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令和に八朔祭は消滅するのか-300年続く祭りを次の世代へ渡す使命-

第5回 経済的な問題

1.祭り実施のための費用

 ここでは、経済的な問題として、祭り実施のための費用について考えていきます。祭りを実施する上で、多額の費用を要するというのは周知の事実だと思います。しかし、世帯数の減少によって、そのためのお金を工面するのがより一層難しくなっています。さらに、後述する町内間格差によって、屋台を運行することが特に困難になっている町内が存在しています。


2.町内間格差

 町内間格差について具体的な世帯数を用いながら考えていきます。今回例として挙げるのは、明神町の43世帯*と七町目の340世帯です。

このことから、単純計算で七町目には明神町の約8倍相当の人が住んでいるということが言えます。

つまり、七町目が8町内相当の規模でお金と人員を集めることができた時、明神町が本祭に出場することができます。

 また、屋台の運行にはたくさんの人が必要なため、世帯数及び人口の差はそのまま人材の町内間格差となります。

加えて、面積の格差も存在しているため、これから新しい家が建ち、世帯数が増える可能性があるかどうかという問題もあります。


 次の項目で出てくる商店街である本町通りについては、屋台運行の際にメインの通りであり、地域の産業レベルも一定程度見て取ることができます。このことから、祭りと商店街は密接な関係にあると言えます。

*みなと八朔祭り 「各町のこと」の掲載を参照

3.商店街の現状

では、実際に商店街の現状について見ていきます。

まず店舗数の減少についてです。

湊本町通り商店街並びに明神町通り商店街では、平成13年から平成24年の10年においてそれぞれ15店舗ずつ減少しています。

商店街内の店舗の業態を見ると、小売業が半数以上を占め、さらにその多くが食品関係となっています。

商店街ではあるが、似た業態の店舗が集まっている状態となっています。


また、どちらの商店街においても、経営者の高齢化による後継者難が問題となっています。

ほとんどの店舗において、経営者が60歳以上であり、さらにそのうちの約半数の店舗は後継者が決まっていない状態です。

このままいけば商店街の半分近くの店舗は次第になくなっていきます。


地元住民以外からご愛嬌頂いていたりや地域外に得意先のあるお店もあると思いますが、商店街の店舗の大半は地元住民を顧客として営業しています。

そのため、この地区における人口減少や高齢化といった問題が店舗数の減少に大いに影響していると思われます。


また、那珂湊にはおさかな市場、周辺にはひたち海浜公園、ジョイフル本田やファッションクルーズ、アクアワールド大洗水族館などがあります。

観光客が集まる施設が周辺には多くありますが、那珂湊の商店街を訪れる人はほとんどいないのが現状です。

祭りと商店街



近年では祭りの動画をYoTubeのような様々な媒体に投稿されています。

昔の祭り・那珂湊の町の姿を思い起こししながら動画を見ると、
華やかな「屋台」に対する寂れた「商店街」というのは、

「昔」の見栄を張り合うことを好む那珂湊の姿を現し続けている祭り
 

「今」の那珂湊の姿を現す商店街
に何とも言えない儚さを感じます。



参考文献

*みなと八朔祭り 「各町のこと」 (http://3710839.com/town/town.html

地域鉄道と連携した地域活性化の今後のあり方に関する調査報告
(https://www.j-smeca.jp/attach/kenkyu/shibu/h23/h_ibaraki.pdf)

resas トップページ - RESAS 地域経済分析システム


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