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喜んで喜ばれる世界へ 〜西表島・石垣島の旅〜 ⑨
ようやっとこの1週間の旅を締めくくり。旅から帰っても、言葉として文章にしないとなかなか日常に戻れない感があったのと同時に書き上げてしまうことで旅が終わってしまう寂しさを感じていた。
今回の旅で強く感じたことがある。それは日々は小さな選択の繰り返しで、その選択によって未来が変わってくるということ。
今回の旅はポイントだけ決めて、あとは流れとタイミングで決めようと思っていた。決めていたポイントは
①去年生まれた三木ちゃんの息子:想環くんと同じ誕生日の私から、想環くんがお腹の中で聴いたであろう私の歌を歌ってお祝いすること。
②リョヲちゃんが住んでいるお家にしばらく滞在させてもらい、リョヲちゃんの漫画のような日常世界を垣間見ること。
③大浜廉さんとリアル対面で音楽セッションすること。
④片桐さんに会いに行ってラーメンを食べること。
⑤5月の私の誕生月に行くこと。
その5つのポイントだけは揺るがないようにして、あとは決めなかった。日程が近づくに連れて、少しずつパズルのピースがハマるように動きや流れが決まっていった。
島に住む何人かの人から輪さんと私は合うと思うと言われたので、輪さんにコンタクトを取るかどうか?
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西表島最終日にリョヲちゃんが球技大会の選手になったから、リョヲちゃんに気を遣わせないように予定より早く石垣島に渡るのか?
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旅に出る前からたくさんの選択があり、旅に出るともっと細かな選択の連続だった。
例えば、
リョヲちゃんが誕生日にご馳走してくれたランチのコース3種類からひとつ選ぶこと
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牛に歌を聴かせてみたら?と言われて、牛の前で歌うかどうか
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東部から西部の片桐さんに会いに行くのに、バスを使うのか、リョヲちゃんの知人を頼るのか、ヒッチハイクするのか
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大富売店テラスで「歌ってもらうことはできるの?」と言われて歌うのか
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「公民館でブガリ中のみんなに歌を披露して」と言われて引き受けて歌うかどうか
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その小さな選択に正直な気持ちを選んで開ける世界があった。
本当は今回の旅に出る時、思っていたより収入が少なくて正直コレでいけんのか? と不安がよぎった。それでも行くを選んだ。そしてお財布の中身はギリギリ間に合った!
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人からはもちろん、自分がいつの間にか身につけた常識的な視点が「そんなの無理だろう」「とんでもない!」と言ってきても、自分の心の声に耳を傾けて、自分の心が喜んでいるかどうかで決める。選択する。大きな選択よりも、すごく些細で小さな選択を大切にする。それを地道に繰り返す。その結果が今回の旅になった。
旅の毎日を細かく書いていたのは、旅の自慢をしたかった訳ではない。私には難病持ちの友人が何人かいる。その友人たちは行きたくても、遠くまで旅に出ることができない。ならば私が、私の旅を記すことで一緒に旅してる気分になったら嬉しいと思ってひたすら書いていた。その結果、友人たち以外の方々も一緒に旅した気持ちになってくれた人がいるみたいで嬉しい。
今回の旅は歌うことを大きな目的にはしていなかったのだけど、三木ちゃんの子ども達に歌い、お誕生日のアイさんに歌い、牛たちに歌い、売店横に集う地元の方々に歌い、公民館で歌い、最終日にタニファで歌った。何やかんやずっと喜んで歌っていた。
そうしていく内に、私の仕事は歌うことと言葉に綴ることなんだと思えるようになった。そこにお金が発生するかどうかは関係なく、私の魂が喜び、どんなに取り組んでも疲れるどころか元気になること。それが仕事だなんて言ったら、人から笑われるかも知れない。だとしても、私がそう信じて喜べるなら、それが仕事でいいんだ。悩んでいた時に円蔵さんが教えてくれた「猫がゆく サラダの日々」という本の中の一節を私は信じることにした。
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小さな選択を自分の心に丁寧に選び続けた結果、気がつくと大きな変化が訪れているのかも知れない。旅から帰った日常の中でも、小さな選択を大切にしてゆこう。
その小さな選択の決め手は「喜んで、喜ばれて」であること。まずは自分が喜べることかどうか。そして自分が喜べることなら、喜んで差し出す気持ちで行うこと。それが巡り巡って誰かの喜びになる。頭で理解するのではなく、それを体感できた旅だった。
旅から帰って、西表島や石垣島に住んでいた頃のアルバムを開くと、こんなページがあった。
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今回すけあくろには行けなかったけど、楽天屋に泊まり、タニファでライブをした。八重山に居た頃の私が観たらビックリするだろうな。その頃はうまくいかずに悶々とすることも多かったかも知れないけど、そんな過去の私が居たからこそ、こんな今を運んでくれた。その頃の私に花束を贈る気持ちで「ありがとう」という自分の言葉で歌う歌を喜んで歌っていこう。
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