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【初めて見た希望】

私が初めて自分の居場所を見つけたのは、長男を抱いたときだった。

16歳で妊娠し、17歳で産んだ彼は、私の未熟な手の中で小さな温もりを発し、初めて私を必要としてくれる存在となった。

続けて、17歳で妊娠し、18歳で長女を出産した。子供たちは、私が「ここにいてもいい」と感じられる唯一の証だった。


どんなに心が折れそうなときでも、その小さな手に触れるだけで、私は前を向けた。




でも、私はまだ子供だった。

育児のことなんて何もわからない。



母の助けは、時に異常なほどに強かった。
私が子供の父親への愚痴をこぼすと、まるで自分が傷つけられたかのように怒り、私以上に共感してくれた。

私の母は「戻っておいで」と手を差し伸べてくれた。
母は、「何でもしてあげるから」と言い、子育てについても私をサポートしてくれた。

子供の父親とは別れることになったが、母の言葉に縋るように実家に戻った。

最初はその共感が心強く、母の期待に応えるようにとにかく一生懸命子育てに打ち込んだ。

遊びや自分の時間なんて忘れて、朝から晩まで育児に全集中した。



しかし、母は次第に別の方向へと舵を切り始めた。

「夜、私が子供を見てあげるから働いてきなさい」

と言って、友人が経営する居酒屋を紹介してきたのだ。

昼間は子供の世話、夜はバイト。

気づけば、私は朝から夜中まで働きづめの生活に追い込まれていた。


疲れ果てた体を引きずりながら帰宅すると、母の目は鋭く私を射抜く。

「昼間、泣いている子供を放っておくなんてどういうこと? 公園に連れて行きなさい!」

母の怒鳴り声が私の耳に突き刺さる。

私は泣き止まない子供たちを抱きかかえながら、それでも自分の非を認めようとする。
それが母を怒らせない唯一の方法だったから。

でも、次第にわかってきた。

母のサポートは愛情から来ているのではない。
彼女のストレスや不安が、私と子供たちに向かってきているのだ。

私が自分の幼少期に感じた恐怖が、今度は子供たちを覆い始めている。

それを目の当たりにしたとき、私は危機感を覚えた。

「このままじゃいけない。この家にいたら、また同じことが繰り返される。」

トラウマが私の背中を押し、子供たちと一緒にここを抜け出す方法を探し始めた。
必死だった。

そんなある日、長男が夜中に泣き出した。寝不足の私の体は限界だったが、それでも彼を抱きしめ、寝かしつけた。

そのとき、彼の小さな指が私の髪に触れた。無意識にその温もりを感じた瞬間、涙がこぼれた。彼らは私のすべてだった。 

どんなに辛くても、この子たちを守らなければならない。
それが、私の使命だと。


私は子供たちを抱きしめ、静かに誓った。「ここから新しい生活を始めよう。

どんなに辛くても、私たちの居場所を作る。」

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