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瞑想難民にならないための瞑想の基本とやり方

司会者:JAYさんこんにちは、今日は瞑想について基礎から詳しく教えてくださるということで、宜しくお願いします。

JAY:ありがとうございます。こちらこそ宜しくお願いします。

司会者:では、早速ですが、今回は瞑想についてお話しいただけるとのことですが、ご説明いただけますか?

JAY:もちろんです。今回は瞑想の王道であるヴィパッサナー瞑想のやり方について、初心者の方から上級者の方までご活用いただけるよう、少し細かくしっかりと説明させていただきますので、どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。

司会者:ありがとうございます。それでは、まず初めに、なぜヴィパッサナー瞑想を行う必要があるのか、その点について教えていただけますか?

JAY:はい、私たちには誰しも欲求があります。例えば「これが欲しい」「夢を実現したい」「こんな風になってほしい」といった具合に。そして逆に「こんなことは怒ってほしくない」「あれが嫌い」というような思いも持っています。これらの欲求や嫌悪感が、不満を生み出す原因になります。確かに、一時的にその不満を解消することは簡単です。欲しいものがあれば買えば良いですし、避けたいことがあれば避ければ良い。しかし、それが続くと少し厄介な問題が出てきます。

司会者:不満が続くことでどのような問題が生じるのでしょうか?

JAY:そうですね、簡単に言うと、私たちは欲求を満たすことを繰り返さなければならなくなります。そしてここで気づいていただきたいのは、私たちが生きるこの世界で、自分の欲求をすべて満たすことができるかという点です。実際には、思い通りにならないことの方が多く、欲しいものが手に入らなかったり、避けたいことが避けられなかったりします。仏教の用語で「苦」と呼ばれるものですね。これは、苦しいという意味だけでなく、思い通りにならないという意味も含んでいます。

司会者:「苦」というのは、思い通りにならないこと全般を指すのですね。

JAY:その通りです。仏陀もこれを「生きることは苦なり」と言っています。仏陀は、この欲求を満たすというゲームが、実は永遠にクリアできないものであることに気づいたわけです。そして、欲求を追い求めることから解放されることで、心が本当に自由になる瞬間を迎えました。この自由を実現するための方法が、今回ご紹介するヴィパッサナー瞑想です。

司会者:なるほど、具体的には、どのようなきっかけでこの瞑想法に出会ったのですか?

JAY:そうですね、私がヴィパッサナー瞑想を始めるきっかけとなったのは、なぜいろんな不安や、心配があるのか疑問で、これさえなくなれば人生がめちゃくちゃ楽しいものになるんじゃないかと思いました。また、もっともっと自分らしく過ごせるのでは?と思っていたときに当時のメンターからのススメがあったのがキッカケです。

司会者:ありがとうございます。ヴィパッサナー瞑想について詳しく教えていただいておりますが、サマタ瞑想についても少しお話しいただけますか?

JAY:もちろんです。サマタを漢字で表すのであれば、それは「止める」という字になります。これは、1つの対象に心を「止める」ことを意味します。言い換えると、集中力を磨き上げることができるということです。

司会者:なるほど、それではヴィパッサナー瞑想についての漢字や意味についても教えていただけますか?

JAY:ヴィパッサナー瞑想は漢字で書くと「観察」の「観」という字が使われます。「ヴィ」は特別な方法で、「パッサナー」は観察するという意味です。合わせると、物事を明確に観察することを指します。ただ、単に観察するだけではなく、物事の最も根本的な本質を理解するために、初めから終わりまで鋭く観察することを意味します。これは、約2600年前にブッダが苦しみを滅するために開発した瞑想法です。

司会者:非常に歴史のある瞑想法ですね。現代でも心理学などに応用されているとのことですが、具体的にはどのように役立てられているのでしょうか?

JAY:そうですね、ヴィパッサナー瞑想は、心の問題を解消するための非常に効果的な方法です。例えば、うつ病や不安障害など、心理学の領域でも活用され、世界中で研究が進められています。最近では、マインドフルネス瞑想という言葉をよく耳にすると思いますが、実はこのマインドフルネス瞑想もヴィパッサナー瞑想が元になっているのです。

司会者:そうなんですね。マインドフルネス瞑想がヴィパッサナー瞑想とほぼ同じものだとは驚きです。

JAY:そうなんです。名前が違うだけで、内容はほとんど同じです。心理学では、精神的に弱い人を普通の生活ができるレベルに回復させることが目的ですが、ヴィパッサナー瞑想は、心を浄化し、解脱や悟りの境地に達することを目指す強力な方法です。

司会者:非常に深い瞑想法ですね。それでは、この瞑想法を実践することでどのような効果が期待できるのでしょうか?

