ミテグラ
神社の神前には御幣というギザギザの紙に串がついたのものが置いてあります。
御幣は元々神様への捧げものでした。後世になると御神体や祓の道具として扱われるようになりましたが、古くは「ミテグラ」と言いました。
柳田国男説を要約するとミテグラ=手にとって移動できる神の座(=クラ/神の降りる所)であり、神に捧げる財貨の意味はない。とのこと。
この説に加えて、吉野裕子先生は、クラ=すぐに座=神の降りる所とするのは間違いだと「クラ考」では指摘しています。
例えは万葉集から「クラ」のつく和歌を挙げてみると・・・・
うぐひすの鳴く暗谷(くらたに)に打はめて焼けはしぬとも君をし待たむ
「暗谷」とは暗い谷ではなく、元々タニの意味で、クラだけでは意味が分かりにくいので、補うためにタニがついたものとされています。
次に神話から「クラ」のつく神様を挙げると・・・・
天之闇戸神(アメノクラドノカミ)ー渓谷の神
闇於加美神(クラオカミノカミ)ー渓谷の水の神
闇御津羽神(クラミツハノカミ)ー渓谷の水の神
闇山津見神(クラヤマツミノカミ)ー谷山を司る神
この四神の共通点は
・谷に関係する
・手の股や足の股から生まれた
ということです。
今でも、「胸ぐら」「股ぐら」というように、「クラ」とは元々凹みを表す言葉で、「枕」馬の「鞍」も凹んでいます。
つまり、クラは元々は神の降りる「座」を表すのではなく、岩座のように凹んだ所で祭祀を行ったことから、だんだんと神の降りる場所を指すようになり、「ミテグラ」という名称は、手のひらが少し窪んでいるので、手にとって移動出来る神座という意味になっていったというのが吉野先生の説です。
ここから私の持論になりますが、御幣の形はVを逆さまにして、棒が刺さっています。
これってもしかして、男女の和合を表してるのかな~と思ったり・・・🤭
というのも、縄文~弥生時代の出土品で、女を表すものは体にVやYの線が彫られています。
先ほどの吉野先生の説を参考にすると、クラ=凹みだとすると、紙垂のVの部分が女、棒が男を表すと考えると、陰陽の和合で新しい神が誕生するという、古代の神道観と合致するように思います。
また、私は紙垂の雷のようなギザギザの形は蛇の鱗を表していると思いますので、「蛇」という視点からも今後考えていきたいと思います。
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