに流れてくる荷物たちを眺めては見送ること30分、ようやっと自分の荷物が流れてきた。ひと安心。

空港でとりあえず日本円をポンドに換えてから、バスで街の中心部まで向かう。(ちなみに、今のところ現金はまだ一度も使ってない。どこでもコンタクトレス決済が使えるのでスマホで全部済む。とても便利。)

以下、バスの車窓からの景色。

街の高い建物、霧で大体一番上まで見えないがち。

ほんとにレンガ造りの建物が殆どで驚いた。歯医者さんも、レストランも、民家も全部。

寮周辺のバス停に到着

最寄りのバス停に降りて、寮に向かう。ナビでは徒歩12分とあったが、「まぁ、街の感じもみれてちょうど良いでしょう」と思っていたけど大間違いだった。

写真でみるより3倍くらい傾斜がキツい

バス降りてすぐ、このデカ坂道。23キロのキャリーバッグを二つを押しながら登るのは修行すぎた。ここを3回位休憩しながら、20分以上かけて登る。日本で言う所の「冬の始まり」程度のひんやりした気温の街で、僕は唯一汗だくの人間だっただろう。その後も登ったり下ったりを繰り返しながらやっとの思いで寮に着く。(一日経った今、めちゃくちゃ筋肉痛)

4階の部屋まで、当然エレベーターは無く、ラストスパート修行

ちょーど思ってたくらいの狭さ。一番安い部屋だからね。でも、1人部屋だし、街の真ん中にあって便利なので良いでしょう。トイレ(共用)は3回流さないと綺麗にならないけど。

荷ほどきをして、服とかの定位置を決めながら設置していく。誰のものでも無くて、味気ない空間が「自分の場所」としてだんだん個性を持っていく感覚が少し嬉しい。

机の後ろの棚。
持ってきた本やら、折れずに堪えてくれたウクレレやら、ここで買った洗剤やら。

ここが、僕のしばらくの居場所で、住み処だ。(本記事のヘッダーの写真をこのタイミングで撮った)

霧だらけの街を探検

ある程度荷物も片付けが落ち着いたら、留学生として必要な手続きの諸々をしに外に出る。ついでに、カメラを持って街を探検。

いや、美しすぎる。なんだこの街並み。

マップを少しづつ見ながらじゃないと、僕はまだこの街は歩けない。まだこの街は僕にとって「大き」すぎるのだ。

それでもいつか「この道はあそこに繋がってる」とかそんな感覚が身についてきて、少しづつ街が相対的に「小さく」なっていくんだろう。

そうしていつか、勝手の分かる「自分の街」になっていくんだろう。そんな予感に、とてもワクワクした。楽しみである。

上の写真のように「○○ close」という狭い階段道が、大通りからはいくつも出ており、その先には別の大通りに繋がっている。これを上手に使えればエディンバラ攻略も夢じゃない、気がする。

手続きが済んだら、その目の前の広場で古着・小さい植物・ポスターなどを売っていたので入ってみる。

”You can't buy happiness but you can buy PLANTS!
(お金じゃ幸せは買えないけど、植物なら買えるよ!)”

メンタルヘルスの側面から緑が身近にあるのは良い、とどこかで聞いたことがある気がしたので、「留学生活の相棒」として小さいのを僕も買った。

名前はRobertsonに決定
(寮のある通りがRobertson's closeなので)

そこから時差ボケがひどかったのでまだ16時くらいだったけど、次の日まで寝た。

ちなみにベッドはマットレスだけなので、ぬいぐるみを枕にし、持ってきたアウターを4着ほど体にかぶせて寝た。早くIKEAに行かないと。

9月8日(2日目) 朝ごはん

朝起きると昨日より霧が凄かった。

部屋の窓からの景色

そういえば、エディンバラ行きの機内食を最後に24時間以上何も食べていなかったので、安くて評判の良いカフェを調べ、スコティッシュブレックファストを食べに行く。

ここまで大学や郵便局の人としか喋ったこと無かったけど、ここの店員さんと話して初めて実感した。

スコティッシュアクセント分かんなすぎ。

まぁ食べ物の注文するだけだし、聞かれていることが想定できるから特に問題は無かったけれど、それでも難しい。

ソーセージ・ベーコン・ブラックプディング・目玉焼き・豆・バター塗ったパン(6.6ポンド)
+アメリカンコーヒー(2.6ポンド)。日本円で約1800円。

いや、、、、普通においしいぞ。マジで。元々豆はそんなに好きじゃないのでアレだけど、それ以外は美味しく食べられた。語彙力が無いので食レポは諦める。なーんだ、ビビって損した。

そんなことより霧が凄い

エディンバラで一番最初に聴いた曲

朝ごはんを食べた後は大きめのスーパーに向かう。

街にちゃんと浸りたかったのでここに着いてからイヤホンはずっとしていなかったけど、お腹も満たされて何か聴きたい気分になったので迷いながらも慎重に選び、スティングの”Englishman In New York”を聴いた。記念の「エディンバラで最初に聴いた曲」である。

