架空映画評論-川上サオスのムービー見つめ「おとぎ桜を見逃すなかれ」を徹底評論

さぁ、今週もやってまいりました、川上サオスのムービー見つめ!
このコーナーでは、私 川上サオスが独自の視点と考察、果ては自分の実体験を交えながら鑑賞した映画を徹底的に深掘りさせていただきます!
今週はこの映画、、、

おとぎ桜を見逃すなかれ

「イッパチダンディズム」、「プラズマの馬車」などのヒット作を連発した西門ヨネン監督の2年ぶりの本作、現代社会でドロップアウトした若者4人とアラサー女子がひょんなことから昭和の世界にタイムスリップして忘れていた大切な何かに気づくというストーリーの本作。
主演の若者4人を演じるのは今や飛ぶ鳥を落とす勢いの男性アイドルグループ「和風殿」のメンバー、そのある種保護者的な役割を果たしているアラサー女子役に演技派女優としての評価抜群の木村ゆもが起用された本作。

今回もメールいっぱいきておりますので、
まずはそちらを読ませて頂きます。

高評価の意見はこちら

「和風殿の4人、それぞれの個性が爆発していた。
ラストの結末は多少ベタだが、思わず涙してしまった、

「木村ゆもの色気を存分に味わえる本作。
和風殿、木村ゆもの強烈な組み合わせで違和感なく
ストーリーを展開できる監督は最早日本にただ1人、ヨネン監督しかいない」
「昭和をノスタルジーという文脈で描いた作品は映画問わずこれまでも数多くあったが、ここまでエモい演出で落とし込めるのは圧巻だった。昭和レトロというコンテンツの経済効果に貢献するであろう作品です。」

低評価はこちら

「現代の日常にモチベーションを見出せない登場人物のクズさ加減に嫌気がさした。昭和という古き良き時代にいけばまるっと解決というストーリーに納得できない。」
「和風殿にグループサウンズをさせるという昭和のおじさんプロデューサーが考えそうな発想に正直冷めた。
それでもファンは喜ぶのだろうが、ファン以外がこれをどう見るのか?!」
「ラストの結末は良いが、それに至るまでの過程がいかがなものかと。全体の演出は悪くないが、この監督ならもう少しタイトにストーリーをまとめられたのでは」

という高評価、低評価どちらもかなりの数のメールを頂きました。

私も昨日の夜映画館で観てまいりました。
一言、結論を申し上げますと、、、
いやぁ、昭和レトロの演出は実に見事です。
もうねぇ、昭和の良いとこ悪いとこを炸裂させつつも、
レトロな部分を存分に出してきてますので、
これはくる人には確実にくるんですねぇ。

特に和風殿の村重くん?
この村重くん演じるヒロトがいいですねぇ。
このグループサウンズのシーンのヒロトくんは完全にあの頃のショーケンですわな。
その辺りの昭和の時代をリアルタイムでなくとも肌感、あるいは極論独断と偏見でもいいからうっすら持ってるカルチャー好きにはこの辺りのシーンはくるものあるんでないでしょうか。いやぁ、ここはおじさんグッときちゃったねー。
ただし、否定的意見でもあった現代の日常シーンねぇ、
これは確かにクズではあるねぇ。
これあれだよね、いわば芸人さんでM-1出れるのに出なくて、でもM-1用のネタ作ってるみたいな それでいて俺ら評価されねぇなみたいな矢面に立たない漫才師みたいなもんですね。またはあれか、YouTube的なノリしてるけど、私たちブランディングの関係上しませんみたいな、そういったとこでしょうか。
傷ついてもいいから、今の企画で戦えよ、戦えなかったから現実逃避で昭和に行って今の若い発想で昭和で天下取るみたいな、未来人有利説で行ってるねこれは。
今でも勝負せんかいみたいな、えぇ、そういった所は確かにありますね、

しかしね、しかしですよ、この保護者ポジションのゆも姉がその部分ちょっと映画の中で指摘するじゃない?
この指摘で和風殿のメンバーが人によってはあんまりピンときてないみたいな、ここも少しどうなのよ。
ここに気づかずに、えぇ、もしくは認めずに昭和で勝とうなんて、それはどうなのよとも思いました。
ただ、そういった細かな部分でノスタルジーに逃げを求めるようなところを差し引いてもまぁ、全体の流れ、そしてタイトルの伏線回収に関しては近年の邦画ではかなりのクオリティではあると思います。

これね、僕平成初期の生まれではあるんですけど、
親父の影響で割と昭和コンテンツにつかってきたんですね。それこそ高校時代はジュリーの髪型してましたし、今も何なら昭和の頃の日本人が見ていたアメリカの視点ももってますよ。
やっぱりね、そのニオイを含ませる、そしてストーリーもそれに沿って進めていくという映像であり、テーマパーク並みの没入感を体感させてく辺りは西門ヨネンってスゲェなと。
これがヨネンの本気かと思いましたよ。
前作のプラズマの馬車でも言いましたけど、この監督は基本的には映画にニオイを含ませるんですよ。で、このニオイに何だったら胃もたれする人も続出するというか、基本的に極めて濃厚なニオイを含ませてるんですよ。プラズマの馬車の時もやっぱり今の成功者のあのパーソナルトレーナーつけて肉体管理もして、美意識も高くてというコールウェル様とかカケフみたいな感じ!笑
あれをここまでやるかってほど匂わせてくるのよ。
そして今回が昭和のニオイをやるわけでしょ。
そら、肌感としてもってる人間には気持ちいいわな。

また、あんまり言うとネタバレになっちゃうけど、やっぱ桜なのよ。桜を見ていて、桜に見られていた、桜のみが唯一変わらないのよ。それもいいなと。
もう監督本人も百も承知だろうけど、まぁ、これは概ね素晴らしいと、ケチをつけるとすると田舎のマイルドヤンキーにどう向き合ってるのかと、そのNEK的な世界にはどう対応してるのかってところですな。
前作まではそれが出てたけど、今作は無視したのかうっかり入れ忘れたのか、そこを問いたいね。
でも、基本的には刺さるは刺さるんじゃないかね。

とまぁ、これ以上言ってもあんまり口説くなっちゃうので、この辺でまぁ、
ぜひ皆さん、おとぎ桜を見逃すなかれを見逃すなかれ

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