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てんてんてんしょく ①幼稚園教諭
先日、SNSで転職を考えている友人が、転職についての体験談やアドバイスを募っていた。
コメントしようかと考えたが、私はあまりに転職をし過ぎている。しかも自分のステップアップの為の上昇志向的な転職ではなく、成り行きとか、いろいろ人の参考になるような良い話はできないと思ってやめた。彼女には何のプラスにはならんと。
だけど、ふと、この無駄にいろんな仕事についてみた転職話が、もしかしたらどこかで何かの役に立つこともあるかもしれない。そう思って今までしてきた仕事について書いてみようかと思います。
いろいろ職が変わるって人の信用を落とすマイナスポイントかも知れないけど、いろんな場所で働いたことで生きることもあるかもしれない。知らんけど。
真面目なのか不真面目なのかわからない私ですが、こんなにコロコロ仕事変わってもしぶとく生きてる人が居ると思うと何か希望が持てるかもしれない。知らんけど。
いろいろうまくいかなくて悩んでる時に息抜きになるかもしれない。知らんけど。
そう思って私のノンポリ転職話を始めていきます。
①幼稚園教諭
私は短大卒業の2ヶ月前に阪神大震災を経験した。我が家は無事だったし自宅に住める状態だったがしばらく暮らしはぐちゃぐちゃになり、卒業前に就職は決まってなかったが、それどころではなかった。
余震が落ち着いた頃、バスや電車を乗り継ぎながら片道2時間かけて短大の図書館の整理のバイトを始めた。かなり大きな図書館だったので、本当に大変で、卒業までせっかくだから母校の役に立とうとバイトをしていた。
そんな時、児童教育学科だった私のところに短大の教授から震災で職員が一気に辞めた私立の幼稚園教諭の働き口があるけどどうする?という声がかかった。
図書館整理のバイトが楽しく、図書館長からも就職先が決まってないならしばらくうちで働きなさいと言ってもらっていて、ゆっくり図書整理しながら自分の人生を考えようと思っていた矢先のことだった。
同居していた祖父母はバイトなんかより教職員が良いに決まってる!と言った。私はあまりピンとこなかったがひとまず見学に行くことにした。
場所は西宮。震災の被害も大きかった地域。見学に行った時に園庭の真ん中にテントのような赤いドームが建っていて、園の中に避難して暮らしている人もいた。
見学に行くと同じ学年で仲良かった友達も見学に来たという。「○○ちゃんも一緒なら心強い!」そんなノリで決めてしまった。祖父母もやれと言ってるし。そんなノリで。
働いてみて、そんなノリで幼稚園教諭は勤まらないことを知る。当たり前だけど。
学生気分が抜けず、しかもいきなり年長組の担任になってしまい、どうしていいか分からなかった。思うよりにやったらいいと言われても思うようにがわからない。子どもたちや周りの先生の顔色ややってることを見ながら無難にやろうとするけどダメ。まったくうまくいかないし、持ち帰る仕事も多くて、だんだん辛くなっていった。
働いてみて、私は自分が本当は幼稚園教諭や保育士になりたかった訳ではなかったことを思い知った。子どもの頃は本当は美大に行きたかったが、自分が行きたいという前からお金がかかるしロクな仕事に就けないからダメだと言われて、すっかり諦めていた。自分が好きな絵を描くとか歌をうたうが、仕事の中に含まれるし、就職しやすいんじゃないか?という理由で将来を短絡的に考えていたのだ。私が受け持った子どもたちや親子さんには本当に失礼なことをしたと思う。そんな気持ちで働いていたなんて。
しかしそんな不真面目な私に対しても園長や周りの先生方は根気よく待ってくださったり、力を貸してくださろうとしていた。今考えると本当にありがたいし、何て慈悲深いのだろうと思う。でも、その頃の私にはまったく伝わっていなかったし、そのありがたさに気づかないまま1年で辞めてしまった。
新卒でいきなりつまずいた苦い思い出。
でも、そんな中にも思い出深い面白いことはある。
*先生と呼ばせない変わった方針だった為、私は子どもたちから「吉田」と呼ばれていた。
*ショートカットだったからか、ある子どもから「吉田は男なの? 女なの?」と聞かれて「男」だと答えてみたら「やっぱりそうだったのか!」と信じ切ってしまい、父兄に怒られた。
*子どもたちとかくれんぼしてたら真剣になってしまって必死で隠れてる間に昼食の時間になっていて、もうみんなお弁当食べていた。
*ニワトリ小屋に張り切ってエサをあげに行ったらヤンチャな男の子たちに外からニワトリ小屋の鍵を閉められて小屋に閉じ込められた。
*卒園アルバムの撮影の為に冬場にみんなお揃いのTシャツを着て待ってる間に鬼ごっこして、私が腕を上げた際、ませた男の子から「吉田! お前女なんだからちゃんと脇の処理しろよ!」と言われた。
先生どころか大人になりきれなくて、働く心構えもまったくなかったんじゃないかな。
そんな初めての就職。
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