こどものまちミニカワサキのはじまり
2018年にはじまった「こどものまちミニカワサキ」は、7年目に突入!コロナ禍の2年間も活動を続け、2023年は過去最大の来場者を達成。2024年はどんな街になるんでしょう…!?大人と子どもの協働プロジェクト、子ども達のわくわくを引き出すプロジェクト。
2024年の開催へ向けたみちのりをつづっていきます。ホームページの「ブログ」でも、開催レポートは綴っていきます、noteでは、主にミニカワサキの大人えりっこが、準備の裏側や、参考にしている書籍、これまでの経緯を綴っていきます。
あなたこういうの好きでしょ?
2018年3月、とあるNPO法人の監事さんに会うために、研究拠点を訪ねたときのこと。「あなたこういうの好きでしょ?」と紹介してもらったのが「ミニヨコハマシティ」でした。その方は三輪律江先生、ミニヨコハマシティを運営するNPO法人ミニシティ・プラスの理事長さんだったのでした。
「まちづくり」の仕事と、「こどものまち」
私(ミニカワネーム「えりっこ」)は、都内の組織設計事務所で、都市計画や企画開発をする部署に長年勤めていました。高層のオフィスビル、タワーマンションなどを計画する際の環境アセスメント評価書をつくる仕事。新たな再開発計画地の中に、何を建てるか?から考える仕事。周辺環境を連携するような「地域貢献施設」にどんな機能をいれるか。計画地の外にも賑わいがしみだし、連携を促すパブリックスペースの在り方を検討する研究会‥。いわゆる「まちづくり」という仕事です。
計画がはじまってから、設計図がつくられ、認可をとり、建築がはじまり、工事が完了して使われるようになるまで、短くても4~5年、長いものだと十数年かかるものもあります。あまりにもプロジェクトの規模が大きいこともあり、子どもからお年寄りまで、誰かにターゲットを絞って考えるような場面は少なくて、常に「不特定多数の、日本人に限らない、老若男女」がつかうことを考えながらやる仕事でした。個人的には、小さい頃は幼稚園教諭や保健室の先生になろうと思っていたくらいで、「こども」環境にはとっても興味があったんだけど、私のやっていた「まちづくり」の仕事の中で、具体的に「こども」のことを考えた瞬間は、ほとんどなかったと思います。
2009年に第一子、2014年に第二子の出産、2度の育児休業を経て、短時間勤務をせざるを得ない中、ハードワークが続けられなくなり2015年末で退職。2018年頃は個人事業主をはじめようとしていました。
そんな中で聞いた、「あなたこういうの好きでしょ?」と教えてもらった「こどものまち」。「まちづくり」の仕事をしていて、「こども」の環境にも関心を持っていたつもりなのに、一度もきいたことがなかった「こどものまち」というワードに衝撃を受けます。どうして今まで知らなかったのか!?とにかくびっくりしたのでした。
アクティブラーニング、学習意欲が失われている
都市計画の仕事の中でも、印象的な仕事のひとつが「大学のキャンパスデザイン」でした。少子化が進み、大学全入時代といわれる時期を前に、大学のキャンパスの中でも「図書館」をアップデートしようという動きが起きた頃(2007-2013年頃従事した仕事)でした。いろいろな学部がある総合大学の中でも、「図書館」は共有されている。今までのように静かに黙々と学習する場所ではなく、雑談しながらグループワークができたり、プレゼンテーションができたり、他の学部や大学の人たちと情報交換ができるような場所にアップデートしよう、という動きにのって、設計会社としても色々なリサーチをしていた時の仕事です。
どうやら、大学生のやる気がないというのです。受験受験でようやく大学までたどり着いたのに、学ぶ意欲がない学生が多い、疲れ切ってる…と。大学全入時代を超えると少子化で18歳人口はどんどん減っていく。このままでは大学の経営も成り立たないから、「選ばれる大学」になるために、学習環境デザインに力を入れる、出口保証(卒業時の質保証)のプログラムを充実させるという文脈で、アクティブラーニングという言葉がよく使われていました。
小学生が、疲れている
学習意欲が失われている!?受験で疲れてる?
当時、自分の子ども達は乳幼児期で、毎日新しいことを覚え、イキイキと暮らしている姿をまのあたりにしていて、なにごとだ!?と思いました。保育園児は元気だよ?と。大学生が意欲を失っている。っじゃあ、どこで意欲を失うの??小学生時代?中学時代?高校時代…?