JAY:例えば、不安を根本的になくしたいとか、ずっとストレスを感じずに生きたいという願いがありますよね。もっと身近な例で言うと、対人不安を克服したいとか、過去のトラウマから解放されたいといったものです。体が重く感じたり、うつ病で何もやる気が出ない等。ヴィパッサナー瞑想は、そういった問題にも対応することができます。

司会者:それは非常に魅力的です。他にも具体的な効果はあるのでしょうか?

JAY:はい、集中力や記憶力、決断力、想像力などを高めることができます。また、意外かもしれませんが、ダイエット効果もあると言われています。これらの効果がなぜ得られるかというと、全ては心と体が密接に関係しているからです。

司会者:そういうことですか。全てが繋がっているんですね。

JAY:その通りです。ただし、ヴィパッサナー瞑想の本来の目的は、潜在意識のレベルで苦しみを解消することです。先ほど挙げたような効果はあくまで副次的なものであり、それを追い求めると欲に繋がり、かえって苦しみを増やしてしまうことになりますので、その点には注意が必要です。

司会者:なるほど、注意が必要ですね。それでも、そういった効果が期待できるのは嬉しいことですね。ヴィパッサナー瞑想のやり方に入る前に、何か特に注意しておくべきことがあるとのことですが、それについて詳しく教えていただけますか?

JAY:そうですね、実はヴィパッサナー瞑想の説明に入る前に、どうしても先にお話ししておきたいことがあります。それは「瞑想難民」についてです。瞑想難民とは、瞑想をしているのに、逆に苦しくなってしまう人たちのことを指します。

司会者:それは気になりますね。瞑想が本来は心を穏やかにするはずなのに、逆に苦しくなってしまうとは。

JAY:そうなんです。瞑想難民にならないために、いくつか注意していただきたいことがあります。まず第一に、「呼吸をコントロールしないこと」。自然のままのリズムで呼吸を行うことが大切です。呼吸を無理にコントロールしようとすると、かえって苦しみが増してしまいます。

司会者:自然体でいることが大切なのですね。次に注意すべきことは何でしょうか?

JAY:二つ目は「思考がダメと思わないこと」。思考そのものを観察することが重要です。そして三つ目は「私という感覚を外すこと」です。私という感覚が、実は過去のイメージの寄せ集めであることに気づくことが必要です。

司会者:私という感覚を外すとはどういう意味なのでしょうか?「私」という感覚が実は存在しないということでしょうか?

JAY:はい、これが「無我」という仏教の教えです。日本の仏教では「空」とも表現されます。ヴィパッサナー瞑想では、心のプロセスと体のプロセスを観察するだけで、「私」というものは思考や心のプロセスの中に入っていません。ですから、観察するのは「私」ではなく、意識が行っていることだと理解してください。

司会者:非常に興味深いお話をありがとうございます。「気付き」というものについて教えていただけますか?

JAY:気付きというのは、まさに意識そのものです。これがヴィパッサナー瞑想の要とも言えます。それを理解いただくためにも、ヴィパッサナー瞑想の具体的なやり方についてご説明していきます。

司会者:お願いします。

JAY:ヴィパッサナー瞑想のやり方は、実はとてもシンプルで、驚かれるかもしれません。何をするのかと言いますと、ただ「現象に気付き、生成と消滅、そして無常を観察する」ことです。これがとても重要なポイントです。

司会者:現象の観察がポイントなのですね。生成と消滅という言葉が気になりますが、もう少し詳しく説明していただけますか?

JAY:もちろんです。生成と消滅とは、生まれて消えていく一連のプロセスを観察することを指します。仏教用語では「無常」と呼ばれるものです。無常という言葉は皆さんも聞いたことがあると思いますが、それはまさに「生まれて消えていく」というプロセスを表しています。

司会者:生まれて消えていくプロセスを観察するとは、具体的にどのようなことを指しているのでしょうか?

JAY:例えば、勉強している時に外から車の音が聞こえてきたとしましょう。その時、私たちは自動的に音を「聞く」という意識が生まれますが、さらにその意識を観察してみるのです。外の音がずっと鳴り続けていても、次第に「聞く」という意識が薄れていくことに気付くでしょう。そして最終的に、その意識が完全に消えていくことを確認できます。

司会者:音を聞くという意識も、消えていくものなのですね。

JAY:そうです。ここで重要なのは、鼓膜や神経といった身体の要素があっても、それに対応する意識がなければ、音として感じることはできないということです。つまり、車の音が外で鳴っていても、それを「聞く」意識がなければ、その音に気付かないということです。

司会者:なるほど、心と体を分けて観察するということですね。

JAY:その通りです。ヴィパッサナー瞑想では、心と体を解剖するかのように、冷静にそのプロセスを観察することが重要です。そして、観察する対象、つまり「現象」について詳しく説明していきます。

司会者:具体的にはどのような現象を観察するのですか?

