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机の上の鳩

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小説・随想などなど、書きためてきたものたち。何とも呼び難いものが多いため小品と呼んでいたりもします。
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#雑感

はとの総合書籍案内

湊乃はとの書籍まとめでございます。 (更新:2024/06/08) 販売中100年くらい前のどこかの誰かの話が主です。 書籍には旧字体フォントを使用。 明治後期〜昭和初期あたりの東京や、その頃の風俗がお好きな方におすすめ。 あまり再販はしませんので、ぜひ在庫のあるうちに。 書籍あり〼 盗蜜(2024)7/15ごろ第二刷印刷予定 傍から掠め取る蜜は甘い。 銀座のカフェーで生きる女給の物語。 ある男との心中から生還した廣谷松は、神田榮と名を変えて、カフェーの女給となった。

料理

 の・ようなもの、を作る常習犯であるので、ことあるごとに、の・ようなものを作っている。まず初めにこれは、の・ようなものであると自覚したのは、カルボナーラであって、人様に作れと言われただかなんだか、忘れたがそもそも作らないものを適当に作ったところが始まりであった。  カルボナーラ。きっと食事をしたことがある、現代日本に住んでいる人間であればどこかで出会ったことがあるだろう。白いパスタだ(そもこの時点で認識がこの程度である)。それまでそれが私に馴染みがなかったのは、外食をする時

次ぎをもっとうまくやるための手引き(無職雑感)

大学院を落ちたのは、どことなくそうなることがわかっていた。 それでも踏ん切りをつけるために、合否もわかる前から引越してしまい、先が見えてしまってから、さてこれからどうしようと漸く考え始めた。 級友たちが真面目に就職活動をしている傍で私は何もしていなかったのだから、そのようなノウハウは何一つなく、とりあえず派遣登録をしてしばらく日銭を稼いだ。 その日々で様々な思うこともあったが、ここには書かないでおく。 半年ほどのらりくらりとして親の脛をひたすらに齧り、就職が決まった時にはそ

〇七一九 - あの胡瓜の飾り切り -

 私の両親は嫌煙家で、大酒飲みだった双方の祖父のあらゆる蛮行を知っていたためか、酒に飲まれる質でもない。至極真っ当な両親の膝下ならぬ、小さな箱庭を飛び出して進学した私は、しかしなんの因果か煙草のもくもくと煙る酒呑の巣窟のような昔気質の小さな割烹でバイトをしていた。何年もの昔、私が学生の頃の話だ。  小さな割烹は、ただ一人のマスターが切り盛りしていて、店内は二十人入るかそこらという手狭さ。そのくせ大きな海亀の琥珀色の剥製が壁にかかっているような、なんとも奇妙なバランスの店だ