見出し画像

今週のSaaSニュース! Vol.90(3/6週)

SaaSニュースレター登録ご希望はこちら(無料)🚀

今週の資金調達ハイライト

All-in-one e-Commerce構築SaaS Cart.com $240M調達
米・テキサス創業のCart.comは、エンタープライズ企業がECサイトの構築をすべて支援するSaaSスタートアップ。2020年にWalmartやHome DepotなどでEC事業をリードしていたベテランが創業。GUESSやGNCなどが顧客。売上は+400%以上で爆発的に成長しており、従業員数も850名にまで拡大。過去1年間でCart.comで取り扱ったGMVは$3Bを超える。本ラウンドは、Legacy Knight Capital Partnersがリード。(Cart.comが考えるECの未来とは?

画像1

ノーコードでフォームを作成できるSaaS Typeform $135M調達
西・バルセロナ発のTypeformは、主にブランド企業が顧客からのフィードバック収集や問合せ対応のフォームを開発無しで構築することを支援を行うSaaSスタートアップ。ARRは$70Mを超えて、2018年から3倍以上に成長。現在12万5千社以上が有料ユーザーで、アメリカが主要マーケット。競合はQualtricsやHubSpotなど。本シリーズCはSofinaがリードし、既存投資家のGeneral AtlanticやIndex Venturesも参加。バリュエーションは$935M。(Typeformとは?

画像2

給与決済の迅速化Fintech×SaaS Branch $75M調達
2015年 米・ミネアポリス創業のBranchは、契約社員(Contract workers)が企業から給与を素早く受け取ることを支援するSaaSスタートアップ。Uber Freight(Uberの運送事業)では、個別契約のドライバーへの給与決済が60日から30日に短縮できた。過去3年で売上は+2,000%超、2021年は+700%超で成長した。本シリーズCは、既存投資家のAdditionがリード。前回ラウンドから6ヶ月で資金調達を実施した。(Branchとは?

画像3

デジタルフォワーダー Forto $250M調達:独・ベルリン発のFortoは、欧州版Flexport。国際物流の手配から文書管理、データ分析までを2,000社以上に提供している。本ラウンドはDisruptiveとSoftbank Vision Fund2がリード。バリュエーションは$2.1B。
ITインフラを守るサイバーセキュリティSaaS Axonius $200M調達:Axoniusは、企業のデジタル資産であるITインフラの状況を可視化し、脅威から守るSaaS。本シリーズEはAccelがリードし、Bessemer Venture PartnersやICONIQ、Silver Lakeなど著名投資家が参加。
デジタルネットワークを可視化するSaaS Ardoq $125M調達:オスロ発のArdoqは、企業に自社の正確なデジタルネットワークの状況をリアルタイムで可視化するSaaS。本シリーズDはEQT Growthがリード。バリュエーションは$300M越え。
データ分析チームのコラボレーションSaaS Atlan $50M調達:Atlanは現代のデータスタックに対応した特化型コラボレーションツール。本シリーズBはSeqoia Capital India、Insight Partners、Salesforce Venturesがリード。バリュエーションは$450M。
給与データAPI SaaS Atomic $40M調達:Atomicは、一般消費者が70以上の金融機関やFintech企業のデータと連結させ、自分の財務状況を把握するAPIを提供。現在アメリカの人口の60%以上が利用。本シリーズBは、前回シリーズAからわずか5カ月の実施で、Mercato PartnersとGreylockがリード。
音声文字起こし・要約API AssemblyAI $28M調達:AssemblyAIは、爆発的に増える音声やビデオの自動文字起こしや要約機能をall-in-oneでAPIで提供するスタートアップ。本シリーズAは、Accelがリード。

今週のIPO/M&A

マイクロソフトが音声認識AI Nuanceを$16Bで買収
GoogleがサイバーセキュリティSaaS Mandiantを$5.4Bで買収
Salesforce.comがSalesforceインプリベンダーTraction on Demand買収
VisaがオープンバンキングSaaS Tinkを買収

