【小規模制作向け】非プログラマもUnityを使って作業効率化をしよう
こんなことありませんか?
これをなくしたい。本音を言ったとしても修正の回数が増えるほど素材の受け渡しや調整でどんどん開発に使える時間が削られていきます。なら自分の手元で調整してベストな状態で渡しちゃおうぜって話です。
お前誰?
普段は個人制作をしていて、今は少人数のチーム制作をしている専業のゲーム開発者です。
代表作は『モン娘ぐらでぃえーた』でSteamやNintendo Switchなどで3万本以上DLしていただきました(大感謝)。現在はインターネットで活動するイラストレーターのつきのせ氏と『琉奈と悪夢の館』という洋館探索ホラー脱出ADVゲームや、講談社GCLで永瀬氏と荻野氏と共に『1999トコヨビル』を制作しています。また、『unity1week Team-Up!!』というゲーム制作者と他のクリエイターを繋げるコミュニティの主催もしています。基本的に素敵なゲームが世の中に1本でも増えたらいいなぁってマインドで活動しています。テンプレおわり。
環境
OS: Windows 11
Unity Hub: 3.7.0(途中から3.9.1)
Unity Editor: 2022.3.50f1
Unity DevOps Version Control(旧Plastic SCM): 11.0.16.8933
ターゲット
より良いゲームを作りたい小規模チーム
短期間でゲームを作りたい小規模チーム
この記事ではUnityプロジェクトを管理している人を便宜上「プログラマ」と呼びます
できるようになること
調整の時間が確保できてゲームのクオリティがあがる
プログラマの人へ
この記事ではブランチやマージなどについては言及していませんがUnity Version Controlにももちろんありますので安心してください。
なにをすればいい?
プログラマにゲームのプロジェクトデータを共有してもらい、自分で編集し、編集したデータをプログラマに共有する。ここまでをゴールとします。
Unityをインストールしよう
まずは公式サイトよりUnityの管理をするソフトであるUnity Hubをダウンロードしましょう。なぜUnityを直接ダウンロードしないのか不思議かもしれませんね。複数のゲームを開発している場合は複数のUnityのバージョンが必要になったりするからです。Unity Hubをダウンロードしましょう。
ダウンロードしたUnity Hubを起動しましょう。
英語ですね。怖いですね。落ち着いて「Create account」か、既にアカウントを持っているなら「Sign in」を押してください。
はいまた英語です。勘弁してほしいです。落ち着いてページ下部で表示言語を変更をしてください。
日本語になったので安心してアカウント情報を入力してください。ユーザーネームはスペースや記号があるとダメっぽくて、しかもユーザー数が多いのに他の人と被るとダメらしいので頑張ってください。入力が終わると認証メールが届いているはずです。
また英語ですが「Link to confirm email」を押して認証してください。認証がおわったらUnity Hubに戻って「Sign in」を押してサインインしましょう。
おそらくブラウザに転送されてサインイン画面が出たはずです。サインインを済ませたらUnity Hubを開けって言われるのでそうしてください。
まだ英語ですが気にせずに「Got it」を押す。
サインインできたらライセンスの認証が必要です。基本的にはUnity Personal(無料版)で問題ないので「Agree」を選択してください。年収2000万円以上の人や学生は別のライセンスになるかもしれないので、気になる人は詳しくは公式サイトのページを確認してください。
新たにライセンスを追加する場合は環境設定より設定を行う必要があります。
Unity Hubが英語だと不安な人は日本語化しましょう。
ついにUnityをインストールする時がきた!
