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2022年11月発行の「くちなし」。 書籍は完売、再販の予定もないため、公開します。 ──妄想と現実に境を付けるな! 雑誌広告の女に恋をする仮想恋愛小説。 恋の夢想とその生活は時代を問わない。 大正末期に新時代が香る、独り善がり恋愛小説。 ここは下段。上段と中段はこちら。 下 改めて生活をしていると、女は至る所で俺の生活を侵食している。 寝起きに寝惚けている時に、 「あなたはいつ起きたって良いんだから気侭なものね」 絵を書いている間、 「もうヴィリジャンの予備が
2022年11月発行の「くちなし」。 書籍は完売、再販の予定もないため、公開します。 ──妄想と現実に境を付けるな! 雑誌広告の女に恋をする仮想恋愛小説。 恋の夢想とその生活は時代を問わない。 大正末期に新時代が香る、独り善がり恋愛小説。 ここは中段。上段と下段はこちら。 中 間借りしている部屋は木造長屋の二階の一室で、先の大地震で焼けたところを作り直したというものなのだから、木材の匂いのする新しい建物だ。しかしこの東京で、現在街を見回してみると、それは特段変わり映
2022年11月発行の「くちなし」。 書籍は完売、再販の予定もないため、公開します。 ──妄想と現実に境を付けるな! 雑誌広告の女に恋をする仮想恋愛小説。 恋の夢想とその生活は時代を問わない。 大正末期に新時代が香る、独り善がり恋愛小説。 ここは上段。続きはこちら。 上 紙の上に存する女に恋をした。濡羽の髪をおかっぱにして脛を見せる洋装はいはぬ色、椅子に腰掛ける様は毅然として、ツンと上向いた顔の燃ゆる頬に、肌は上等の正絹の白さ、薔薇色の唇が麗しい。写真であるから、そ
書籍詳細 文学フリマ東京37新刊。 初刷 2023/11/21 / 文庫判(A6) / 本文88ページ / ¥800 あらすじ まずは気取ったあらすじがこちら。 旧字体が読みにくいと思われるため、新字体でも以下書き起こします。 己を人生の主演ではないと信じる男が、不満のない生活から見る主演の世界。 凌雲閣を見ながら、男はその友人のことを考える。 変化していく生活の中で、兄のことを考える。 人生の転機を目の前にして、娘のことを考える。 男の周りにはいつでも、その人生