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【現場を見ない設計者】
大学で「建築」に触れることが増え、自分はアトリエ建築事務所(イメージは、建築業界の中でいちばんデザインを考える会社)で働くことはないだろうとずっと思っていた。なぜかというと、そういった会社の設計者は自分の作品をつくることしか頭にないのだと勝手な偏見を持っていたからだ。
縁があり、地元延岡の建築事務所(アトリエ建築事務所と自分で謳っていた会社)に勤めることになった。延岡は地方都市であるため、これから地元が今後良くなっていく過程の一部に入ったのだと変に嬉しく、期待していたことに加え単純にどんなことができるのか好奇心を抱いていた。建築設計の仕事、まちづくりの仕事、その他諸々あった。社会人1年目の自分にとってはこんなにも色んなことができる会社はないだろうなと思った。
しかし、月日が経つとおかしな点にたくさん気づく。これは、自分自身も身を引き締めないといつかダメになるという漠然とした不安だけが毎日溜まっていった。細かく言うのは面倒なのでひとつだけ言うと、現場を見てない者が判断していることが多いということ。これまでの確かな経験をもとに、ぼくや関わっている人たちの声を聞かないのだ。極端に言えば「現場を見ない設計者はクソ」だと、学生の時から思っていたことが的中していた。まあ、そうだよね笑
学生のとき外部活動で建築以外の業種の人と関わったり、まちの人と直接話したり何か物事をしたりすることがあった。その中で絶対的に重要だと感じたのは、「現場力」だ。ぼくはこのアトリエ建築事務所に就き、ある仕事で現場を見ていたのでこのプロジェクトの重要性や良いモノを少しずつ思い浮かべることができた。
悔しかったのが、スパンも短かったので言うとおりにしか動けなかったことだ。また、資格を持っておらず、できないことが多いことで上司から信頼されなくなった。やる気はあったがここじゃずっと上手くいく気がしないと、マイナスな感情しか抱けなかった。そんなことから1年も経たず自ら退職した。
ここで大学生時代にぼんやりとイメージしていたアトリエ建築事務所は「現場を見ない・現場の意見を聞かない」という想像が確信に変わり、こんな大人になってたまるかと前を向くことができた。ぼくは地元のにぎわいなんてものはただの自己満足に過ぎず、地元だから、九州だから、日本だからという風に縛りを設けずただやりたいことをやるんだと決意を決めるきっかけをつくってくれたことに感謝したい。知らないことも多かったし。
最後にタイトルにもある「現場を見ない設計者」にだけはならないよう、今後も作り手として自分も現場に立っている意識を持っておこうと思う。