プログラマにUnityのバージョンを教えてもらってください。最新のバージョンでない場合はアーカイブから持ってくる必要があるので公式サイトからダウンロードが必要になります。詳しくはプログラマに聞いてください。
インストールする際にモジュールというオプションを選択します。プログラムに触れない場合はデフォルトでチェックがついてるMicrosoft Visual Studioってやつはいらないのでチェックを外してください。
インストールは結構時間がかかるので作業直前にやらないでください。インストールの途中でアクセスを許可するとかそんな感じの画面が出ますが許可してください。
プロジェクトを共有してもらう
Google Driveやギガファイル便などのストレージサービスを使うのもいいですが修正や差し替えが多いと大変!ではどうするか。
Unitypackageについて
Unityにはプロジェクト内の複数のファイルを1つのファイルにまとめてくれる機能があります。それがUnitypackageです。画像や音楽ファイルをプログラマに直接渡すと手動でファイルを反映することになるので複数のフォルダにまたがる反映は結構面倒。Unitypackageではフォルダ階層も含めてプロジェクトでそのまま使える形で共有できるので便利です。
Unitypackageでファイルの受け渡し準備をする
Google Driveやギガファイル便などでプログラマからプロジェクト内の全ての内容が入ったzipをもらってください。Unitypackageではありません。Unitypackageでも準備は可能です。ただし、外部パッケージはローカル環境で別途インストールが必要ですし、シンボルの再定義が必要だったりと、正直面倒すぎるのです。非プログラマからするとなんのこっちゃねんって話ですが。
プロジェクトのzipを貰ったらプロジェクトフォルダを置きたい場所に展開してください。Windowsが消すことあるので間違ってもダウンロードフォルダに展開しないでください。zipを展開したらUnity Hubを開いて「ディスクからプロジェクトを追加する」を選んでください。
プロジェクト一覧に追加されているのでクリックして開きます。
Unityプロジェクトが開けました!やったね!
上の方法より準備が面倒ですが、更に手間が減らせるのが次に紹介するバージョン管理システムです。
バージョン管理システム(VCS)について
バージョン管理システムとはファイルの更新を管理して、誤って更新したファイルを古い状態に戻したり、他の人が更新したファイルを取り入れたりするのに便利なシステムの総称です。主に使われるのはGitと呼ばれるものですが今回はUnity上でシンプルに使える「Unity Version Control(UVC)」を紹介します。推しているので。
UVCでファイルの受け渡し準備をする
先にプログラマにやってもらうこと(プログラマ向けの内容です)
UVCにプロジェクトを接続後、作業者をリポジトリに招待しましょう。組織1つにつきプロジェクトメンバーが3人までストレージ容量が10GBまで無料で利用できるので節約する場合は必要なくなったメンバーの除外やプロジェクトの削除をしましょう。Gitで配布されている外部のパッケージを使っている場合はGitのインストールが必要なので、プロジェクトメンバーがインストールしていない場合はインストールしてもらってください。
ここから非プログラマの作業
Plastic SCMをインストールしましょう。Plastic SCMとはバックアップをとったりファイルを共有するソフトとでも思ってください。インストール時に権限でエラーが出る場合はインストーラーを管理者実行で直るかもしれません。
Plastic SCM
https://www.plasticscm.com/download
「Cloud Edition」をダウンロードしてください。
ダウンロードしたインストーラーを起動したら「Next」。
規約が表示されるので同意して「Next」。
インストール先を選択後「Next」。
オプション選択画面が表示されますが基本的には必要ないのでデフォルトで入っているチェックを全て外して「Next」。
「Next」を押すとインストールがはじまります。
インストールが完了するとPlastic SCMが起動します。UVCをどのように使うのか聞かれるので右を選択して「起動」。別に起動しなくてもいいのでそのまま閉じてもいいです。
Unity Hubを開いて「追加」→「リポジトリから加える」。
招待されたプロジェクトを選択して「次へ」。ここに出ない場合はUnity Hubの再起動やログインし直しを試してみてください。Unity Hubはウィンドウを閉じても終了しないので注意してください。
プロジェクトをダウンロードする場所を指定して「次へ」。
Unityプロジェクトで使用しているバージョンのUnity Editorがインストールされていない場合はインストールを促されるので指示に従ってください。
