うちの仕事で困っていることはありませんか?
ここ数週間、他社のトラブルに巻き込まれている。
私の出した仕事の納品が、他社商品の縫い直しによって納期が2週間遅れたのだ。
正直よくある話…。
こういう時、私は工場に対して決して理で詰めないように気を付けて事情を聴くようにしている。(そうすると愚痴で1時間経ったりするのだけど)
何年もこういうことをやっていると、大体の原因が工場内外でコミュニケーションを適切に取れてないが為のミスだというのがわかってきた。
今回の納期遅れの原因、表面的には「仕様間違いによるやり直し」だが、よく話を聞くと、ミスの根源は発注者が連絡ツールを日常的に変える為、やり取りが時系列に見られないことにあった。
発注はメール、時にはFAXで修正指示を出し、仕様変更はLINEで。こんなこと、生産管理という肩書を背負ってる者は絶対にやってはいけないことだ。
でも、メーカーと工場の間でこれがまかり通ってしまっているのも、工場側が「全部FAXで送ってくれ」と言えないのも事実。
主な理由は、関係が対等ではないからだ。
仕様書のフォーマットも担当者の連絡ツールも部材の出荷タイミングも各社バラバラ。工場の立場に立ってみれば、そりゃミスが起こるのも仕方ない。
私が出入りするような小規模の縫製工場は特に、社長自身が窓口も裁断も縫製指示もやってたりする。そうなると繁忙期は手が回らなくなってミスが多発し、てんやわんや。何とか力技で乗り切った後、反省と改善をする暇もなく次の繁忙期に向かっていく。
その繰り返しなのである。(※あくまで私の取引先の話です)
タカ派は「そんな工場淘汰されればいい」の一言で終わるだろう。
でも、私はそれはもったいないことだと思う。
だって、オペレーションやフォーマットを整えるだけでも確実に変わることがあるのだから。
こういうことを日常的に経験していると、「下請け工場の窓口業務を請け負う、もしくはコーディネートする」という仕事は必要になってくるな。と感じる。
ただ、外部の人間には分かり得ない、何十年もの間蓄積された階級的関係性の解消は一筋縄ではいかないのもわかっている。
今日私が唯一出来たことは、工場さんと話しながら決めた自社のフォーマット変更だけだ。
他社のミスのおかげで、縫製工場の人が仕様書のコピーを回し読みすることを知った。会社員時代からよくやってた「工場にある60番糸で生地同色」という指示は逆に困る(※この工場の場合)ということも初めて分かった。
発注者がもっと工場に寄り添って発注フォーマットをつくれば、少なくとも今よりは幸せな未来が作れる。
工場を救いたいなんておこがましいことを言う前に、担当者に聞き取りしよう。
「うちの仕事で困っていることはありませんか?」
▼岩崎は何者か。
▼小商いマガジンやってます。