就労移行支援の話

 私は今就労移行支援に通いながら障害者雇用での就職を目指しています。
 就労移行支援に通うって事はつまり障害や病気がある人に囲まれる環境というわけで。3年程前、発達検査を受ける前まで健常者という扱いで過ごしてきた私にとっては結構戸惑いを覚える事もありました。カルチャーショックですね。

 一つの事象に対してそれぞれの考え方を述べるプログラムでは「なんでみんなこんなネガティブなんだ…」と思いましたし、多角的に物事を見る練習をするプログラム(コラム法?)では「こんな当たり前のことを今更……?」と不満に思ってました。
 正直言うと、「あれ?私ってだいぶ健常者寄りでは?」と思ってすらいました。それくらい周りとギャップがあったのです。自分だけ浮いているような気がしていました。

 それが違うと気づいたのは通所から二週間ほど経って面談でこのギャップについて相談した時でした。
 支援員さん達も私が周囲の人とギャップを感じているだろうことを察してくれていました。その上で教えてくれたのは「人には人の困り感や目標がある」ということ。私の目標が「人とコミュニケーションを取る時無理をしない」事であるように、他の人にも「毎日通所する」「人と話すようにする」などそれぞれ目標がある。苦手な事がそれぞれだからプログラムによっては簡単に感じるものも難しく感じる事もあるよという、言ってしまえば当たり前の事を語られました。
 多分、本当に当たり前の事です。でも私は「まじかよ」と思ってました。当方ASD。他人を自分の延長として捉えがちなところがあります。なのでそう説明されるまで無意識のうちに「“同じ”障害者なのになんだこいつら」と思っていたのです。
 そのもやもやが晴れてから、私は自分が事業所内で浮いていると思わなくなりました。障害者という枠組みではなく、みんなそれぞれ困り事を抱えている人間の集まりだと思えるようになったからです。私もまた困り事を抱えている身。それがこの中にいても何らおかしい事はないのです。

 就労移行支援に通い始めて四ヶ月目になろうとしています。
 時々「就労移行支援使わずにストレートに就職した方が効率良い」みたいな意見を見かけますが、私は通ってて良かったと思っています。私は上記のような当たり前の事が分かっていなかったりするので、改めて自分を見直したり教えてもらったり生活や就職のサポートをしてもらえる場として就労移行支援はメリットがとても大きかったです。回り道かもしれませんが、これが私にとってベストな道になるようにしていきたいです。


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