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マインドフルネスというOSが社会のコミュニケーションを変える
マインドフルリーダーシップインスティテュート(以下MiLI)理事の吉田典生です。
私はMiLIの理事であるとともに、マインドフルネス・ベースド・コーチ・キャンプ(以下MBCC)という事業部門を管轄しています。
MBCCは、マインドフルネスというOSを、コーチング技法を含む人間社会のコミュニケーション改善、開発のために統合した、コーチングの実践家養成コースです。また、“マインドフルコーチング”©を日本から世界へ発信していく、コミュニティ組織の名称でもあります。
本稿では、なぜ“マインドフルネスがコーチングのOSになるのか”を、マインドフルネスの論文に関するメタアナリシス(注:様々な研究を集め、統合し、より高い見地からとらえた研究)を論拠として探っていきます。
論文で示されている4つの「マインドフルネスを通した確かな成果」のうち、今回は2つを取り上げます。コーチングのみならず、組織コミュニケーションの改善、変革のヒントにしていただければ幸いです。
<今回取り上げるメタアナリシスのポイント>
1.集中力の強化
2.ストレスフルな環境における平静さの維持
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ここでご紹介するメタアナリシスは、EQ(感情的知性)の概念を世界に広めた科学ジャーナリストのダニエル・ゴールマン氏が、マインドフルネス瞑想の認知神経科学からの研究で有名なリチャード・デビッドソン博士(米国ウィスコンシン州マディソン校、精神医学教授)とともに行ったものです。
論文についての詳細(英語)は、こちらをご覧ください。
かねてよりゴールマンは、「マインドフルネスの成果は誇張されすぎている」とも語っています。だからこそ、精度の高い論文を専門的な指標にもとづいて選別した上位1%の“ゴールド・スタンダード”から、マインドフルネスの実践を通して“本当にわかっている望ましい変化”を導き出したのです。
以下、“もしもプロフェッショナルコーチに、この要素が欠けていたら”という視点を加えながら、探っていきたいと思います。(以下、太字は論文訳)
注意をイシューに戻す能力を磨く
1. 集中力の強化
マインドフルネスの実践者は、上の空になったり注意散漫になったりする傾向があまり見られない。
ここで大事なのは、マインドフルネスの実践者が注意散漫にならない、ということではありません。人間の思考の95%はオートパイロット(学習記憶から無意識下で判断、意思決定を下している)です。立ち止まり、反応しそうな自分に気づき、起きていることをあるがままに観察する瞑想の習慣が、“注意をイシューに戻す”能力を磨くのです。
コーチングを受けるクライアントには、対話のなかでさまざまな混乱や混沌が生じます。それは時として対話を拡散させ、論点がぼやけます。真実に目を向けることへの恐れから、意図的に(あるいは無意識に)話題を変えるクライアントもいます。
クライアントに起きていること、それが対話に及ぼしている影響、今ここで求められる最善のプロセスについて、コーチは安定的な注意を持つ必要があります。
もしもコーチにこの要素が欠けていたら、たとえ一時的に深い対話に入っても、コーチングの質はクライアントの成熟度や心理状態に大きく左右されることになるでしょう。
湧き起る“感情の渦”を管理する
2. ストレスのある状態で比較的平静を維持
マインドフルネスの実践者は、脳へのある種のインプットを脅威と解釈する可能性が低く、闘争や逃走、凍結といった防衛反応を即座に示す傾向が比較的弱い。
コーチングが最も真価を発揮するのは、クライアントの経験やスキルで対処できない課題に直面した時です。クライアントの持つリソースを引き出して課題に対処するのは、コーチングの妙技ではあります。しかし変動の激しい複雑系の世界では、クライアント自身がアンラーニングし、新たな環境に適応することが求められます。
人間は安定的な環境に留まろうとする性質(恒常性維持)があるので、適応を要する課題に直面すると脅威を感じやすくなります。そのためコーチングにおける“本当のイシュー”は、クライアントの平静さを奪ってしまう可能性があります。
もしもコーチにセルフマネジメント能力が欠けていれば、たちまち狼狽するクライアントの感情の渦に巻き込まれてしまうかもしれません。
逆にコーチが平静さを保ち、十二分な心理的安全性のもとでクライアントに寄り添うことができれば、クライアントの心身の状態を支える力になります。これは感情が伝播するという研究からも示唆されている、良質な対話に欠くことのできないコーチの基盤です。
機を改めて、残り2つの「マインドフルネスを通した確かな成果」とコーチングの関連についても触れてみたいと思います。
MBCCファウンダー、MiLI理事
吉田典生
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