手紙をかいて自分の感情を知る 劇場版『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』
Dear で始まりSincerely yours で結ぶ。
英語の手紙の書き方を習ったとき、そう教わった。
劇場版『ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン』の冒頭は、Sincerelyで始まる。
手紙の作法としてはおかしいが、この映画がヴァイオレット・エヴァーガーデンシリーズの結びという意味なんだと思った。
人間兵器として戦場で戦った無感情の少女が、戦後、手紙を代筆することで感情というものを理解してくと言う物語。
悲しみ、怒り、喜び……
人間には感情があって、時にはそれに支配されてしまう。
例えば怒り心頭の状態で「怒らないように」と意識しながら会話したとしても、結局のところヒートアップして相手を罵倒してしまうだろう。
生の感情のコントロールというのはむずかしい。
その点、手紙というのはいい。
自分の感情と向き合う時間がもてるからだ。
怒り心頭であっても、その怒りを文章にしてしたためていると不思議と怒りが収まってくる。
一度、ある人に対して、怒りが収まらず、言いたいことを文章にして書いてみたことがある。
A4用紙2枚分くらいにズラ―っとペンで書きなぐったのだが、その言い分を書き終えたときには、もう怒りが収まっていたのだ。
その紙に書いた感情は自分の中で処理され、「もう相手に伝える必要はない」という、「どうでもいいもの」に昇華していた。
もし、自分の中に理由の分からない怒りが溢れているという状態の人がいたら、一度その感情を全て文章にして書いてみることをおすすめしたい。
うまく書こうなどとは思わず、ただ頭に浮かんだ言いたいことをそのまま書きなぐればいい。
驚くほどスッキリするので、ぜひ、ためしてみてほしい。
ヴァイオレット・エヴァ―ガーデンというアニメシリーズは、ヴァイオレットが、代筆業として、依頼人の思いを手紙で届けることが物語の一つの軸になっている。
私が思ったのは、書いた手紙を相手に送るか送らないかは自分次第なんだということ。
伝えたいと思ったら書けばいい。そして送るか送らないかは、書き終わったあと決めればいい。
大切なのは、「自分が伝えたいこと」を「自分自身が知る」という事なんじゃないだろうか。
手紙を書くという行為が、日常の中からスッポリと抜け落ちてしまった現代人に、手紙を書くことの意義を教えてくれる作品でもある。
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