
Photo by
kaede5557
まろやかな白い季節
玄関の扉を開けて外に出ると、
秋の風がさらりと肌を撫でていった。
夏の空も、緑も、飛んで行く白球も、
青く、碧く、色濃く。
今年も、もぎたての果実のような瑞々しい絵の具を
記憶に落としていった。
秋の風を感じると、
木の葉は退色を始め、
空は高さを増して薄い雲を広げていく。
太陽が乾いた地面に淡い陽だまりをつくると、
世界は一転して、まろやかな白色をまとい出す。
本格的な秋を迎える前の、ほんのわずかな時間。
「ほぉ」と吐いた、ため息で染まったような季節。
歩いていると、柔らかな繭糸に触れている心地がして、
夏の間に強烈なエネルギーを浴び続けた身体から力が抜けるような、
疲れを労わる必要があると気づかせてくれるような、
そんな優しさを感じた。
静かなため息は、何かを嘆いているわけでもなく。
ましてや、落ち込んでいるわけでもなく。
ただ次の新しい空気を吸い込むために吐き出された、白い息吹。
ほてった大地を冷ますように、風はさらりと流れていく。
白色を帯びた景色を、バス停からぼんやりと眺めながら、
私は次の季節がやって来るを待っている。
暫くご無沙汰しておりました。
ご心配くださった皆さま、温かいお言葉をありがとうございます☺️
おかげさまで、家族は無事に回復しました。
今は夏に働き過ぎたPCが不調を訴えていますが、何とか労わって回復を願おうと思います…(笑)
暫く書くこと離れていたので、リハビリをしながら。
また、ゆるりとよろしくお願いします🍀
みなとせ はる
※ヘッダーは、kaede.n5557さんの作品をお借りしました。
いいなと思ったら応援しよう!
