この4年。
先日、ある大学生と飲みの場を持ちました。
彼との出会いは4年前で、みなと基金に申請をしてきたときでした。
児童養護施設出身で、施設職員からは大学進学は奨励されないなか、それでも大学に行けることを後輩に見せたいという思いから進学。
しかし、人間関係やお金の管理の難しさから2年次に退学。
それでも福祉の道に進みたいという想いから、再度大学に挑戦。
見事合格するも入学金が用意できず、万策尽きて相談に来たというものでした。
入学金の給付は基本的には厳しいという判断でしたが、自分自身を広告塔として名前も所属も公開して良いという想いの強さや、他の福祉法人とも協働で伴走支援体制を作れることから、特例として給付をし大学に進学できました。
しかし時は2020年、コロナが始まりいきなりオンライン授業で描いていたような学生生活も出来ずに悩むことも多かったようです。
そんななかでも節目でオンライン面談をしながらなんとかかんとか1年ずつを乗り越えていきました。
そしてこの度、無事に卒業と就職が決まり、サポートに関わった方々とお祝いの飲み会を開きました。
彼からは改めてこの間のことをレポートにして頂くので詳細はそちらにお任せをし、この項ではこの4年のことを想ってみました。
コロナでずいぶんと振り回された時代で、それによって人生にかなりの影響を受けた人たちがいること、特に人生の節目でその影響を敏感に受けた若者たちがいることを想います。
いま、その間のことはまるでなかったかのようにまちなかではマスク無しが当たり前になり、対面で話したり飲んだりも気兼ねなく出来るようになりました。
飲みながら、こうして飲めるようになったのもなんだか不思議なものだね、と話しました。
しかし、いま入ってくる1年生は最初から普通の学生生活を送れているということにもやもやしてしまう、と彼は話していました。
まるで遠い国のおとぎ話のような感覚さえ覚えてしまいますが、コロナの日々は確かにあって、その日々を生きていた若者たちはこんなことを考えていたということに、改めて向き合ってみたいと思いました。
みなと計画では、2020年11月~2021年1月にかけて、背景の異なる19歳~30歳の若者8名に、コロナ禍の中での想うことを12の質問にして回答して頂き動画にまとめています。
下記リンクはそのなかの問いの一つ「コロナ後の世界で大切になることはなんだと思いますか?」の動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=usn1nUsosqw
インタビュー当時は、語られていることに違和感がないぐらい社会全体が当たり前に体験していることでしたが、いざ過ぎてみると「こんな感じだったんだな」と時代の特異さを感じてしまいます。
彼が過ごした”この4年”は、そんな日々だったのです。
あの犠牲を伴う日々を、いま、この社会はどう活かしているのでしょうか。
若者たちが発するまっすぐな言葉に時間を経て向き合うと、単に「コロナ前に戻った」と喜びはしゃぐ社会の無邪気さに打ちひしがれる思いと、あの時代を経験した者として、いま、何をしなければならないのかを考えてしまいます。