中期記憶では面白いことが起きる
読解に関する人間の情報処理の特徴
個々バラバラに伝達された内容であっても
あるいは不十分にしか述べられていない内容であっても
われわれは
足りない部分を補い、全体を総合して
まとまった形で理解し、記憶しようとする。
実際には文に表現されていないことでも
読者は前後の文脈や一般常識を用いて
足りない部分を推理し
つじつまの合うように文を創作して
理解記憶する。
*「読解における推理のはたらき」から引用*
中間記憶と推理小説
この中間記憶における読み手の創作力を逆用するのが
どんでん返しの推理小説である。
推理小説家は
読者の創作力を誤った方向へ発揮させ
最後にすべてをひっくり返してしまう。
その衝撃が
中間記憶の深層にたまっていた情報群を
瞬時に変質させ
「だまされておもしろかった」という体験が
記憶の海に沈む。
こうして、その小説は
読者の長期記憶システムの構成要素となるのである。
*井上ひさし著『自家製 文章読本』から引用*
気になるのは
「だまされておもしろかった」という体験が
長期記憶システムの構成要素となるということ。
この構成要素が
「多くの人におもしろがってもらう」という体験へと
転換していくとしたら…
たしかに…