ピアスと夜しか愛せない
彼の額に、またひとつ光が増えた。キッチンで黙々と料理をする横顔に、きらりと光るピアス。その輝きに負けじと、夜闇に埋もれる前の一瞬を独壇場と言わんばかり、黄昏れの光に煌めくすすきのような髪が料理帽から覗いている。オーダーを伝えると、彼は少し顔を上げて無言で作業を切り替える。他のオーダーを取って戻ると、フードとドリンクが用意されていた。ホールの仕事であるドリンク作りまで終わらせて、一つのトレーにまとめて用意してくれる優しさから、見た目は怖いけど良い人だと知っている。無表情で読めな