JAY:ヴィパッサナー瞑想では、先ほど述べたように、ただ現象に気付き、生成と消滅を観察することが基本です。これが瞑想の核心部分です。

司会者:先ほどは現象についての説明をいただきましたが、それでは、ヴィパッサナー瞑想における「現象」とは具体的に何を指しているのでしょうか?

JAY:そうですね、現象については少し詳しく説明させていただきます。今回のヴィパッサナー瞑想の解説では、ブッダの教えである「四念処」に基づいて話を進めたいと思います。ヴィパッサナー瞑想にはいくつかの方法がありますが、今回は最も純粋な形のヴィパッサナー瞑想を説明していきます。

司会者:四念処とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?

JAY:四念処とは、仏教で説かれる四つの気付きの対象を指します。それは「身念処」「受念処」「心念処」「法念処」です。これらの言葉は少し難しく感じるかもしれませんが、それぞれに意味があります。

司会者:なるほど、具体的にはどのようなことを観察するのでしょうか?

JAY:まず「身念処」ですが、これは体への気付きです。たとえば、呼吸を観察することで、息を吸っている、息を吐いていることに気付く。また、歩いている時には「歩いている」と、立っている時には「立っている」と気付く。このように、日常の動作における体の感覚に気付くことが重要です。

司会者:確かに、普段は意識していない動作ですね。次に「受念処」について教えてください。

JAY:「受念処」とは、三つの感覚に対する気付きです。快感がある時には「快感を感じている」、苦痛がある時には「苦痛を感じている」、そしてそのどちらでもない時には「中立な感覚を感じている」と気付くことです。これにより、感情の元となる身体感覚に気付くことができます。

司会者:感情の前段階である身体感覚に気付くということですね。

JAY:そうです。そして次に「心念処」、これは心に浮かんでくる思考に対する気付きです。私たちの心はしばしば過去の記憶や未来の不安に囚われがちですが、これらに気付くことが重要です。特に雑念が多い場合、この気付きが難しいかもしれませんが、繰り返し観察することでその動きを理解できます。

司会者:思考に気付くことで、心の動きを観察するわけですね。

JAY:その通りです。そして最後に「法念処」。これは、気付いている自分自身に気付くことです。たとえば、心が落ち着いている時に「今、心が落ち着いている」と気付くことです。また、さらに進むと「五蘊(ごうん)」という人間を構成する五つの要素に気付くことも含まれます。これにより、心と体がどのように構成され、動いているのかを理解することができます。

司会者:五蘊に気付くというのは、深い洞察が必要そうですね。

JAY:そうですね。これが「法念処」の本質であり、仏教ではこれを「無我」とも表現します。つまり、「私」というものは存在せず、ただ五つの要素が相互作用しているに過ぎないということです。

司会者:とても深いお話ですね。それでは、実際にヴィパッサナー瞑想を行う際の具体的なステップについても教えていただけますか?

JAY:ヴィパッサナー瞑想では、まず呼吸に集中することから始めます。呼吸を観察する際は、鼻の縁に注意を向け、息が入ったり出たりするのを感じ取ります。しばらくすると、自然と観察の対象が現れるので、その対象に気付き、生成と消滅を観察していきます。これがヴィパッサナー瞑想の基本的なプロセスです。

最初に呼吸に集中しますが、もし思考や妄想が生まれたら、その瞬間にそちらに注意を向けて移動します。これがヴィパッサナー瞑想の特徴です。つまり、あらゆるものに気付き、観察することが求められるのです。

司会者:対象が変わったら、それに気付いて観察する、という流れですね。

JAY:そうです。そして、対象が消えたら、再び呼吸の観察に戻ります。この時に注意すべきポイントは、呼吸をコントロールしないことです。ヴィパッサナー瞑想は呼吸法ではなく、ただ現象に気付き、生成と消滅、無常を観察することが目的です。

対象は自然に現れるものを観察するので、無理に作り出す必要はありません。ネガティブな記憶がたくさん現れるかもしれませんが、それも自然に任せて観察します。

司会者:それは非常に興味深いですね。その先の手順について教えていただけますか?

