別れは急に
突然の事で驚いている。
日曜日まで一緒にランニングしていた12歳 太郎(犬)が
倒れたのだ。
直ぐに病院へ連れて行くも、田舎獣医ができること
・血液検査
・痛み止(モルヒネ)
・神経薬
もし精密検査がしたいなら 隣の県(2時間)へ明日以降に行きなさい。
そう言われて 返されたのが 金曜日。
本人(犬)は立ち上がろうとすると どこかが痛むのか
物凄く叫ぶ。
土曜日は神経薬が効いているのか、歩き回る。時より同じように叫びしゃがみこむ。
奇跡が起きないものか。
何度も願ったが、奇跡なんて起きない。
犬を何匹も飼ったことのあるスウェーデン人の知人や同僚は、安楽死を選択したことがあり、その考え方もわからないでもない。
犬として走り回り、はしゃぎ回る事ができないのであれば自然に反する介護や手当はしない。
検査や手術で生かしても老犬は特に負担が大きいし、余生も少ない。 と
我が犬の場合は脳に異常がある可能性があり、検査に行くと、数日もしくは数週間帰れなくなる。 1人で病院で過ごすのかと思うと辛い。
私にとって彼は
スウェーデンに移住を決め、学校の友達とも別れ
新しい土地で0からスタートの時に出会った犬だ。
背中に茶色い丸がJAPANだ。と一匹余ってるとアナウンスを見て 直ぐに連れて帰ると決めたのが始まりだ。
悲しい時も嬉しい時も
直ぐ横にいて 何も言わないのに 励まされてる気分になった。
子供が生まれてからは、いつも遊び相手になってくれたし、泣いていたら呼びに来て教えてくれた。
いつの間にか子供の方が身体が大きくなるし、子供がイタズラしだしたり。でも決して 牙をむく事はなかった。
優しい兄のようだった。
12年
人間でいうと64歳らしい。
月曜日。
週末悩みに悩んだ。
相変わらず 叫ぶことがあり身体も時より硬直する。
辛いけど、楽にしてあげよう。
もう痛くないよ。嫌な薬も飲まなくていいよ。
さよならを決断した。
月曜日。大雪だったのに昼過ぎから太陽が顔を出した。
暖かいね。
それから
沢山泣いた。
沢山撫でた。
沢山ありがとうを言った。
1日が過ぎた。
空虚感で胸が締め付けられる。
玄関を開けたら一番に駆けつけてくれる姿がない。
キッチンでおこぼれ貰う姿がない。
突然襲ってくる 後悔の念。
私の選択で失われた1つの命。
今はその罪悪感で胸がいっぱいだ。
久しぶりにバスタブにお湯を張り 落ち着こうとするも
涙は止まらない。
太郎 ごめん
私が決めちゃって。
許してくれるかな。