バスの運転士が車内の空気をつくっている【伝える力うどん⓸】
#バスのアナウンス
#非言語がつくる空気 #手書きメモ #筆跡鑑定
#4分で読めます #やま
「はい、動きます。つかまってください」
「降りる方他にいませんか?」
「緊急車両複数通過しましたので遅れが生じてます。ご了承ください」*
(これはレア)
「はい、右に曲がります。つかまっててください」
「はい、〇〇一丁目です。気をつけて降りてください」
「電車通過します。お待ちください」
「踏切通過します。おつかまりください」
これはバスのアナウンス。
祝日の午後3時。ちょいとお出かけの帰りの西武バス。
前乗りでPASMOをピッとやって、いつもの席に。
車内はまあまあの混みよう。運転士は男性、30代半ばかな。
優しい声の、穏やかで、丁寧なアナウンス。好感が持てます。さてさて今回はどんな記事にするか、スマホを取り出しぽつぽつと書き始めた。
アナウンスを聞きながらこれだ、と思った。
さて、
テキスト文字で打ち込む言葉では、誰が書いても同じになる。
東野圭吾のようなベストセラー作家でも、私がタイプしても、「こんばんわ」は「こんばんわ」違いはない。
東野氏の「こんばんわ」は、やっぱり謎めいてていいわ〜、とはならないはず。
どんなに優しい人がタイプしても、どんなに怒りンボが打ち込んでも同じ。
活字にすれば「おはよう」は「おはよう」と全く同じに表記される。
言葉の意味情報が伝えられるだけ。
それが手書きとなると様子が違ってくる。職場でのちょっとしたメモ書きや連絡ノートの文字。
記名がなくても誰が書いたものか分かる。それが手書きの個性。
タイプした活字じゃ、読みやすいが個性がない。
確かに手書きは、字がきれい、字がきたないが生まれる。大きい文字や小さな文字、丸っこいのや角ばったもの。
筆圧の強い弱い。あげくの果てには判別不能(笑)まである。
ただ、
手書きの文字には意味情報以外に視覚に訴える魅力がある。
書き言葉から次は話し言葉。
バスの車内の空気(雰囲気)は運転士のアナウンスで決まります。
丸い空気も、尖った空気も、車内の雰囲気は運転士のアナウンスで生み出される。
冒頭のアナウンスは仕事上の決まり文句。運転士なら乗客への注意喚起として、どんなバス会社でも指導されるマニュアル通りだろう。
バスの運転士であれば誰もが使うアナウンス言葉。しかし、人によって運転士によって同じフレーズを使いながら好感度が違ってくる。
それはアナウンスの仕方だ。
温かい言葉のアナウンスか。
聞き取りやすいものであるか。
事務的で冷たいか。
やる気のないものか。
その運転士が仕事にどう向き合っているのか、その姿勢が現れる。
その差は乗客の乗り心地にまで影響する。
本当にやる気のないアナウンスする運転士はいる。ボソボソと聞こえない。そんなアナウンスされると運転は大丈夫かなと、心配にもなる。
コミュニケーションには2つあって、
それは⓵「言語的」⓶「非言語的」があります。
⓵は言葉の意味内容、言語的情報
それは運転士の「動きます。つかまってください」という言語的情報です。運転士なら誰もが使います。
⓶は言語によらないもの 視覚と聴覚に訴えるコミュニケーションです。
運転士になったつもりでアナウンスしてみてください。
「はい、動きます。おつかまりください」
その同じフレーズを人の聴覚に訴えるように、変えてみてください。
(温かい感じで)
(穏やかに)
(ゆっくりと)
(冷たい感じで)
(事務的に)
(早口で、めんどくさそうに)
ちゃんと、使い分けられますよね。
空間の空気(雰囲気)は非言語に影響されます。
非言語はなんと人の心を伝えます
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次回の【伝える力うどん】は非言語的コミュニケーションについてもう少し深掘りでお伝えしたいと思います。
「非言語言語の言語性」なんてことばもあります。
なんか、早口ことば(笑)
*その日は路線のどこかで火事があったらしく、消防車が何台も出動しており、バスも道を譲って何回か停車しました。初めて聞いたアナウンスでした。
(おわり)