Unity Editorのバージョンとプラットフォームを選択します。どれを選べばいいかはプログラマに確認しましょう。Unity Editorが開けばOKです。
ファイルを編集しよう
ファイルの差し替え
既存のファイルを更新したい場合はProjectビューから目的のファイルを探します。目的のファイルを探すのが難しいのでプログラマさんに教えてもらってください。目的のファイルを見つけたら左クリックでコンテキストメニューを開いて「Show In Explorer」を押してください。
フォルダが開くので、ファイルを直接編集するか、編集済の同名のファイルを上書きしてください。
アニメーションをさせてみる
Unityでは標準のアニメーション機能の他にもSpine、Live2D、Aseprite、Sprite Studioなどの外部アニメーションツールも使うことができます。また、Unity 2D Animationというボーンやウェイトなどが利用できる機能も備えていますので気になったら調べてみてください。ほんとは自分で各種触りながら解説したかったんですけど時間が足りませんでした。
Unity 2D Animationについてはこちらを参考にするといいかもしれません。
最近のAsepriteはアニメーション含めて取り込んでくれるらしいですよ。
レイアウトを調整してみる
試しにシーン内のタイトルロゴの位置を変更してみます。
オブジェクト(画像など)の位置や回転はゲーム再生中に変更しても再生を停止すると変更前に戻ってしまうので注意してください。ゲーム再生中の変更を保存できるアセットもあるので気になった人は調べてみてください。
編集するためのSceneビューを表示するために「Window」→「General」→「Scene」を選択します。
Sceneビューで移動ツールを選択して、Hierarchyビューから編集するファイルを選択します。Sceneビューで対象のオブジェクトをクリックしても選択できますがうまくいかない場合もあるので場所をプログラマに聞いてください。
移動ツールを選択した状態でオブジェクトを選択すると矢印が表示されるので、矢印を動かしてタイトルロゴを動かしました。シーンを編集したらCtrl+Sキーを押してシーンを保存しましょう。
編集できたか確認しよう
Unityでゲームを実行して意図した編集ができたか確認してみましょう。
エディター中央上の再生ボタンを押すと、現在開いているシーン(キャンパスのようなもの)でゲームを実行します。シーンの場所がわからない場合はプログラマに聞いてください。
ファイルを共有しよう
調整作業がおわったらファイルをプログラマに共有しましょう。
Unitypackage
「Asset」→「Export Package」を押すと書き出し用のウィンドウが開きます。
自分が編集したファイルにチェックを入れて「Export」を押してunitypackageファイルを書き出してください。「Include dependencies」にチェックを入れると関連するファイルを含んでくれますが、共有する相手が該当ファイルを編集済みの可能性もあるので気をつけてください。
unitypackageファイルが書き出されるので、クラウドストレージなどを利用して相手に共有してください。画像や音楽ファイル単体だけならunitypackageにまとめなくてもいいですが、まとめて送る際はunitypackageが便利なのでぜひ試してみてください。
Unity Version Control
「Window」→「Unity Version Control」を押すとUVC用のウィンドウが開きます。
自分が編集したファイルにチェックを入れて、作業内容のコメントを書きましょう。そしたら「Check in Changes」を押せば共有完了です。
プロジェクトの更新を受け取る
相手からファイルを共有してもらった場合、その更新を受け取る方法を書きます。
Unitypackage
「Import Package」→「Custom Package」を押すとファイルを選択する画面を開きます。
共有してもらったファイルを選択してください。
unitypackageファイルを開くと共有されたファイルを選択する画面になるので必要なファイルにチェックを入れて「Import」を押してください。同じファイルを編集していない場合は全選択でOKです。
Unity Version Control
「Window」→「Unity Version Control」を押してUVC用のウィンドウを開いたら、「Incoming Changes」タブに切り替えて更新されたファイルを確認し「Update workspace」を押すとファイルがDLされ更新されます。簡単!
さいごに
UVCは初期設定こそちょっと面倒ですが一度できるようになればメリットだらけなのでぜひ試してみてください!Gitより圧倒的に簡単です。そして、この記事はプログラマが書いているのでどうしても非プログラマにとってわかりにくいところがあると思います。気になったところがあれば気軽にコメントしてください!