タイトルの通り、アメリカのニューヨークに来たイギリス人の歌である。

飲み物や食べ物、歩き方や喋り方などから、自分がここに属さない人間であることを彼は深く自覚している。

I'm an alien, I'm a legal alien.
I'm an Englishman in New York.
(僕はよそ者だ。合法な「よそ者」なんだ。
僕はニューヨークにいる、イギリス人だ。) 

Englishman In New York by Sting

アイデンティティとは相対的なものだ。

日本の国内で「どこから来ましたか?」と聞かれれば「神奈川県です」や「川崎市です」と都道府県や市の名前を答える。しかし、外国で同じ質問をされれば、人は「日本から来た」と答えるだろう。

どこで聞かれるか、誰に聞かれるか、によって「自分は何者なのか」という問いへの答えは変わる。環境が変われば「自分」も変わるのだ。

そんな変化の中で、この曲の主人公はより強く「自分はイギリス人だ」という認識を強く持ち、そうあり続けようとする。曲の中で言い聞かせるように何度も繰り返される言葉がある。

Be yourself no matter what they say.
(誰になんと言われようと、自分らしくあれ)

”Japanese man in Edinburgh”としてのアイデンティティの揺らぎと、そこから見えてくる自分の「揺るがない部分」。そうした部分に目を向けてこれから生きていきたいなと思ってこの曲を選んだ。

霧に包まれた街の雰囲気にとてもマッチしていて大正解だった。ナイス選曲。

スーパーでは、洗剤やシャンプーなど生活に必要なものや、ご飯を買って帰る。

こんだけ色々買って3000円位。安い。外食控えよう。

まだ寮に数人しか入ってなくてルールとかもわからないので、とりあえず冷蔵庫(共用)の中に、部屋番号と名前を書いたメモを食料と一緒に入れておく。

Stay safe!

そして、これを書く今に至る(昼ごろ)。

少し休んだらご飯を軽く食べて、バスタオルが無くてお風呂に入れないのでそれをゲットしに向かいます。

ここまで丁寧に書けるのは多分時間的余裕がある今だけだろうな~。

2024/9/8
Miniguchi

ちなみに・・・(エディンバラの信号事情)

2日しかいないけど、この街から受けた印象は「歩行者にあんま優しくないな」である。

横断歩道は少なく、その全てにこうしたボタンが付いている。つまり押さないと、歩行者のために信号が変わることは無い。そしていざ変わっても、その時間は鬼短い。小走りでも渡り切れないうちに、信号は赤に変わる。

なのでローカルの人はみんな、信号はいっさい気にせず渡る。

信号を気にしない前提があるからか、ご丁寧にも地面がどっちの方向に注意すべきか教えてくれる。数秒しかくれない信号のためにボタン押して待つよりか、きょろきょろしながら小走りした方が全然気楽で良い。

そこまでの大通りではない限り、結構それでいける。僕もそうするようになった。

ちなみに・・・2(素早く英語に反応できるようになりたい)

注文や手続きなど、今のところ英語で困ることは無い。まだ。

それでも、予想外の所から急に言われた英語に対してとっさに反応することがまだ出来ない。「慣れ」なんだろうけど。

小さい植物のバザーに入る際に、「こっちから進んでね~」と係の人に言われたのでお礼を言って、そのままその方向に進む。そこは出来る。

でも、その係の人がすれ違う瞬間に”nice camera!”と言ってくれたのに対しては、

「え、なんか言われた」➞「カメラ褒めてくれた!嬉し。」➞「てんきゅしなきゃ」

の思考プロセスを踏むため、一秒くらい反応が遅れる。

結局、いきなりすぎて歩くのも止めれなかったので、既にその係の人から1~2歩位離れたところで振り返って「てんきゅ」した。

少しづつ慣れていきたい、英語の細かいコミュケーションの部分である。

ちなみに・・・3(小さな気づき)

合っているかは分からないけど、前に取った歴史学の授業で習ったことと繋がることがあったので一応メモ。

街を歩いていると、多くの建物の上にロウソクみたいな感じでポンポンポンっと何かが付いているのが見える。

先っちょが少し膨らんでるやつ。左半分だけでも7個ついてる。

これは多分煙突である。(以下授業の受け売り)

17世紀ごろ、イギリスでは暖炉の数にあわせて税金が課されていた。貧富の差が暖炉の数に比例すると考えられたからだ。お金持ちの人はそのシステムを逆手に取り、敢えて煙突を沢山つけることによって自分の「豊かさ」を自慢した。

スコットランドは1707年にイングランドとくっつくので、少し年代にはズレがあるかもしれないが、この煙突にまつわる風習(?)はここにも流れてきたのだろう。

座学で学んだ知識が目の前の世界の理解に使えたってこの瞬間、とても好き。

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