そうこうしているうちに、2009年生まれのお兄ちゃんが小学生になります。毎日ひっくり返りそうな大きなランドセルを抱えて、出かけていきます。当時はまだ設計会社に勤めていて、会社を出るのが18時。ダッシュで電車に乗って45分。第二子のお嬢の保育園は19時まで延長保育でピックアップ。バタバタと19時に帰宅する毎日。お兄は、学校がおわると、学校敷地内にある学童「わくわくプラザ」に行きます。16時頃までいると、そのあと民間の学童保育のバスが迎えに来て、民間の学童保育に移動。19時過ぎに、民間の学童保育の送迎車で家の前まで送ってもらうのです。
小学校生活は忙しく、次にやることに追われて、なんだかみるみるつかれているように見えてきました…保育園が同じだったお友達も、みんな親の帰りは遅くて、それぞれ別の民間の学童に。保育園の頃は、同じ場所で19時頃まで、ワイワイ一緒に遊べてたのに。。。周りを見ると、毎日習い事をはしごする子が多くて、土日も習い事であそべない。「上履きがみつからない」、「給食袋を忘れた」、といったことが起きるたびに、「怒られるかもしれない…」と泣き出すお兄。およよ。。。そうか、もう、小学生から、疲れてくるのかもしれない。
3年生になる春の決断
私が小さい頃、教育テレビ(Eテレ)で好きだった番組「たんけんぼくのまち」。これなー。まちを探検して、イラストマップを作るチョーさんがおもしろかったんだなー。かくいう私が、都市計画の仕事をするに至るのはここらへんからの「社会科」が好きでたまらなかったことからはじまるわけで…
それともうひとつ、小学3年生の時に、女子の集団化によるトラブルに巻き込まれて、私は小学校中学年から中学生まで、やさぐれ黒歴史を背負っているため、自分の子どもが「小学3年生」になるというのはこっそり大きな事案でもありました。
2018年3月というのは、2年生から3年生に変わる、まさにその時、「こどものまち」は、自分の中でも大きなヒントになりそうな予感がしたのでした。疲れている子ども達を、飛び起きるくらいわくわくさせるきっかけになるんじゃないか!!?と。
「大人は立ち入り禁止、口出し禁止です!」
2018年3月31日、「ミニヨコハマシティ」が開催される都筑区役所へ。新3年生になるお兄を強制連行。「つまんなかったらすぐ帰っていいから」と午前中に出かけていきました。
入口付近で、せっせとチラシを作っている子ども達をみかけて、まず、おとなが衝撃を受けます。
ミニヨコハマシティはおとな口出し禁止
子どものじゃまをしないでください。
けいさつが取り締まります
そして、おとなにはこのマスクが配られるのです
まちのなかに吸い込まれていったお兄、もう戻ってきません。
時々見かけると「おとな口出し禁止だから。あっちいって。」
お、おひるごはんは・・・!?
「ラーメン、並んでたべたからお腹すいてない」
あ、そうですか。
大人は見守るだけ、なので、暇です(苦笑)!
つい、口を出してしまうと怒られる。というか、取り締まられる!
そしてお兄は、市長選挙が終わって、まちがクローズするまで楽しんだのでした。そして帰りながら、「来年はミニヨコハマのスタッフをやりたい!」というのです。
川崎でもやってみよう!
川崎市民が、ミニヨコハマのスタッフやるのかぁ。と思った私。川崎市民なら、川崎開催できないかなぁ?早速、三輪先生に相談。「こどものまちを、川崎で新たにやるにはどうしたらいいですか?」
そしたらなんと、同じタイミングで、別の人から同じことをきかれたというのです。一度会ってみたら?と紹介してもらったのが、第1回、第2回の実行委員会代表をしてくれた、安藤哲也(あんどぅ)さんでした。
会ってはなしをしたのは、たぶん4月の末頃だったはず。どうも、バックグラウンドが同じ(あんどぅは大学の専攻が都市計画)。とりあえず、小さくてもいいからやってみない?6月に、勉強会をしよう!と決めます。
ママ友、地域の活動仲間、Facebookで呼びかけてふらっと来てくれた人…とりあえず大人があつまって「こどものまち」について紹介、賛同者を募る形で勉強会を開催したのでした。
この日すでに、こどものまちがはじまっていました。
この場に連れて来られていた子ども達が、自然と大人相手に動きはじめます。「おちゃがなくなった人はいませんかー」「お菓子はいりませんかー」「肩凝ってますねー、マッサージしませんかー」
子ども達って、なんでも遊びにしちゃう!
これはおもしろそう!
助成金?そんなん申請期限もう終わってるし。
小さい規模でいいんだよ、最初は。とにかく今年、やってみようよ!
時期は?あんまり遠いとやる気がなくなるな。川崎市の小中学生は二期制だから、10月におやすみがあるよ、そこよくない?OK、10月の最初の3連休ね!
そして立ち上がった、「こどものまちミニカワサキ実行委員会」
場所を探して2週間ほど。最初の構想は、武蔵新城の商店街のどこか、でしたが、うまく折り合う場所がない。
公共施設は?ネットで探していると「川崎市民プラザ」の「屋内広場」がちょうどあいている!行ってみてびっくり。ひ、広いじゃん…。でも、ま、いっか!
こうしてとりあえず、大人の「おもしろそう!やってみよう!」が先行して、「こどものまちミニカワサキ」はスタートしました。