マーケットトレンド

米SaaS人材採用マーケットの現状 2022
米VC Openview Venture Partnersによる、SaaS企業への人材採用に関するサーベイレポート。近年のSaaS企業の急成長と大型の資金調達から、成長の重要なドライバーである人材採用は年々厳しくなっています。本レポートでは、以下にあるように、採用に要する期間がコロナ前の2倍(約4ヶ月)に長期化し、給与への期待値も上がっていることがわかります。職種別ではエンジニアやPMのような、プロダクト開発に関連するポジションの人材不足が顕著である。加えて本レポートでは、求職者が転職する際に、SaaS企業を紹介されるチャネルや転職したくないと思わせるNGサインを分析しており、日本のSaaSスタートアップの採用戦略にも生かせる示唆があります。

画像4

営業&マーケティング

米上場SaaS銘柄からみる「効率性重視」への回帰
米国でのテーパリングを起点としたグロース株の株価下落は、ロシアのウクライナ侵攻による国際経済の不安材料から現在まで低迷を続けています。BoxやAsanaなど好業績をあげる米国SaaS上場銘柄も多い一方、パフォーマンスはあまり芳しくありません。しかし、ZoominfoやAtlassianなど、成長効率の優れた銘柄は、相対的に影響が少ないことを本記事では明らかにしています。Zoominfoは、営業利益率39%と高い水準です。マーケットの不透明さが続く中で、売上成長性と共に、LTV/CACやMagic Numberのような成長効率性がSaaS企業の経営において重要性が増していくと予想されます。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセス組織の3つのタイプ
SaaSの進化と共に、カスタマーサクセスも大きく進化してきました。本記事は、SaaSの商談規模(ACV)×実装の難易度によって、カスタマーサクセス組織が大きく3つのタイプに分かれることを解説した記事。PLGモデルにみられるような、10万円以下の低ACV×セルフサーブのケースでは、テックサポートからupsell/cross-sell全体のエクスパンジョンまでをカバーするCSAM(Customer Success Account Manager)が主流です。MMセグメントのような中ACVで一定のオンボードが必要なケースは、最も一般的なセールス+CSM+サポートの3ポジションの連携が必要になります。最後にエンプラ向けの高ACVで実装難易度が高い場合は、上記にSE(Sales Engineer/Solution Engineer)を加えた4ポジションの連携が重要になります。カスタマーサクセス組織の設計の際に、参考になると思います。

画像5

プロダクト開発

PMがステークホルダーに”No”と断る際の5つのステップ
PMの仕事は、多くのステークホルダーからくる要望に対して"No"を言い続ける必要があります。Steve Jobsはこんな言葉を残しています。

”実現したことと同じくらい、やらないと判断したことを誇りに思っています。イノベーションとは、1,000のことに「ノー」と言うことです。

では、PMはステークホルダーの信頼を損ねずに、"No"というにはどうしたらよいのでしょうか?本記事では、そのために重要な5つのステップを解説しています。日本語訳での概要はこちらのtweetstormを参照ください。

マネジメント

成功する起業家にみられる10の資質
米ハーバード大学経営大学院(HBS)の研究に基づき、同校の起業家向けオンラインプログラム "Entrepreneurship Essentials"の内容からの記事。記事では、以下のような性格的特性が起業の成功において、重要な資質だと説いています。但し、1人の起業家が全てを兼ね備える必要は無く、チームで担保すれば問題ありません。

成功する起業家にみられる10の資質
1. 発見を楽しむ好奇心の強さ
2. 形式化して実験を行う思考
3. 変化に柔軟に適応する能力
4. 難しい意思決定を行う力
5. チームを創り上げる力
6. リスクに対する耐性
7. 失敗をおそれず気にしない性格
8. しつこく、あきらめない性格
9. 革新的なことを考えられる戦略的思考
10. 長期の未来にフォーカスする力

ファイナンス

いま投資家はエンプラ向けSaaSにどれ位の成長を期待しているのか?
米国のエンプラ向けSaaS大手は、直近の決算で好調な業績と成長加速を示唆するガイダンスを発表している。しかしながら、決算後の株価はBoxやSplunkを除き、多くが株価を大きく落としている。Snowflakeに至っては、YoY +101%成長とモンスター級の成長を見せるにも関わらず、株価は決算発表後に21.5%も下落した。

画像6

では、いま投資家は何を求めているのか?

Altimeter Capitalパートナー Jamin Ball氏によると、投資家は、(以前のプレミアムを説明するには)彼らが予測した数字よりも、大きく上回る成長率を求めていると答えている。つまり、投資家が予想した数字通りの結果では、今は少しの株価の下落では済まなくなっている。

※その他記事はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?