JAY:まず最初に深呼吸を3回行います。息を吐き切ってから、深く吸い込みます。これを3回繰り返し、吐き切った後に体をリラックスさせます。この時、お腹が自然に膨らんでくるのを感じると思います。呼吸が自然な状態に整うまで待ちましょう。

司会者:リラックスして呼吸を整えるわけですね。それからどう進めればよいのでしょうか?

JAY:呼吸が整ったら、次に鼻の穴の縁に注意を向けてください。自然な呼吸をしている時に、息が鼻に入ってくるのと出ていくのをその縁で感じ取ります。これをしばらく続けます。

司会者:鼻の穴の縁に意識を集中するということですね。それだけでいいのですか?

JAY:そうです。ただし、ずっと呼吸だけに集中していると、それはサマタ瞑想になってしまいます。ヴィパッサナー瞑想では、呼吸以外の様々な対象にも注意を向け、観察していくことが大切です。ですが、対象を自分で作り出すのではなく、自然にやってくる対象に気付くだけで十分です。

司会者:自然に現れる対象に気付くわけですね。具体的にはどのような対象が考えられますか?

JAY:例えば、呼吸に集中している時に耳が痒くなったと感じたら、その痒みの感覚にダイレクトに注意を向けてください。その時、感覚を快か不快か、中立かと頭で判断する必要はありません。考えてしまうと、それはヴィパッサナー瞑想ではなくなります。

司会者:考えずに、ただその感覚に気付くということですね。

JAY:その通りです。次に、例えば頭にこわばりがあると感じたら、そのこわばりを直接感じ取ってください。そして、その感覚がどう生成し、どう消滅していくのかを観察します。

司会者:感覚の生成と消滅を観察するわけですね。他にはどのようなことに気を付けるべきですか?

JAY:例えば、過去の失敗した嫌な体験が思考として浮かんできたとしましょう。その思考が生まれたことに気付き、その生成と消滅を観察します。しばらくすると、そういった思考も消えていくことが分かるでしょう。思考が消えたら、再び呼吸の観察に戻ります。

司会者:思考が消えた後は、また呼吸に戻るのですね。

JAY:そうです。再び鼻の穴の縁に注意を向け、息が入ってくるのと出ていくのを観察します。この時、息の温度や長さ、吸っている時と吐いている時の間に生まれる一瞬の間にも注意を払っても構いません。

司会者:細かい部分にも注意を払うことで、より深く観察できるのですね。

JAY:その通りです。そして再び、何か思考が生まれたら、例えば「これが欲しいな」という思考が浮かんだ時、それに気付き、生成と消滅を観察します。ヴィパッサナー瞑想のやり方に疑問が生じたとしても、それに気付いて観察するだけです。焦らず、ただ気付き、生成と消滅を観察することが大切です。

司会者:瞑想中に気付きが途切れたり、思考が浮かんできた場合の対処法について教えていただけますか?

JAY:よくあることですが、瞑想中に「今、気付きを忘れてしまった。自分はダメなんだ」と思ってしまうことがありますよね。そんな時は、その思考に気付いてください。そして、その思考の生成と消滅を観察します。

司会者:気付きが途切れてしまった時も、そのこと自体を観察するのですね。

JAY:その通りです。そして、対象がなくなったら、再び呼吸の観察に戻ります。例えば、呼吸を観察している時に「自分は呼吸をコントロールしている」と気付いたら、その思考に気付き、その生成と消滅を観察します。コントロールしているという意識も無常の一部ですので、それを観察することが大切です。

司会者:瞑想中に時計を気にしてしまうこともありますが、それについてはどう対応すれば良いでしょうか?

JAY:そうですね、「いつになったら終わるのだろう」と時間を気にする思考が生まれることもあります。その場合、その思考に気付き、生成と消滅を観察してください。決して目を開けて時計を見てはいけません。もし時間がさらに気になるようであれば、その新たな思考にも注意を向け、その生成と消滅を観察します。

司会者:時間に対する焦りや不安も観察の対象になるのですね。

JAY:そうです。また、長時間の瞑想をしていると足に痛みが生まれることがあります。例えば1時間の瞑想の最後の方では、痛みが特に強くなるかもしれません。その時に痛みを感じたら、決して体を動かさずに、ただその痛みに気付き、生成と消滅を観察してください。もし足を動かしたいという衝動が生まれたら、その衝動に気付き、その生成と消滅を観察します。

