見出し画像

“ぽときち“はどうしたの?

今日は長男のことを書こうと思う。

現在、都会で一人暮らしをしている長男は、盆と正月しか帰ってこない。
子供の頃から読書やゲームが好きで、自分から進んで人と関わろうとしない。
多分人が嫌いなわけじゃなく、口下手ゆえに無理に人と話すより一人でいた方が気が楽なんだと思う。

話題が広がらないのは夫と似ている。
子供の頃一緒に行った旅行の思い出を語ろうにも、覚えていないと相手にもしてくれない。
LINEをしても、いつになっても返信がない。
せめて既読をつけてくれないと、こちらは心配でしょうがない。
学生の頃、何日経っても反応がないので「生きてる?」と送ったことがある。
返事が来たとしても「分かった」とか「はい」とかほぼ一単語、一文節だ。
赤ん坊じゃないんだからせめて二語文で頼む!と何度思ったことか。
そんなんだから、もちろん年齢=彼女いない歴だ。

そんな長男に、この前観葉植物の話をした時に「そういえば、“ぽときち“はどうしたの?」と聞かれて驚いた。

説明しよう!“ぽときち“とは何か!

あれは長男が小学生の頃。
リビングにポトスを置いていた。
私はグリーンをすぐに枯らしてしまうので、なるべく置かないようにしている。
そのポトスは実家から株分けしてもらったものだったかもしれない。
水やりを忘れないよう、ポトスに名前をつけることにした。
その頃好きだった漫画の登場人物が、ポトスに「ぽと吉」と名前をつけていたので、それにあやかることにした。
そして、長男と二人で“ぽときち“と呼んで育てていたのだ。
もう二十年も前のことだ。
それを長男が覚えていたことが嬉しかった。

もちろん当時の“ぽときち“が今家にあるわけがない。
それでさっそく新しいポトスを手に入れて、「新生ぽときちだよ」と写真を送った。
するとすぐに「かわいい」と一言だけ返ってきた。
メッセージも、普段ほとんどLINEを使わないので反応が遅れるだけだということも分かった。
ショートメールで送ると大抵すぐに返信が来る。

普段ほとんど自分の内面を見せない長男の、知らない一面を見つけたような気がして嬉しかった。
小学生の頃の素直な笑顔を思い出した。
不器用だけど優しい少年が、今でも彼の中にいるんだろう。
家族との思い出も、口下手ゆえに語ることはできなくても、彼の心にはちゃんと残っているのだ。

新生“ぽときち“は今日も元気だ。

いいなと思ったら応援しよう!