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飛ぶ鳥ヲうがツ

「高さ」には、下にも上にも限界がある。限りなく自由に見える空も届かない高さがある。
下は地面の高さまで。マイナスはなく「深さ」に変わる。
生まれた時から決まった幅からは抜け出せない。
たとえ翼があっても。


飛んでいた鳥は撃たれて墜ちた。
時と比例して近くなる地面を目の端に捉えながら、今まで自分が飛んでいた高さとは
別の高さを沢山の鳥が飛んでいることに、初めて気付いた。
よく見ればあちこちで鳥が墜ちている。
交わらない航路をゆくそれぞれが辿り着く先はみな同じ高さ0。
初めて他者との偽りない共感を得た。


鳥はあの頃見た景色を忘れた。
あの景色はもうどこにもない。
傷ついた翼を引き摺って、靄の中を歩く。
横たわる骸を通り過ぎる。
昼と夜がほどけてトケル。
夢が見れなくなる。
呼吸が縮む。
下に沈む。
墜ツ。
 。



鳥はもう飛べない。

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