司会者:痛みや動かしたい衝動にも気付いて観察するということですね。

JAY:その通りです。また、瞑想中に眠気を感じた場合も同様です。眠気に気付き、その生成と消滅を観察します。否定的な思考が生まれた場合も同じで、その思考に気付き、生成と消滅を観察してください。そして、対象がなくなったら再び呼吸の観察に戻り、鼻の穴の縁に注意を向け、息が入ってくるのと出ていくのを観察します。

司会者:全ての現象に気付き、生成と消滅を観察するというのが基本ですね。

JAY:そうです。例えば「私に痛みがある」と思ってしまったとしても、その思考に気付き、生成と消滅を観察することが重要です。ヴィパッサナー瞑想には成功も失敗もありません。たとえ気付きが途切れていたとしても、そのことに気付き、その思考を観察し、生成と消滅を観察すれば、それは立派なヴィパッサナー瞑想です。

司会者:失敗と思うことも含めて、全てが観察の対象になるわけですね。

JAY:そうです。ただし、気付きや生成と消滅の観察を完全に忘れてしまった場合、それは瞑想の失敗と言えるでしょう。そうなると、心と体に「私」という思考概念が入り込み、「私には痛みがある」と考えてしまい、気付きや生成と消滅を観察しなくなります。これは瞑想難民の入り口であり、瞑想すればするほど苦しみが増えることになりかねません。ですから、すべての思考や感覚に気付いて、生成と消滅を観察することが大切です。

司会者:瞑想の基本的な対象である呼吸や、それ以外の対象について、もう少し詳しく教えていただけますか?

JAY:はい、瞑想中は基本的な対象である呼吸に注意を向けることが重要ですが、それだけでなく、あらゆる対象に気付き、生成、消滅、無常を観察してください。例えば、「早く終わらないかな」という思考が浮かんだ時も、それに気付き、観察することが大切です。深い集中が途切れてしまうこともありますが、その際はただ現象に気付き、タイマーが鳴るまで観察を続けてください。

司会者:タイマーが鳴ったら、どのように終了すれば良いのでしょうか?

JAY:タイマーが鳴ったら、まず深呼吸を3回行います。深呼吸を終えたら、すぐに立ち上がるのではなく、まず目を開け、ゆっくりと足を崩してください。もし体に痛みがあれば、その痛みも観察します。そして、体が大丈夫だと感じたら、ゆっくりと立ち上がり、日常生活に戻ってください。

司会者:瞑想は座って行うだけでなく、日常生活の中でも行えるのですね。

JAY:その通りです。ヴィパッサナー瞑想は座って行う時だけに限りません。日常生活の中でも、ただ現象に気付き、生成、消滅、無常を観察することが大切です。言葉にするとたくさんの説明になりますが、やることは非常にシンプルです。

司会者:失敗したと思った時も、それを観察するということですね。

JAY:そうです。失敗したと感じたら、その思考に気付き、生成と消滅を観察すれば、それ自体がヴィパッサナー瞑想になります。良い心の状態でも、悪い心の状態でも、やるべきことはただ現象に気付き、生成、消滅、無常を観察することです。

司会者:瞑想中によく起こる、良い状態に執着したり、悪い状態に目を背けたりすることについてはどうでしょうか?

JAY:それが瞑想難民の典型的なパターンです。良い状態に執着し、悪い状態に目を背けてしまうと、瞑想が苦しみを生む原因となります。そうではなく、ただ現象に気付き、生成、消滅、無常を観察することが大切です。これが「ありのままに見る」という意味になります。

司会者:本質的には、どんな現象でも観察の対象になるということですね。

JAY:その通りです。仏教では、気付きを入れることで苦しみの連鎖を断ち切ることができるとされています。気付きを繰り返し観察することで、無常が当たり前のものとなり、やがて執着がなくなり、心が完全に自由になります。

司会者:時間がかかるかもしれませんが、確実に効果があるということですね。

JAY:はい、時間はかかりますが、その分効果は確実です。ヴィパッサナー瞑想は、潜在意識を変えるための方法として非常に効果的です。即効性があるテクニックもありますが、潜在意識まで変えるには時間がかかります。ヴィパッサナー瞑想の方が早く効果が出ることもあります。

司会者:最後に、ヴィパッサナー瞑想を始めるにあたって何かアドバイスはありますか?

JAY:まだ始めていない方でも、「こんな難しいことができるわけがない」と思った瞬間に、その思考に気付き、生成と消滅を観察してみてください。それがヴィパッサナー瞑想です。座って行うとより強力に気付きを得ることができますが、日常生活でも実践可能です。私の言葉で表現したこの瞑想法が、少しでも役立つことを願っています。

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