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4/8週SaaS資金調達ニュースまとめ

今週もSaaSスタートアップの資金調達ニュースを6つピックアップ。

4/8週は、企業のIT管理者向け「インシデント管理」SaaSであるPagerduty社の1,800億円のIPOが一番大きなニュースでしたが、CFO向け財務管理SaaS Kyriba、EC後払い決済SaaS Klarna、B2B保険最適化のEmbrokerなど、FinTech/InsurTech系のSaaSの調達が目立ちました。また、フランス、フィンランド、インドなど、アメリカ以外の地域発のスタートアップの調達も目を引きました。(日本からも、もっと増やしていきたい改めて思いました。)

1. ネット大手企業のインフラ支える!「インシデント管理」SaaS PagerDuty上場

PagerDutyは、2009年サンフランシスコ発祥の、Amazonのエンジニア3名が起業した、企業のIT管理者向け「インシデント管理」SaaS企業。日本ではあまり馴染みが無いが、ネットフリックスやペイパル等の大手テック企業の裏を支える、縁の下の力持ち的なSaaSを提供している。AWSやNew Relic、Salesforce等、300を超えるプロダクト連携よりデータを集め、システムトラブル発生時に電話/SMSでアラートを飛ばしてくれるのが主な機能。2019年4月11日に時価総額1,800億円でNYSEに上場を果たした。(4/15時点では約2,900億円)

直近のP/Lは以下の通り(単位 $k)。直近のARRは$125M、YoY成長率は+49%と+30%を超える好調な成長を続けている。売上マルチプルは14.4xと少し高め。一方、営業利益は▼$36MとSaaS企業に良く見られる赤字上場だ。

顧客数は、世界90か国に10,806社の顧客を抱え、Fortune 500の1/3が顧客になっている。先述のネットフリックス等に加え、BoxやSlack、OktaなどのUSの大手SaaS企業も顧客となっている。ARPUは1社あたり年間116万円で、SMBとEnterprise両方をターゲット。14日間のフリートライアルでリード獲得、その後SMBはインサイド・セールス主体のセルフサーブ型Enterpriseはフィールド・セールス主体のハイ・タッチ型で成長してきた。
リンク: Forbes記事PagerDutyウェブサイト

2. フランス発祥。CFO向けの財務プランニング/管理SaaS Kyriba:シリーズF 160億円調達 

Kyribaは、2000年にフランス企業からスピンオフした、CFO向けに企業財務のプランニング/管理SaaSを提供する老舗スタートアップ(現在は本拠地はカリフォルニア)。コアの財務周りのソリューションに加え、決済やリスク分析のプロダクトも買収により強化。顧客は、エンタープライズを中心に2,000社を超える、ブリヂストンやエーザイ等の日本企業も顧客。2018年には、エンタープライズ顧客を200社新規獲得し、売上は110億円に到達。

今回のシリーズFは、PEファームであるBridgepoint等から、評価額1,200億円で160億円調達。既存投資家であるIris Capital等も参加。
リンク:Xconomy記事Kyribaウェブサイト

3.スウェーデン発!ECの後払いSaaSユニコーン Klarna: PEラウンド 93億円

Klarnaは、2005年スウェーデン・ストックホルム発のECサイトでの後払い決済に特化したFinTech×SaaSスタートアップ。ECサイトで消費者が支払いを行う前に、購入したモノを受け取ることができる。既に評価額は2,000億円を超え、2018年度売上は588億円、YoY成長率は+33%を達成し、スウェーデンの銀行業ライセンスを取得以降、成長を加速化している。今後は海外展開を加速させると公表している。

今回のラウンドは、既存投資家であるSequoia CapitalとPEファンドのPermiraから(少なくとも)93億円を調達。KlarnaはIPO前と目されているため、今回の調達はIPO前のラストファイナンスと見込まれている。
リンク: Reuter記事Klarnaウェブサイト

4.企業向けの保険購入/最適化SaaS Embroker: シリーズB 28億円調達

Embrokerは、2015年カリフォルニア創業のB2B(企業)向けの保険購入や最適化を行うことができるInsurTech×SaaSスタートアップ。顧客ターゲットはテック企業で、企業の状況に合わせたリスク分析や最適な保険プランのレコメンデーション、電話で保険の専門家への相談も可能。スタートアップ向けのEmbroker Startup Programでは保険コストの20%削減実績もある。2018年は2,500社以上の顧客を獲得し、売上は3倍を達成。2019年でも2倍以上の売上成長の見込み。

今回のシリーズBでは、Tola Capitalがリードで、既存投資家であるCanaan Partners、Manulife Capital Venturesなどから計28億円を調達。
リンク:VentureBeat記事Embrokerウェブサイト

5.インド・ムンバイ発!顧客エンゲージメント管理SaaS CleverTap: シリーズC 26億円調達

CleverTapは、2015年インド・ムンバイ発の顧客エンゲージメント改善を行うCRM×SaaSスタートアップ。CleverTapでは、オンライン(EmailやSNS、アプリ)上の顧客の行動分析を見える化し、テック企業がオンライン/オフラインで顧客のエンゲージメントを高めるためのターゲティングツールを提供している。CleverTapのSDKは、東南アジアの有力スタートアップGo-JekやZilingo、インドのHotstarなど、既に8,000以上のアプリに使われている

今回のシリーズCでは、新規投資家であるTiger Globalと既存投資家であるAccel Partnersがリードで、26億円調達。その他既存投資家である、Sequoia Indiaも参加。評価額は150-160億円。2019年末に次のファイナンスをよていしており、評価額400億円を目指す
リンク:TechCrunch記事CleverTapウェブサイト

6. デジタル倉庫業。次世代在庫/物流管理SaaS Stord: シリーズA 12億円調達

Stordは、2015年アメリカ・アトランタ発の倉庫での在庫情報や物流情報をリアルタイムで可視化し、ECの普及で高騰する物流コストを削減し、エンドユーザー(消費者)の顧客満足度を向上させるSaaSを提供。創業者のSean Henryは大学でSCMを専攻、自動車部品の流通業を創業し、その経験を踏まえてStordを創業した。共同創業者のJacob Boudreauと共にForbesの30 Under 30に選出されている。Stordのユニークさはソフトウェアのみならず、カリフォルニア、テキサス、ニューヨークエリアを中心に倉庫業者と連携し、倉庫キャパシティの最適利用と物流も含め、デジタル物流業者的なサービス提供をしている点だ。

今回のシリーズAは、US有力VCであるKPCBやDynamo VCから12億円調達。
リンク: CrunchbaseSTORDウェブサイト

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